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ゲームで伝説の鍛冶師だった、元アラフォーおっさんの異世界転移奮闘記  作者: Maya
第一幕 第一章:そして始まる異世界生活
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商業ギルドの登録と買取注意

次話投稿しました。

説明台詞が多いですがよろしくお願いします。

ブックマークありがとうございます。

頑張りますのでよろしくお願いします。

ルイスちゃんと別れてアリスと共に北通りに来た。


まずは拠点を設置する為に宿屋の部屋を取る。

ここはルイスちゃんのオススメの宿屋だ。


「ヘファさん、ルイスちゃんのオススメの宿はここなのです!」


【へえ・・・雰囲気の良い宿屋だね。】


挿絵(By みてみん)


「早く行くのですー!」


「分かったよ、アリス。」


アリスと扉をくぐる。


カウンターに行くと恰幅の良い年輩の店員さんが俺達を見ながら言って来た。


「泊まりかい?二人部屋なら一日で銅貨十枚だよ?」


【そうですね、とりあえず二人部屋を三部屋、十日分でお願いします。】


とりあえずだけれど、予約の話をする。


「おっ!三部屋もかい!宿帳を書いとくれよ。それとアタシがこの宿の女将だ。何かあったら言うと良い。」


女将さんが嬉しそうにそう言う。


【後から連れが合流するので、今は代表者だけでもよろしいですか?】


そう言うと女将さんが俺の顔をじっと見る。

ジーっと見ている。

……結構長いね。

三十秒ぐらいだろうか?


ニカッと笑うような表情になり、応えてくれた。


「構わないさね、空けておくからそろったら書きたしておくれよ?後、うちの食堂で食ってくれれば一人一食を銅貨一枚で食わせてやる。満腹になるまで食いな!」


アリスの頭を撫でながら女将さんがそう言ってくれた。

おお、それはありがたい申し出だ。


【ありがとうございます、とても助かります。】


「小僧、まさかとは思うが、そっちの小さいのは恋人かい?」


ん?

と、思ったが俺は今の見かけが十五歳だったっけ。

アリスの方を見ると恋人!

と、嬉しそうに体をくねらせている。


……アリスさん?

