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心の声  作者: 明樂
8/22

毬子と結愛

結局、HRになっても毬子は戻ってこなかった。

鬼島さんは実は優しい人でベランダに机を隠していたらしく、毬子が教室から居なくなってから元に戻した。


「瀬川、ちといいかな。」

鬼島さんに声をかけられ私は廊下に出た。


「あたしと毬子がクラス一緒ってさっき言ったじゃん。」


「あ、はい。」


「小学校の時はさ、あたしもあいつも話さなかったんだよ。いじめられてるな、ってくらいで。別に助けようとも、いじめようともしなかった。」


「うん。」


「中学に入ってからあいつに話しかけられて仲良くなったんだ。」


「え……。」


「誕生日の日に、お兄ちゃんからお財布貰ったの。ちょっと高めでよくCMに出てたヤツ。」


「あぁ〜あのピンクの長財布!」


「そうそう。汚したくなかったけど、使わないとお兄ちゃんに申し訳なくてその日学校にお財布を持っていったの。その当時塾通っていて、ご飯を買うためにね」


「うん。」


「お昼は給食だし、その場に居ないのは掃除の時間だけだったの。毬子は教室掃除でさ……。」


「もしかして……。」


「そう。放課後鞄の中を見たらお財布ごと無くなっていて……。」


「見つかったの……?」


「次の日お財布だけ帰ってきてたわ。中身は全部取られてた。」


「いくらぐらい入ってたの?」


「ご飯代だけだったけど、2000円とデパートのカードとかも入ってたな。」


「それを全部……。」


「もちろん犯人は毬子だったの。急遽学年集会を開いて犯人探しをしたら、毬子が手をあげてね。」


「え……。」


「お金は返ってきたよ。でも、カードは返ってこなかった。それに、毬子はその事に関して謝らなかった。」


「え?!」


「”盗めば構ってくれると思ってた。”って言われたわ。」


「そんなこと……あるわけないのに。」


「毬子は馬鹿だからね。瀬川、アンタももう盗られてるかもよ?」


「……あ……。」

そういえば、お気に入りのシャーペンがなかった……。

鞄についてたストラップも……。


「何か思い当たるのね。」


「……うん。」


「毬子はそういう奴だからね。気をつけな。」


「……ありがとう。教えてくれて。」


「あ、あと戸村」


「澪くん?」


「戸村の私物も盗んだらしいよ。小学校の時……体操服だったかな。」


「えっ!?」


「変態疑惑出てたよ。」

そう言って鬼島さんは教室に戻っていった。



毬子の過去……ひどい……。

私はどうすればいいんだろう。

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