表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームで伝説の鍛冶師だった、元アラフォーおっさんの異世界転移奮闘記  作者: Maya
第一幕 第一章:そして始まる異世界生活
6/302

商業ギルドの登録と買取注意

次話投稿しました。

説明台詞が多いですがよろしくお願いします。

ブックマークありがとうございます。

頑張りますのでよろしくお願いします。

ルイスちゃんと別れてアリスと共に北通りに来た。


まず拠点を設置する為に宿屋の部屋を取る。

ここはルイスちゃんのオススメの宿屋だ。

アリスと扉をくぐる。

カウンターに行くと恰幅の良い御年輩の女将さんが俺達を見ながら言って来た。


「泊まりかい?二人部屋なら一日で銅貨十枚だよ?」


【そうですね、とりあえず二人部屋を三部屋、十日分でお願いします。】


とりあえずだけれど、予約の話をする。


「三部屋もかい!宿帳を書いとくれよ。」


女将さんが嬉しそうにそう言う。


【後から連れが合流するので、今は代表者だけでもよろしいですか?】


そう言うと女将さんが俺の顔をじっとみる。

ジーっと見ている。

・・・結構長いね。

三十秒ぐらいだろうか?

ニカッとでも言うような笑顔になり応えてくれた。


「構わないさね、空けておくからそろったら書きたしておくれよ?後、うちの食堂で食ってくれれば一人一食を銅貨一枚で満腹にしてやるよ!」


アリスの頭を撫でながら女将さんがそう言ってくれた。

おお、それはありがたい申し出だ。


【ありがとうございます、とても助かります。】


「小僧、まさかとは思うが、そっちの小さいのは恋人かい?」


ん?

と、思ったが俺は今の見かけが十五歳だったっけ。

アリスの方を見ると恋人!

と、嬉しそうに体をくねらせている。

・・・アリスさん?