そろそろ戻っておいで。


【残念ながら違います。仕事のパートナーですよ。】


横から「むー。」という不満そうな声が聞こえるが無視しよう。


「そうかい、そいつは悪かったね、はっはっは!」


そう言って俺の背中をバシバシと叩いて来る。

剛毅(ごうき)な女将さんだ。

宿代を支払い、何点か質問してみる。


ソーサリアの世界では、基本的に一部屋一日単位でお金を計算するらしい。

この宿屋では時間が決まっていて、午前中の十一時から次の日の午前中の十時までで一日という枠なのだそうだ。


ついでに聞いてみると、時計の読み方は前世と同じで十二時間制での読み方だった。

女将さんから各部屋の鍵を受け取る。


「二人部屋を三部屋なんてな、部屋は二階にある、小僧とお嬢ちゃんは部屋の確認をしておきな。」


俺達の部屋は二階に三部屋。

アリスと二人で各部屋をそれぞれ確認する。

一部屋にベッドが二つある。

そのベッドには毛布が掛けてあり下敷きに毛皮が敷き詰めてあった。


これなら暖かく眠れるであろう。


【うん、大丈夫だね。】


「はいなのです!」


お風呂はさすがに無かったか。

湯船は高級品なのだろう。


【女将さん、表の看板にお湯ありって書いてあったよね?】


「おう、身体を拭く為のお湯だから早めに頼んでゆっくりしな!」


女将さんに聞くと、この世界でも風呂は贅沢品だとのことだ。


ルイスちゃん達とは、他のメンバーが揃ったら落ち合う予定だ。

他の三人がどんな子達なのか……会うのが楽しみだ。


「部屋は二階の二人部屋で一号室から三号室までだ、出かけるときはアタシに言って鍵を渡しな。無くされちゃあ困るからね!」


さて、拠点は確保出来た。

でも、今日はまだやる事があるからね。


【アリス、商業ギルドへ行こうか。】


「はいなのです!」


そう、商業ギルドへの登録である。

鍛冶場が使えるかどうかの確認もしないといけないので出向く事になっている。


時計を見る。

今が十五時二十六分、ギルドの定時が十七時だったら時間的にはギリギリかもしれない。


外出するので女将さんに言って鍵を預ける。


通りに出てアリス先導のもと、東通りの商業ギルドに向かって歩く。

幸運な事に、この宿屋から歩きでもそんなに時間がかからないらしい。


「夜ご飯が楽しみなのです!」


【うん、お腹いっぱいに食べるんだよ?】


「ありがとうなのです、ヘファさん!」


【いえいえ、アリスお嬢様。】


しばらくアリスと談笑しながら歩くと、目の前に商業ギルドの施設が見えてきた。


「ここが商業ギルドなのです!」


看板が出ている。

ギルドの開館が九時で、閉館は十七時らしい。

間に合ったな。


【……よし、行こうか、アリス。】


「はいなのです!」


アリスと手を繋ぎ、扉を開け中に入る。


入ると同時にテーブル席に座ったり、カウンターに座っている商人らしき人達から視線を感じる。

ああ、これは『品定め』されているな。

どんな奴かを見られている。

初見の相手に必ず相手の格を見るってやつかな。


前世でも、お得意様の所へ行った時に感じた「()()()」とする視線だ。


俺達の事はこれから嫌でも名前を聞くようになるだろうさ。

品定めが終わった人から順番に視線が外れて行く。


【……アリス大丈夫かい?】


「ちょっと怖かったけど、ヘファさんがいるから大丈夫なのです!」


アリスがギュッと強く手を握って来た。

これはある意味洗礼だよね。

・・・品定めは済んだのかな?

視線を感じなくなった。


さてと受け付けはと……ああ、正面か。

いかにも受付ですというカウンターがあり、人の姿も見える。


施設を見回しながら近づく。


丁度、目の前にいた受付嬢に声をかける。


【こんにちは、商業ギルドに登録をしに来たのですが、こちらで間違いありませんか?】


女性が顔を上げ俺を見る。

そして立ち上がった。


挿絵(By みてみん)


ポヨンポヨン


うおっ!!!

で、でかい!!!

待って待って、心の準備が出来ていなかった!

すげえ、でかい!


その質量のあるその存在感のある双丘が主張して来る。

カウンターに乗る程の物は初めて見た。


その双丘は自己主張が激しかった。


カウンターのテーブルの上でポニョンポニョンしてる。

視線が外せない!

この世界に来てから、一番の大きさだ!

思わず、じっと見てしまう。


ああ、触りたい。

揉みしだきたい。

俺の物にしたい!


「あのー、お客様、いかがなさいましたー?」


【っは!?あ、いや、何でもないです。】


「そうですかー……。」


その人は何故か一瞬、悲しそうな顔になった。


一人で来てたらやばかったな。

だが今はアリスというブレーキがいる。

居なかったらデートにお誘いしていたところだ。

とか、邪な事を考えていると、受付の女の人の笑顔が曇る。


しまった、露骨すぎたかな?

前世だったらセクハラで訴えられるぞ!?

さっさと要件を済ませよう。


水色の髪の毛をボブカットと言う髪型なのだろうか?

に、していて職員用なのか帽子を被っている。

……おっさんには女性の髪形の名称など分からんのだよ。

二十歳ぐらいだろうか?


160cm上ぐらいの身長の褐色肌に眼鏡をかけた知的な美女だ。

流石に受付をするだけあって身なりも清潔感がある。


【お姉さん、登録はこちらでよろしいでしょうか?】


その女性は、ちらっとアリスの方を見てから俺の方へ顔を向け話始める。


「はい、登録でしたらこちらで間違いありませんよ。申し遅れました……お客様を担当させて頂きます、職員の『ナナリー』と申します。それで……一名様のご登録でよろしいでしょうかー?」


【はい、それで間違いありません。私はヘファイストスと申します。流れの鍛冶師をしております。】


そう挨拶をする。

挨拶は大事だよね!

