第四話
ただ、一言に「情報収集」と言ってもあまり派手には動けないというのも事実だ。
それは王子が「僕の友人」と宣言してくれたおかげともいえるのだが、どうやらアリアは自分が思っている以上に学校の中ではそれなりに有名人らしい。
「……」
しかし、主人公の噂は今のところ下級生の耳にまで届いていないところを見ると、誰かがかなり頑張って広まらない様にしているのだろう。
まぁ、考えられる可能性としては宰相の息子……いや、監視役……どちらにしても大人たちが動いているのかも知れない。
ただ、実のところを言うと、一年生と二、三年生は学ぶ場所。つまり校舎がそもそも違う。
いわゆる一年生は本当に基礎中の基礎を学び、二年生になってようやく本格的に魔法を学ぶというワケだ。
この方針に異議を唱える者……主に貴族が色々と言ってきたらしいのだが、実際のところ「魔法は基礎の土台があってなんぼ」という事を知っている人生の先輩たちにその訴えは退けられたらしい。
「……」
膨大な魔力を持つアリアもその大切さを身に染みて知っている一人であり、少しでも基礎をサボると、感覚にズレが生じるのも分かっている。
普通の人であれば「その程度」つまり誤差の範囲なのだが……アリアはなまじ魔力があり過ぎるため、誤差どころの話ではない事になってしまうのだ。
しかし、この「校舎が違う」というのは大きい。
そして、この違いがなくなった時が一番危ないという事もアリアは分かっていた。
今はせいぜいお昼くらいしか顔を合わせるタイミングがないが、校舎まで同じになってしまうと、嫌がらせをするチャンスが必然的に増えてしまう。
そうなる前に手を打ちたいところだ。
ちなみにリチャード王子たち二年生は来年の生徒会役員になる事はほぼ決定らしく、その引継ぎなどを三年生にしてもらっている最中らしい。
まぁ、その役員は一年生の時の成績で決まるのだが。
そして、この点はゲームと相違はない。
そうなると……やはりアリアたちが一年生の間に主人公が何か行動を起こしたとしても、一つ学年が下のクローズには何もすることが出来ない。
そもそも彼女の周りにいる令嬢たちは一年生ばかりなので、上級生に嫌がらせをする度胸のある人たちもいない。
「そうなると……」
何か対策をするのであれば、やはり一年生の内からしておくのが得策だ。
しかも、今は下位のクラスにいても、テストで良い成績を出せば二年生から上位のクラスになる事も可能だ。
「……」
別に彼女。クローズに特別な思い入れがあるわけじゃない。
「ただ――」
アリアは今の状況に少しイラッとしていた。
なぜなら――。
今の状況はゲームと少し違うモノの、それでも強引に事を進めようとするこのやり方があの自称『神』を連想させたからである。