そろそろ戻っておいで。


【残念ながら違います。仕事のパートナーですよ。】


横から「むー。」という不満そうな声が聞こえるが無視しよう。


「そうかい、そいつは悪かったね、はっはっは!」


そう言って俺の背中をバシバシと叩いて来る。

剛毅ごうきな女将さんだ。

宿代を支払い、何点か女将さんに聞いてみる。

ソーサリアの世界では、基本的に一部屋一日単位でお金を計算するらしい。

この宿屋では時間が決まっていて、午前中の十一時から次の日の午前中の十時までで一日という枠なのだそうだ。

十時から十一時の一時間は部屋の掃除が入るが、場合によっては掃除をキャンセル出来る。

これは夜に働いている人がいる為だと言う。

ただ連泊していると最低でも一週間に一度は強制的に掃除が入るらしい。

ついでに聞いてみると、時計の読み方は前世と同じで十二だった。

女将さんから各部屋の鍵を受け取る。


「部屋は二階の二人部屋で一号室から三号室までだ、出かけるときはアタシに言って鍵を渡しな。無くされちゃあ困るからね!」


二階にある各部屋をそれぞれ確認する。

一部屋にベッドが二つあるので六人で三部屋ならば寝るのには大丈夫だろう。

ルイスちゃんとは他のメンバーが揃ったら落ち合う予定だ。

他の三人がどんな子達なのか・・・会うのが楽しみだ。


さて、拠点は確保出来た。

でも、今日はまだやる事があるからね。


【アリス、行こうか。】


「はいなのです。」


そう、商業ギルドへの登録である。

鍛冶場が使えるかどうかの確認もしないといけないので出向く事になっている。


時計を見る。

今が十五時三十分、定時が十七時だったら時間的にはギリギリかもしれない。


外出するので女将さんに言って鍵を預ける。


通りに出てアリス先導のもと、東通りの商業ギルドに向かって歩く。

幸運な事に、この宿屋から歩きでもそんなに時間がかからないらしい。

しばらくアリスと談笑しながら歩くと、目の前に商業ギルドの施設が見えてきた。


【よし、行こうか。】


「はいなのです。」


アリスと手を繋ぎ、扉を開け中に入る。

入ると同時にテーブル席に座ったり、カウンターに座っている商人らしき人達から視線を感じる。

ああ、これは『品定め』されているな。

前世でもお得意様の所へ行った時に感じた「ヌルリ」とする視線だ。

ふん、俺達の事はこれから嫌でも名前を聞くようになるだろうさ。


品定めが終わった人から順番に視線が外れて行く。


【・・・アリス大丈夫かい?】


「は、はいなのです。」


アリスがギュッと強く手を握って来た。

これはある意味洗礼だよね。

品定めは済んだのかな?

視線を感じなくなった。


さてと受け付けはと・・・ああ、正面か。

いかにも受付ですというカウンターがあり、人の姿も見える。


施設を見回しながら近づく。


丁度、目の前にいた受付嬢に声をかける。


【こんにちは、商業ギルドに登録をしに来たのですが、こちらで間違いありませんか?】


女性が顔を上げ俺を見る。

水色の髪の毛をボブカット?

に、していて職員用なのか帽子を被っている。

・・・おっさんには女性の髪形など分からんのだよ。

二十歳ぐらいだろうか?

160cm上ぐらいの身長に眼鏡をかけた知的な美女だ。


さすがに受付をするだけあって身なりも清潔感がある。


それにしても「でかい」、いや「でかすぎる」いや何がって訳じゃないですよ?

カウンターに乗る程の物は初めて見た。

その双丘は自己主張が激しかった。

カウンターのテーブルの上でプルンプルンしてる。

視線が外せない!


「あのー、お客様、いかがなさいましたー?」


【あ、いや、何でもないです。】


「そうですかー・・・。」


一人で来てたらやばかったな。

だが今はアリスというブレーキがいる。

とか、邪な事を考えていると、受付の女の人の笑顔が曇る。

しまった。

露骨すぎたか?


その女性は、ちらっとアリスの方を見てから俺の方へ顔を向け話始める。


「はい、こちらで間違いありませんよ。申し遅れました、担当させて頂きます『ナナリー』と申します。一名様の御登録でよろしいでしょうかー?」


【はい、それで間違いありません。私はヘファイストスと申します。流れの鍛冶師をしております。】


そう挨拶をする。

挨拶は大事だよね!

