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ゲームで伝説の鍛冶師だった、元アラフォーおっさんの異世界転移奮闘記  作者: Maya
第一幕 第一章:そして始まる異世界生活
5/302

ルイスを説得せよ!

続きとなります。

お楽しみください。

よろしくお願いします。

東通りに向かってアリスと歩いて行く。


「ここは『銀行』なのです、お金や大事な物を預けるのです。」


ほう、やはりあったか銀行、北通りに入ってすぐの所だった。

こんな所にあったのか、今度寄ってみよう。

お腹が膨らんで元気になったアリスは年相応の子供のようになっていた。

このぐらいの子には元気でいてもらいたいね。


「ここから東通りなのですー!」


そんなアリスに、気になっていた事を聞きながら歩いている。


【アリス、真ん中にある高い建物は知っている?】


「貴族様の御屋敷なのですー。」


ほー、やはりいるのか『お貴族様』。

あまり関わりあいたくはないね。


東通りは雑貨の露店が多いみたいだ。

結構賑わっている。


えーっと探してる物があると良いなと思いつつ店に目を配る。

すると目的の店らしき所を発見した。

そう、『ポーション』を売っているお店だ。

アリスを伴って店へ入る。


「いらっしゃい、残念ながらポーションは売り切れたよ。」


と、おじさん・・・俺の事じゃないぞ?

が、言ってきた。

店主さんだろうか?


しかし、残念だ。

ルイスちゃんと会う前に実物を見ておきたかったのだ。

露天商が擂鉢すりばちとポーション用の空き瓶を売っていたので擂鉢を五個、瓶をあるだけ買っておく。

ゲームと同じなら、この擂鉢と瓶と秘薬で作れるはずだ。


店主に聞くとポーションは人気があるのでランクによらず、すぐに売り切れるらしい。

ついでにポーションの値段も聞く。


ふむふむ、下級ポーションだと銅貨五枚か・・・結構良い値段するのね。


下級ポーション:銅貨五枚

中級ポーション:大銅貨一枚

上級ポーション:大銅貨三枚


こんな所らしい。

そういえば上級以上のポーションと『高品質』の話が出なかったな。

高品質のポーションの事を聞いてみると、この街に作成出来る人間が三人しかいなく品薄との事だった。


「高品質のポーションなんて滅多に出回らないからな、それこそ掘り出しもんだぜ?不純物が無いし即効性の分、値段だってかなりするのさ。」


そう店主が言う。


【即効性?】


店主に聞き返す。


「そうだ、通常品は味もえぐみがあって、吐き出しそうになるぐらいすごく不味いしな。それと飲んだ後に動いたり攻撃を食らうと回復が途中で止まっちまうんだ。」


【高品質だと、どうなるんでしょうか?】


「兄ちゃん、冒険者じゃないのかい?」


【貴方と同じく商人ですよ。】


「そうか、なら教えてやる。高品質は水を飲んでいるようで美味い。更に飲むと一瞬で回復する。物にもよるが解毒でも一瞬だぜ?」


店主の話から「高品質」の「上級ポーション」の値段は少なくとも銀貨辺りで取引されるだろうと予想が出来た。

ほほー、それで品薄なんだ。

俺の考えた通りだと思うとニヤリと笑う。


「ヘファさんが悪い顔をしているのですー。」


【シテナイデスヨ?アリスオジョウサマ。】


アリスは「ふふっ」と笑いながら「してたのですー。」と言っている。


【キノセイデスヨ、オジョウサマ。】


まあ、ある程度ポーションの相場が分かったのは助かるね。

これからの交渉に必要なんだよね。

まあ、ルイスちゃんに利益があると信じてもらえればなんだけど。

アリス達の為にもルイスちゃんから多少強引にでも『信用』を得て手伝ってもらわないとね。


【そろそろ行くよ、ありがとう。】


「まいど!今度はポーションのある時に寄ってくれよ!」


ポーション屋を出て東通りを更に進んで行く。

色々と興味を惹かれるお店があるが、今はルイスちゃんとの交渉だ。

必要な物は手に入ったので今回はスルーだ。


ごめんね、巨乳のお姉さん、今度見に来るからね。

ふふふ、一体何を見に来るんだ?

もちろん、その立派な・・・おっと平常心だ、平常心だ。


テクテクという足音の擬音が似合いそうなアリスの後を付いて行く。


人にぶつかったりする時にスリをしようとするような人もいたので気を付けよう。

バックパック様に手を突っ込んで、盗ろうとした奴には「強め」に手を握ってあげた。

「ギャー!」って手を押さえてうずくまる人が三人程いたがそこは気にしない。

っふ、STR999のチートをなめるなよ?