アリスが未成年なのが分かったのか登録は俺だけだと判断したらしい。

さすが商業ギルドの職員、目端が利くなと思った。


「それでは説明させて頂きます。

各ギルドは「()()()()()()()()()」です。

これは商業、冒険者、魔法の各ギルド何処でも同じです。

ギルドからの頼み事でも必ずしも受ける必要はありません。

受けなかった場合はもちろんギルドからの支援や援助はありませんー。」


「それと、国や貴族からの依頼はギルドのランクが低い場合は好条件なので迷う所ですが・・・。

先程も言った通り、国に縛られない組織ですので受けなくとも大丈夫です。」


成程、それでこのカードに冒険者ギルドや魔法ギルドの事も書いてあるのか。


「例えばですが、直接に依頼を受ける場合です。

国の依頼とは言っても王族や貴族の依頼です。

断るのには勇気がいると思われますが、安心して下さい。

ギルドを通していない依頼ならば遠慮なく断って下さいませー。」


【断っちゃってもいいんですか?】


「はい、その後の事は三大ギルドが引き受けますので安心下さい。

それと、ギルド登録に関しましてはギルドカードを作製させて頂きます。

カードは身分証としてもご利用頂けます。

この用紙に必要な事を記入して頂き、カードの四角枠の中に血を付けて頂くとご本人の情報が記録されギルドの一員となりますー。」


【心強いですね。】


「当ギルドでは露店の斡旋、アイテムの販売や買取、ギルド内に有る製作等の作業場の使用権等の販売をさせて頂いております。

施設内に有る専門店では鍛冶等の作業に必要な道具が売っておりますので、よろしければご利用下さいー。」


あった!

これで鍛冶が出来る。

やっと見つけたぞ!


「通常はここで簡単に登録とカード作成までで、細かい説明は後日でも問題ありませんー。」


【先程ランクとおっしゃっていたのは?】


「各ギルドには()()()()()()されており、当ギルドでは「銅」「鉄」「鋼鉄」「銀」「金」「ミスリル」「オリハルコン」「アダマンタイト」

の、八段階となっておりますー。」


【へえ、ランクがあるんだ。しかも八段階も……。】


「カードはどのギルドでも同じ扱いなのでどこかのギルドで貢献度を上げれば大丈夫です。

先程カードにはランクがあると申し上げましたが、お客様は初めての方なので銅ランクからのスタートとなりますー。」


うお、怒涛の如くな説明!?

もう一度聞く訳にもいかないだろう……なぁ。

今度は、俺の聞きたい事を聞いてみる。


【先程ですが、言っていた『()』、『()()』からの直接の依頼を受けた場合はどうなるのでしょうか?】


「その場合はギルドは責任を持てませんので自身で解決して頂く事になりますー。」


【あくまでギルドを通して依頼を受ければその恩恵を受けれると言う事ですね?】


「はい、その通りですー。」


【それと、露店で行商をしようと思っておりますが、銅ランクからで大丈夫ですか?】


とりあえず露店の事を聞いておきたいね。


「それならば大丈夫です。基本的なサービスは受けられますので、ただ「銅」のランクですので露店の場所は早い者勝ちとなります。良い場所を取れればー・・・。」


【有利になると?】


「左様でございます。露店の設営等はギルドで行わせて頂きますが登録料は銀貨三枚、設営料で大銅貨一枚必要です。ここまでで、ご不明な点はございませんかー?」


【はい、大丈夫です。】


「それでは登録用紙に記入をお願い致しますー。」


羊皮紙を渡された。

いろいろ書いてあるが基本は今の説明と同じ感じかな。

説明の内容確認の為にこの紙は貰えるのだろうか?

それに、この世界だと紙というと羊皮紙の事なのかな?


紙は発明されてないのだろうか?


いや、焼き鳥を買った時に紙袋があったはずだ。

そんなに高い物ではない?

まあ、これも調べて行こう。


さてと確認したし記入っと。

名前を書いて年齢と職業を書くだけなのか?

そういえば記入って文字はどうなるんだろうか?

とにかく書いてみる。


ヘファイストス、十五歳、鍛冶師、っと。

日本語で書いているつもりなのに異世界語になっている不思議。

これが加護の力か『アリステリア』様、ありがとうございます。


……簡単だけどこんなのでセキュリティーは大丈夫なのかね?


「記入が終わりましたら、こちらの針で血を一滴、カードのこちらの四角い部分に垂らして下さいー。」


差し出された銅色をしたカード。

大きさが免許証みたいだ。

免許証だとちょうど写真が見える位置にある四角い枠の中に血を垂らす。

血が乾くとカードを受け取りナナリーさんが、カウンターの後方に置いてある金属板だろうか?


何かしらの魔道具だろう、その上にカードを置く。


お?

カードが光ったぞ?

なんとなくSFチックな光の画面が浮き出る。


ん?

あれ!?

ステータス情報か!?

……ヤバイ!?


目を閉じる。


まずい!

見られた?

このステータスじゃあ化け物扱いか?