アリスが未成年なのが分かったのか登録は俺だけだと判断したらしい。

さすが商業ギルドの職員、目端が利くなと思った。


彼女の話は続く。


「それでは御説明させて頂きます。

ギルドは「国に縛られない組織」です。

これはどのギルドでも同じです。

国からの頼み事でも必ずしも受ける必要はありません。

その場合はもちろん国からの援助もありません。

ギルドのランクが低い場合は好条件なので迷う所ですが・・・。

先程も言った通り、国に縛られない組織ですので。

例えばですが、直接に依頼を受ける場合です。

国の依頼とは言っても王族や貴族の依頼です。

断るのには勇気がいると思われますが、御安心下さい。

ギルドを通していない依頼ならば遠慮なく断って下さいませ。

その後の事は三大ギルドが引き受けますので御安心下さいー。


それと、登録に関しましてはギルドカードを作製させて頂きます。

カードは身分証としてもご利用頂けます。

この用紙に必要な事を記入して頂き、カードの四角枠の中に血を付けて頂くと御本人の情報が記録されギルドの一員となります。

当ギルドでは露店の斡旋、アイテムの販売や買取、ギルド内に有る製作等の作業場の使用権等の販売をさせて頂いております。

施設内に有る専門店では鍛冶等の作業に必要な道具が売っておりますのでよろしければご利用下さいー。


また、カウンターでは素材の買取等も行っております。

ただ素材の買取は「冒険者ギルド」や「魔法ギルド」と提携しておりますので、どのギルドでも査定の方法は同じです。

相場が設定されており、その金額での買取や販売になりますー。


例外なのがポーションや武具です。

ポーションの場合は作成時に高品質の物が出来るようですが、その場合は『効能』も『金額』も、跳ね上がりますので注意が必要ですー。


武具に関してもクオリティーの違いで値段が跳ね上がります。

基本は鉄製のノーマルクオリティーですね。

ハイクオリティーが出回る事もありますが、値段がかなり違いますので注意です。


それと、商業ギルドにはランクが設定されており、

「銅」「鉄」「鋼鉄」「銀」「金」「ミスリル」「オリハルコン」「アダマンタイト」

の、八段階となっておりますー。


ギルドへの『貢献度』によりましてカードのランクが上がり色々と恩恵も受けられるようになりますー。


逆にギルドに「貢献していない」と判断された場合には『降格』もしくはカードの『剥奪』の処分となりますのでお気を付け下さいー。


カードはどのギルドでも同じ扱いなのでどこかのギルドで貢献度を上げれば大丈夫です。

先程カードにはランクがあると申し上げましたが、御客様は初めての方なので銅ランクからのスタートとなりますー。」


うお、怒涛の如くな説明!?

もう一度聞く訳にもいかないだろう・・・なぁ。

とりあえず必要な事を聞いておくか。


【先程ですが、言っていた『国』、『貴族』からの依頼を直接受けた場合はどうなるのでしょうか?】


「その場合はギルドは責任を持てませんので自身で解決して頂く事になりますー。」


【成程。あくまでギルドを通して依頼を受ければその恩恵を受けれると言う事ですね?】


「はい、その通りですー。」


【それと、露店で行商をしようと思っておりますが、銅からで大丈夫ですか?】


今度は、俺の聞きたい事を聞いてみる。


「それならば大丈夫です。基本的なサービスは受けられますので、ただ「銅」のランクですので露店の場所は早い者勝ちとなります。良い場所を取れればー・・・。」


【有利になると?】


「左様でございます。露店の設営等はギルドで行わせて頂きますが登録料は銀貨三枚、設営料で大銅貨一枚必要です。ここまでで御不明な点はございませんかー?」


【はい、大丈夫です。】


「それでは登録用紙に記入をお願い致しますー。」


羊皮紙を渡された。

いろいろ書いてあるが基本は今の説明と同じ感じかな。

説明の内容確認の為にこの紙は貰えるのだろうか?

それに、この世界だと紙というと羊皮紙の事なのかな?

紙は発明されてないのだろうか?


まあ、これも調べて行こう。


さてと確認したし記入っと。

名前を書いて年齢と職業を書くだけなのか?

そういえば記入って文字はどうなるんだろうか?

とにかく書いてみる。


ヘファイストス、十五歳、鍛冶師、っと。

日本語で書いているつもりなのに異世界語になっている不思議。

これが加護の力か『アリステリア様』、ありがとうございます。

・・・簡単だけどこんなのでセキュリティーは大丈夫なのかね?


「記入が終わりましたら、こちらの針で血を一滴カードの、こちらの四角い部分に垂らして下さいー。」


差し出された銅色をしたカード。

大きさが免許証みたいだ。

免許証だとちょうど写真が見える位置にある四角い枠の中に血を垂らす。

血が渇くとカードを受け取りナナリーさんが、カウンターの後方に置いてある金属板だろうか?

何かしらの魔道具だろう、その上にカードを置く。


お?

カードが光ったぞ?

なんとなくSFチックな光の画面が浮き出る。


ん?

あれ!?

ステータス情報か!?

ヤバイ!?

目を閉じる。


不味い!

見られた?

このステータスじゃあ化け物扱いか?

くう、短かったな俺の平和な生活・・・と、思っていると。


「ヘファイストス様?どうかなさいましたかー?」


のんびりした声がかかる。

ん?

薄く目を開ける。

カウンターに戻ってきたナナリーさんがカードを渡そうとしていた。


「これで登録が完了ですー。」


え!?

バレテナイ!?


「鍛冶スキルと裁縫スキルが50以上とは・・・かなりの腕とお見受けしました。「ハイクオリティー」の鉄製の武器は人気が高いので頑張って作成して下さいね。応援しておりますー。」


お?