アリスとは、会話をしながら目的地に向かう。

あそこの串焼きが美味しいですよとか、服なら南通りのお店が良いですとか、色々聞きながらルイスちゃんがいるであろう場所に向かう。

なんか親子で買い物をしている気分だ。

東通りの真ん中辺りに来た、と思ったらアリスが駆け出した。


「ルイスちゃーん。」


おっと『ルイスちゃん』を見つけたようだ。

人混みを避けながら後を追って駆け出す。


お?

あの子かな?

髪の毛は茶色、手入れはされていないようだがその髪を腰元辺りまで伸ばしている。

茶色い切れ長の目で見た感じ眼鏡の似合いそうな学校の委員長タイプの美人さんだ。

眼鏡は掛けてないけれどね。

身長は160cmぐらいだろうか、俺とそんなに変わらないな。

悔しくなんかないぞ?

出る所は出て引っ込んでいる所は引っ込んでいる俺好みの良いスタイルだ。

良いね。


とても魅力的だ。


ん?

よく見ると目の下にクマがあるな。

美人さんなのにもったいない。

働きすぎなんだろうな。

堅物そうだけどしっかり者に違いない。

年齢は十五~十七歳だろうか?

勝手にそう思っていると、ルイスちゃんがアリスに気付く。


「アリス!?どうしたの?何かあったの?」


心配そうにアリスに駆け寄る。

怪我が無いかペタペタと体を触って確かめているようだ。

うん、良い姉っぷりだね。

微笑ましい。


ホッコリするよ。


ルイスちゃんも果物、見た感じは洋ナシっぽい物を売っているみたいだ。

籠の中を見ると、どうやら売れ行きはあまり良く無いらしい。

アリスがルイスちゃんに言う。


「えっとですね、お仕事の話をしたいっていう人を連れて来たのです。」


そのアリスからの言葉を聞いたとたん、ルイスちゃんの目つきが険しくなったような気がした。


「またなの?アリス。貴女そういう話で何度痛い目にあったか、覚えてるわよね?」


「ヘ、ヘファさんは大丈夫なのです!」


ルイスちゃんが「ッキ」っとこちらを睨む。

うわ、目つきが怖い。

美人さんが凄むのは迫力があるな。

いや、美人だからか?


ん?

体が青く光るぞ?

なんだろう?

誰かに何かされているみたいだ。

ああ、ルイスちゃんかな?

鑑定辺りを使っているのかもね。


何はともあれ挨拶だ。


【こんにちは、初めまして。私はヘファイストスと申す者です。長いのでヘファと呼んで下さい。貴女がルイスさんですか?】


当たり障りのない挨拶をする。

返答を待っているとしばらく俺を観察していたルイスちゃんが言って来る。


「そうですが、お仕事の話は間に合っていますので、すみませんがご遠慮を!」


ピシャっと目の前でシャッターを閉められたようなお断りだと!?

だが、まだだ!

この程度では諦めないぜ?


【ルイスさん、まずはお話だけでも聞いて頂けませんか?】


そう言うと胸の下で腕を組んでこう言われた。


「っは、貴方様には貧しい子供達を体よく使おうっていう魂胆がおありでしょうが、私がいる限りさせませんよ?」


ん?

何の事だ?

話すら聞いてもらえなさそうだぞ?

胸の前で腕を組むのは防衛本能だとかなんとか前世の本で読んだ事があるな。


「そう言うお仕事の話はお断りしているんです!お引き取りを!」


あー、成程。

こういう美味しい話にかこつけて利用されて来てるのかな?

先程の「痛い目」と言う会話でなんとなく分かった。

右往左往しているアリスが声を上げる。


「ルイスちゃん、お話だけでも聞いてあげてほしいのです。」


「っぐ・・・ア、アリスの頼みでもだ、駄目だったら駄目なんですからね!」


揺れた!

良いぞアリス!


「お願い、ルイスちゃん。」


アリスがウルウルした目でルイスを見上げる。

もう一押しかな?


【ルイスさん、話だけでも。】


「っく・・・ア、アリスがそんなに言うなら・・・話を聞くだけですからね?良いですか!?」


プイっと横を向きながら言う。

アリスの事になるとチョロイなぁ。

心配だと心の中で苦笑いをする。


【結構ですよ。】


だけど良かった。

話を聞いてもらえるようだ。

何だかんだ言ってアリスには甘いのだろう。


良かったと思ってアリスの方に視線を向けると、ルイスちゃんに見えない位置で舌を出していた。


テヘペロ泣き落としとは・・・アリス、恐るべし!


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


立ち話だとアレなので、三人で近くの喫茶店らしき所に入る。


店員のお姉さんに周りに人のいない席をお願いして奥のテーブル席に着く。

昼過ぎだからなのかお客さんが他にいない。

もっと賑わっていそうな物だが何でだろうか?


「メニューになりまーす。」


お姉さんも暇なのか注文が決まるまで近くにいる。

スタイルの良いお姉さんだ。

だが、俺はルイスちゃんの方が好みだね。

うへへ・・・あの巨乳は・・・っと、話しに来たんだろう?