くう、短かったな俺の平和な生活……と、思っていると声が掛かる。


「ヘファイストス様?どうかなさいましたかー?」


のんびりした声が俺を呼ぶ。

ん?

薄く目を開ける。

カウンターに戻ってきたナナリーさんがカードを渡そうとしていた。


「これで登録が完了ですー。」


え!?

バレテナイ!?


「鍛冶スキルと裁縫スキルが50以上とは……かなりの腕とお見受けしました。「ハイクオリティー」の鉄製の武器は人気が高いので頑張って作成して下さいね。応援しておりますー。」


お?


成程な!

ペーパードールの方が反映されてるのか!

これは人物が映し出されており、何を装備しているかが分かる物だ

ステータスなども映っており、偽物の情報が写っているようだ。


ああ、良かった。

もう終わりかと思ってマジで汗が出たよ。

良い仕事してますね。


ありがとうございます、『アリステリア』様。


お?

血を垂らした所に白黒写真みたいに俺の顔が写っている。

写真なんか撮った覚えがないし魔法の力かな?


さすがは異世界。


「この魔道具があるので『()()』の心配は無いのですよー。」


ほほー、便利だな魔道具。


「登録料は銀貨三枚ですー。」


銀貨を支払いカードを受け取る。

ふう、無事にギルド登録完了っと……さっきの件でどっと疲れた。


「ギルド員になりますと作業場が予約で借りれますので是非ご利用下さい!貸し賃はそれぞれ大銅貨一枚ですー!」


何かやけにギルドの施設を押してくるな。

ギルドの施設は人気が無いのか?


「ただ、ほとんどの鍛冶師は自分の工房を持っていますので、残念な事に最近はギルドの物はほとんど使用されていませんー……。」


台帳を見ながらナナリーさんが寂しそうに言う。


ああ、そう言う事か。

ゲームだと家に設備を作ってやってたもんなー。


【それでは鍛冶場の予約をお願いします。】


「ほ、本当ですかー!」


そのたびに、例の双丘も元気よく揺れる。

男だもん、皆さんも分って頂けますよね?


【え、ええ、お願いします。】


凄い食いつきだった!


「かしこまりましたー!」


ナナリーさんが嬉しそうに言ってくる。


「鍛冶場の予約でございますね!」


ナナリーさんが何か台帳の様な物を見ている。


「それでは予約をお取りしました。一号炉で明日の十時から十七時までの間、ご利用出来ますー。」


書類に書き込みをしているようだ。


「こちらにサインをお願いしますー。」


そう言って書類を見せられたので確認後サインをする。


「これで申し込みは完了です。ご利用の際は少し前に来て準備をするとよろしいかと思います。どのギルドでも午前九時からやっておりますのでー。」


成程、準備をしてギリギリから使うようにすればいいのか。


「他には、不明な点はございますかー?」


あ、そうだ。

ついでに買取をしてもらうか。


【済みません、別件なんですが買取をお願いしてもよろしいでしょうか?】


「はい、どのような物でしょうかー?」


【こちらなんですけど……。】


そう言って先程作成した「()()()」の「()()()()()()()()」を手渡す。


「こちらの回復系ポーション?一点でよろしいでしょうかー?」


【はい、お願い致します。】


このポーションは黄金色に輝いているので疑問形になったのだろう。

後ろのテーブルに移動し受け取ったポーションを先ほどの金属板の上に置く。

魔法陣が出てきたぞ、

カードの時もそうだったけれど、あれが「鑑定装置」なんだろうか?


三十秒ぐらいたっただろうか?

ナナリーさんは笑顔だが、その顔色がだんだん青くなって行く。

慌てだした。

キョロキョロと辺りを見ている。

クールビューティーだと思っていたが意外と可愛い所があるじゃないか。


これがギャップ萌えか!?