成程!

ペーパードールの方が反映されてるのか!

ああ、良かった。

もう終わりかと思ってマジで汗が出たよ。

良い仕事してますね。

ありがとうございます、『アリステリア様』。


お?

血を垂らした所に白黒写真みたいに俺の顔が写っている。

写真なんか撮った覚えがないし魔法の力かな?

さすがは異世界。


「この魔道具があるので「偽造」の心配は無いのですよー。」


ほほー、便利だな魔道具。


「登録料は銀貨三枚ですー。」


気を取り直して銀貨を支払いカードを受け取る。

ふう、無事にギルド登録完了っと・・・どっと疲れた。


「ギルド員になりますと作業場が予約で借りれますので是非御利用下さい!貸し賃はそれぞれ銀貨一枚ですー!」


何かやけにギルドの施設を押してくるな。

ギルドの施設は人気が無いのか?


「ただ、ほとんどの鍛冶師は自分の工房を持っていますので、残念な事に最近はギルドの物はほとんど使用されていませんー・・・。」


台帳を見ながらナナリーさんが寂しそうに言う。


ああ、成程ね。

ゲームだと家でやってたもんなー。


【それでは鍛冶場の予約をお願いします。】


「ほ、本当ですかー!」


【え、ええ、お願いします。】


凄い食いつきだ!


「かしこまりましたー!」


ナナリーさんが嬉しそうに言ってくる。


「鍛冶場の予約でございますね!予約は取れると思いますー!」


ナナリーさんが何か台帳の様な物を見ている。


「それでは予約をお取りしました。一号炉で明日の十時から十七時までの間、御利用出来ますー。」


書類に書き込みをしているようだ。


「こちらにサインをお願いしますー。」


そう言って書類を見せられたので確認後サインをする。


「これで申し込みは完了です。御利用の際は少し前に来て準備をするとよろしいかと思います。ギルドは九時からやっておりますのでー。」


成程、準備をしてギリギリから使うようにすればいいのか。


「他には、御不明な点はございますかー?」


あ、そうだ、ついでに買取をしてもらうか。


【済みません、別件なんですが買取を御願いしてもよろしいでしょうか?】


「はい、どのような物でしょうかー?」


【こちらなんですけど・・・。】


そう言って先程作成した「高品質」の「最高級ポーション」を手渡す。


「こちらの回復系ポーション?一点でよろしいでしょうかー?」


【はい、お願い致します。】


このポーションは黄金色に輝いているので疑問形になったのだろう。


後ろのテーブルに移動し受け取ったポーションを先ほどの金属板の上にを置く。

おお、魔法陣が出てきたぞ、

カードの時もそうだったけれど、あれが「鑑定装置」なんだろうか?


三十秒ぐらいたっただろうか、ナナリーさんは笑顔だが、その顔色がだんだん青くなって行く。

慌てだした。

キョロキョロと辺りを見ている。

クールビューティーだと思っていたが意外と可愛い所があるじゃないか。

これがギャップ萌えか!?


「少々お待ちください!ギルドマスターを呼んできますのでー!」


・・・あちゃー。

やっぱり大事おおごとになっちゃったかー。

しばらく待つとカウンターの奥の方から、ナナリーさんが恰幅かっぷくの良い男性を連れて戻ってきた。


「ヘファイストス様、奥の部屋で少しお話をさせて頂けますか?」


男性から声が掛かる。

多分この恰幅の良い男性が「ギルドマスター」なのだろう。


【分かりました、連れがいますので御一緒しても?】


「はい、是非ともお願い致します。」


大人しくしていたアリスと共にカウンターの奥に通される。

どうやらこの奥に別室があるのだろう。


恰幅の良い男性が扉を開けてくれたのでアリスと共に部屋に入る。

部屋に入ると高級そうな家具が置いてある品の良い部屋だった。

長テーブルを中央に、左右両側に・・・これまた高級そうな三人掛けのソファーが置いてある雰囲気の良い部屋だ。

どうやら商談をする時に使う部屋のようだ。


ナナリーさんは部屋までの案内だったらしい。

心配そうにこちらをうかがいながら受付カウンターに戻って行った。

部屋に入ると男性から声をかけられる。


「どうぞ、お掛けになって下さい。」


【失礼ですが、先に言っておきます。子供もいますし私も作法等を知りませんので、不作法があったら申し訳ございません。】


そう言うと男性は「構いませんよ。」と言ってくれた。

俺だって、マナーなんか知らないしね。


入り口から見て左のソファーを選んで座る。

アリスもぎこちない様子で一緒のソファーに腰を掛ける。

くすっ、アリスさん右手と右足が一緒に出ていますよ。

緊張しているのかな?

相変わらず微笑ましいな。

良いねこの感じ、心が癒される。


ギルドマスターは対面に座ると話始める。


「では改めまして、当ギルドのマスターをしている『モーリス・ブロストン』と申します。」


【鍛冶師のヘファイストスです。こちらこそよろしくお願い致します。】


手を差し出して来たので握手に答える。

握手を放して腰を掛ける。


「紅茶でございます。」


いつのまにかメイドさんが紅茶を入れてくれていた。


耳が長い!?

あ!

エルフだこの人。

美人さんだ、胸はそんなに大きくないみたいだが、お近づきになりたいね。


待て待て!

そう!

交渉だったよね!

妄想から引き返して来たぜ。

・・・危ない、危ない。


【ありがとうございます。】


そう言い頭を下げる。

美人エルフメイドさんが元の位置に戻る。


【ありがたく、いただきます。】


「いひゃだきまう!」


一口、口を付ける。

ほう、高級な茶葉を使っている紅茶だと分かる。

前世で言う所のダージリンに似ていて香りも良く引き立っている。

さすがエルフメイドさん。

心得ているな。


でも、やはりブリリアントなメイド服では無いのだね。

もったいないな・・・俺が布教しよう。


おっと、話に集中しないとね。


「さてと早速ですが交渉を・・・ヘファイストス様がお持ちになった「高品質」の「最高級ポーション」ですがどちらで手に入れたものでしょうか?」


ん?

入手経路とか必要なのか?

ゲームの時はプレイヤーが普通に売っていて、そんなに大金では売られてないし気にしてなかったよ。


【私は鍛冶師でもあり『商人』でもありますので、それを言う事は出来ません。】


ニッコリと笑顔で無難に返事をしてみた。

良い商品の入手経路をベラベラと言う馬鹿な商人はいないですよね?


「そうですか・・・当然ですよね。入手経路が分かれば商人としての旨味は無くなりますから・・・もしも安定して手に入れる事が出来るようならばと思いまして一応聞かせて頂きました。」


ブロストンさんが残念そうな顔をする。


てへっ!

作っちゃいました!

って言ったら大騒ぎになるんだろうな。


大事になるのはこちらとしては望んでいないので秘密だ。


「それで、高品質の最高級ポーションは買取が難しい商品になりますので、『王都』の『オークション』に出品してみてはいかがでしょうか?」


【王都のオークション?】


「はい、王都のオークションならば、この品質の物でしたら高値が付きます。支払いも銀行の小切手の決算で簡単に出来ますので、オークションの手数料五%だけで済みます。」


この手数料って前世の消費税みたいで嫌なんだよね。

たしか今は十%まで上がったんだっけか?


「いかがでしょうか?もちろん商品の運搬費等の諸経費は取りませんので御安心下さい。」


【ずいぶんと待遇が良いですね?ギルドの方には旨味が無いと思われますが?】


「それだけ必要としている人が多い物であると、御認識を頂ければと。」


ふむ、ギルドとしては持ち込んだことで面目が立つし、全く旨味が無い訳ではないといった所かな?

少し時間は掛かるが大金ゲットのチャンスか・・・。


そういえばゲームの時には各街の近くまでの『フェアリー・ゲート』があったからそれを使うのかな?