「少々お待ちください!ギルドマスターを呼んできますのでー!」


・・・あちゃー。

やっぱり大事(おおごと)になっちゃったかー。


しばらく待つとカウンターの奥の方から、ナナリーさんが恰幅かっぷくの良い男性を連れて戻ってきた。


「ヘファイストス様、奥の部屋で少しお話をさせて頂けますか?」


男性から声が掛かる。

多分この恰幅の良い男性が「ギルドマスター」なのだろう。


【分かりました、連れがいますので一緒に伺っても?】


「はい、是非ともお願い致しますー。」


大人しくしていたアリスと共にカウンターの奥に通される。

どうやらこの奥に別室があるのだろう。


恰幅の良い男性が扉を開けてくれたのでアリスと共に部屋に入る。

部屋に入ると高級そうな家具が置いてある品の良い部屋だった。

長テーブルを中央に左右両側に、これまた高級そうな三人掛けのソファーが置いてある雰囲気の良い部屋だ。


どうやら商談をする時に使う部屋のようだ。


ナナリーさんは部屋までの案内だったらしい。

心配そうにこちらを窺うかがいながら受付カウンターに戻って行った。

部屋に入ると男性から声をかけられる。


「どうぞ、お掛けになって下さい。」


【失礼ですが、先に申し上げておきますね。子供もいますし私も作法等を知りませんので、不作法があったら申し訳ございません。】


そう言うと男性は「構いませんよ。」と言ってくれた。

俺だって、マナーなんか知らないしね。


入り口から見て左のソファーを選んで座る。

アリスもぎこちない様子で一緒のソファーに腰を掛ける。

くすっ、アリスさん右手と右足が一緒に出ていますよ。

緊張しているのかな?


相変わらず微笑ましいな。

良いねこの感じ、心が癒される。

ギルドマスターは対面に座ると話始める。


「では改めまして、オーカム商業ギルドのマスターをしている『モーリス・ブロストン』と申します。」


【鍛冶師のヘファイストスです。こちらこそよろしくお願い致します。】


手を差し出して来たので握手に応える。

握手を放して腰を掛ける。


「紅茶でございます。」


いつのまにかメイドさんが紅茶を入れてくれていた。


耳が長い!?

あ!

エルフだこの人。

美人さんだ。


その美人さんが湯気の立つカップを目の前においてくれる。

もちろんアリスの分もだ。


【ありがとうございます。】


そう言い頭を下げる。

美人エルフメイドさんが元の位置に戻る。


【ありがたく、いただきます。】


「いひゃだきまう!」


一口、口を付ける。

ほう、高級な茶葉を使っている紅茶だと分かる。

前世で言う所のダージリンに似ていて香りも良く引き立っている。

流石エルフメイドさん。


心得ているな。


でも、やはりブリリアントなメイド服では無いのだね。

もったいないな……俺が布教しよう。


おっと、話に集中しないとね。


「さてと早速ですが交渉を……ヘファイストス様がお持ちになった「高品質」の「最高級ポーション」ですが、どちらで手に入れたものでしょうか?」


ん?

入手経路とか必要なのか?

ゲームの時はプレイヤーが普通に売っていて、そんなに大金では売られてないし気にしてなかったよ。


【私は鍛冶師でもあり『()()』でもありますので、それを言う事は出来ません。】


ニッコリ笑顔で無難に返事をしてみた。

良い商品の入手経路をベラベラと言う馬鹿な商人はいないですよね?


「そうですか……当然ですよね。入手経路が分かれば商人としての旨味は無くなりますから……もしも安定して手に入れる事が出来るようならばと思いまして、一応聞かせて頂きました。」


ブロストンさんが残念そうな顔をする。

てへっ!

作っちゃいました!

って言ったら大騒ぎになるんだろうな。


大事になるのはこちらとしては望んでいないので秘密だ。


「それで、高品質の最高級ポーションは買取が難しい商品になりますので、『()()』の『()()()()()()』に出品してみてはいかがでしょうか?」


【王都のオークション?】


「この品質の場合、通常の買取ではなく一度ギルド本部へ回して鑑定書を付けた上で、王都案件として扱う事になります。オークションまでの間はギルド預かりになります。王都のオークションならば、この品質の物でしたら高値が付きます。基本はオークションの()()()()()だけで済みます。」


この手数料って前世の消費税みたいで嫌なんだよね。

たしか今は十%まで上がったんだっけか?


「いかがでしょうか?もちろん商品の運搬費等の諸経費は取りませんので安心して下さい。」


【ずいぶんと待遇が良いですね?ギルドの方には旨味が無いと思われますが?】


「それだけ必要としている人が多い物であると、ご認識を頂ければと。」


ふむ、ギルドとしては持ち込んだことで面目が立つし、全く旨味が無い訳ではないといった所かな?


少し時間は掛かるが大金ゲットのチャンスか・・・。


そういえばゲームの時には各街の近くまでの『()()()()()()()()()』があったからそれを使うのかな?