フェアリー・ゲートとは月の満ち欠けにより使用出来る、各都市の近郊までを魔法の出入り口で繋いでいるゲートの事だ。


【フェアリー・ゲートが使えれば運搬はかなり短縮出来ますしね。】


あれば良いなと思いカマを掛けてみた。


「おお、フェアリー・ゲートをご存じでしたか。」


【ええ、もちろん。】


そう言ってニッコリと笑顔を浮かべる。


何だか分からないけど、凄いのです、ヘファさん!

的な顔をして俺を見つめて来るアリス。

はっはっは、おっさんは調子に乗りやすいのだよ。

もっと見たまえ、アリス君。


そうか・・・あるんだな、フェアリー・ゲート。


「今は月の状態も良いので王都のオークションにも間に合うでしょう、もちろん帰って来るのにも。」


ブロストンさんはそう言っている。

フェアリー・ゲートが使えるのならば運搬は安全だね。


【では、それで、お願い出来ますでしょうか?】


ブロストンさんが肯く。


「御任せ下さい、必ずや高値で売り捌いて見せますよ。」


【期待しております。】


「「はっはっは。」」


二人の笑い声が部屋にこだました。


ちらりとアリスの方に視線を向けると、焼き菓子を口に詰め込んでいる所だった。

可愛いな!

この、ハムスターっ子め!


商談が終わったのでアリスと共に部屋を出て通路を進んで行く。

俺達を見つけたナナリーさんが駆け寄って来た。


「商談はいかがでしたかー?」


少し興奮気味に聞いてくる。

内容は言えないがうまく行った事だけ伝える。


「よかったですねー!」


と、満面の笑みで我が事のように喜んでくれた。

うん、でっかい双丘が揺れていますよー?


ポニョン、ポニョンと・・・。

でっけえなぁ。

アレに顔を埋めてみてえなぁ。

いやいや、我慢しろ。


眼福、眼福っとね。


さてと、明日から鍛冶仕事で通う事になりそうだし挨拶をしておくか。


【明日からよろしくお願いしますね、ナナリーさん。】


「はい、十時から十七時までですので時間に気を付けて下さいー。」


【分かりました。ありがとうございます。】


ナナリーさんにお辞儀をしてギルドを出る。


通りに出た所で黙っていたアリスに話しかける。


【アリス、良い子にしてたじゃないか?】


「はいなのですー!」


左手をシュタ!っと上げる。


【戻ったら何を作るのか考えないとね。】


「はいなのですー!」


左手をシュタ!っと上げる。


【焼き菓子は美味しかったですか?】


「はいなのですー!」


左手をシュタ!っと上げる。


【まだお腹は減ってますか?】


「はいなのですー!」


左手をシュタ!っと上げる。


【あはは、じゃあ帰ってルイスさん達と合流して晩御飯にしようね。】


「はいなのですー!」


左手をシュタ!っと上げる。


【さっきから『はいなのですー!』しか言ってないよ?】


「そ、そんな事はないのです!」


【あははは。】


「むー・・・。」


ぷくっとしている。

可愛いな。

頭をグリグリと撫でてやる。

アリスは一日中俺と行動をしている。

さすがに疲れているだろう。


この歳でたいしたものだ。


【よし、帰ろうか。】


さあて、初めて会う子供達はどんな子だろうか。


いろいろ買いたい物はあるけど今回は必要な物だけ買うかな。

タオルとバスタオルに石鹸を人数分買っておこう。


途中、雑貨屋に寄ってみた。

この世界の石鹸は獣の油から作っているらしく良い匂いはしない。

当然のごとくシャンプーやリンスは無い。

まあ、仕方が無いがさっぱりする分には良いだろう。

バスタオルって結構良い値段するのねぇ。

でも、明日から仕事とはいえ英気を養いたいからね。


街には街灯に魔法で明かりをつけて歩いている人達がいる。


空を見上げると良い感じに夜のとばりが下りて来た所だった。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

次回、新しい仲間達(仮

でお会いしましょう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