「フェアリー・ゲート」とは月の満ち欠けにより使用出来る、各都市の近郊までを魔法の出入り口で繋いでいる常設のゲートの事だ。

一応、確認をしておくか。


【フェアリー・ゲートが使えれば運搬はかなり短縮出来ますしね。】


あれば良いなと思いカマを掛けてみた。


「フェアリー・ゲートをご存じでしたか。」


【ええ、もちろん。】


【フェアリー・ゲートを使えば運搬も早いですよね。】


「……フェアリー・ゲート、ですか」


ブロストンが一瞬だけ眉を上げた。


「お詳しいのですね。ですが……あれは「便利な輸送手段」と呼べるものではありませんぞ?」


【そうなのですか?ゲーム……いえ、昔に読んだ文献ではかなり安定した転移手段だったと思いますが?】


青の月(トラメエル)の間は確かに安定しております。ですが……。」


ブロストンは指を組み直し、少し声を落とす。


赤の月(フェイルカー)が絡む期間は別物ですぞ。」


アリスが小さく首を傾げる。


「別物なのですかー?」


「行き先が「妖精の悪戯」に委ねられます。地図通りには着きません。むしろ、どこにも繋がっていない場所に放り出される事例もございます」


【……そんなに危険なのですか】


「ええ。だから国も輸送に関しては慎重です。「便利だから使う」という性質のものではありません。」


そうか・・・あるんだな、フェアリー・ゲート。


「今は月の状態も良いので王都のオークションにも間に合うでしょう、もちろん帰って来るのにも。ただギルドの預かりになるので多少時間がかかります。」


ブロストンさんはそう言っている。


【では、それで、お願い出来ますでしょうか?】


ブロストンさんが頷く。


「お任せ下さい、鑑定書は無いようですが、必ずや高値で売り捌いて見せますよ。」


【期待しております。】


「【はっはっは。】」


二人の笑い声が部屋にこだました。


ちらりとアリスの方に視線を向けると、焼き菓子を口に詰め込んでいる所だった。

可愛いな!

この、ハムスターっ子め!


商談が終わったのでアリスと共に部屋を出て通路を進んで行く。

俺達を見つけたナナリーさんが駆け寄って来た。


「商談はいかがでしたかー?」


少し興奮気味に聞いてくる。

内容は言えないがうまく行った事だけ伝える。


「よかったですねー!」


と、満面の笑みで我が事のように喜んでくれた。


うん、でっかい双丘が揺れていますよー?

眼福、眼福っとね。


さてと、明日から鍛冶仕事で通う事になりそうだし挨拶をしておくか。


【明日からよろしくお願いしますね、ナナリーさん。】


「はい、十時から十七時までですので時間に気を付けて下さいー。」


【分かりました。ありがとうございます。】


ナナリーさんにお辞儀をしてギルドを出る。

通りに出た所で黙っていたアリスに話しかける。


【焼き菓子は美味しかったですか?】


「はいなのですー!」


左手をシュタ!っと上げる。


【まだお腹は減ってますか?】


「はいなのですー!」


左手をシュタ!っと上げる。


【あはは、じゃあ帰ってルイスさん達と合流してから晩ご飯にしようね。】


「はいなのですー!」


左手をシュタ!っと上げる。


【アリスさんや、さっきから『はいなのですー!』しか言ってないよ?】


「そ、そんな事はないのです!」


【あははは。】


「むー……。」


ぷくっとしている。

可愛いな。

頭をグリグリと撫でてやる。


アリスは一日中俺と行動をしている。

さすがに疲れているだろう。

この歳でたいしたものだ。


【よし、帰ろうか。】


さあて、初めて会う子供達はどんな子だろうか。


いろいろ買いたい物はあるけど今回は必要な物だけ買うかな。

タオルとバスタオルに石鹸を人数分買っておこう。


途中、雑貨屋に寄ってみた。


この世界の石鹸は獣の油から作っているらしく良い匂いはしない。

当然のごとくシャンプーやリンスは無い。

まあ、仕方が無いがさっぱりする分には良いだろう。

バスタオルって結構良い値段するのねぇ。


でも、明日から仕事とはいえ英気を養いたいからね。

街には街灯に魔法で明かりをつけて歩いている人達がいる。


空を見上げると良い感じに夜の(とばり)が下りて来た所だった。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

次回、新しい仲間達(仮

でお会いしましょう。


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