メニューにある青紅茶というものが目に留まった。

これにしよう。


【青紅茶を三人分お願いします。】


そう、お姉さんに言う。


「施しを受ける理由がないのでお断り致します。」


と、ルイスちゃんが即答する。

っく、手厳しいなルイスちゃん。


【貴重な時間を頂いているのですからこれぐらいは。】


俺が言うとアリスがフォローしてくれる。


「アリスはー、とっても喉が渇いたのですー。」


【ルイスさんも喉が渇いていらっしゃるでしょう?是非、御一緒に。】


「ルイスちゃん、喉が渇いたのですー!」


ナイスだアリスと心の中で「グッ!」と親指を立てる。


「そ、そこまでおっしゃるなら・・・。」


渋々だが受け入れてくれたようだ。

注文を取ったお姉さんが厨房の方へ消えて行った。

視線はそのお尻を追いかける。

待て待て、お話が先だ。

そうするとルイスちゃんが謝って来た。


「まずは、無断で鑑定スキルを使ってしまった事をお詫び致します。申し訳ありませんでした。」


ん?

先制パンチが来た。

他人に無断で鑑定スキルを使うのはまずいのかな?

俺も気を付けよう。


あれ?

じゃあ降り立った時とさっき青くなったのはスキルを使われていたからか?

降り立った時は誰に使われていたんだろうか?

・・・これも要確認だね。


【いえ、気にしておりませんよ。】


と、俺は笑顔で言う。


「謝罪を受け入れて頂き、ありがとうございます。」


すると表情が険しくなり言って来る。


「それで、どんな美味しいお話で「ヘファイストス様」は私達を利用しようとされているんですか?」


落ち着くなりきつい言葉のボディブローが的確にリバーに突き刺さる。

心の声で『ぐほっ』とか言っちゃったぞ?

だがなんとか堪える事が出来た。

ルイスちゃん良いパンチだったぜ。


さてと、俺のターンだな。


【まずはこれを見てもらおうかと思いまして。】


バックパックから擂鉢とポーション用の瓶と秘薬を八種類を取り出す。


「擂鉢と秘薬?錬金術ですよね?珍しくは無いですね。ポーションでしたら早い時間ならその辺りの露店でも売っていますよ?」


【えっとルイスさん、貴女は「鑑定スキル」を使えますね?】


これはルイスちゃんに会った時に俺に対してスキルを使われていたから分かっていた。

先程も謝っていたしね。

どうやら俺は、スキルを使われると体が薄く青色に光っている様に見えるみたいだ。

俺だけかもしれないが。

ああ、確認したい事が増えて行くなぁ。


「ええ、まだ未熟ですが持っています。未熟なもので「ヘファイストス様」のステータスは確認できませんでしたけれどもね。」


いちいち棘のある言い方だがまあ良い。

第一段階クリアと思っておこう。


【鑑定のスキル値はどれぐらいですか?】


「スキル値?」


【ああ、自分のスキル値ですよ?】


この世界では鑑定を成功させないとスキル表示が出きなくて分からないらしいからね。

これも要確認だね。


「?」


あれ?

スキル値の事は分からないのか?


【ふむ。なら、ポーションの鑑定は出来ますでしょうか?】


違う方向からアプローチしてみる。

ルイスちゃんは何を言ってるんだこの人?

みたいな顔をしている。


「先程から何を言っているのですか?」


【出来るのですか?出来ないのですか?】


少し強めに聞いてみる。

ルイスちゃんは身構えてしまった。


「で、出来ます!出来るに決まっています!」


と、そう言う。

挑発は上手くいったようだ。

第二段階クリアかな?


【よろしい、ならば見ていて下さい。】


「何をするつもりですか?」


ルイスちゃんの警戒心が上がった気がする。


【はい、まずは実践しようかなって思いましてね。】


「実践?ですか?」


【ええ、見てもらってからの方がお話に納得が行くかと思いまして。】


ふん!

と、言ってルイスちゃんはそっぽを向く。


「低級のポーション等は珍しくもないのに、それでポーションの話等を持って来て私達に秘薬を安値で集めさせようという魂胆ですか?」


ゴフッ、手厳しいな。

だが中身はアラフォーのおっさんだ耐久力はそれなりにある。

これぐらいで挫けるような人生・・・多分、生きてないよな?

あまり自信はない。

だが、そのぐらいの耐久力はあるはずだ。

あるよな・・・?


「何をなさろうが無駄ですよ。」


【まぁ、見てて下さい。】


俺は目をつむりスキルの一覧から錬金術のスキルを選ぶ。

瓶を持ちスキルを発動する。

秘薬を擂鉢に入れて魔力水を流し込む。

そして秘薬をすりつぶして行く。


ゴリゴリゴリ・・・


マジで頼むぜ、『アリステリア様!』

スキルが発動し淡い黄金色の光が掌を包む。

手の中に何かが現れる感じがする。

瓶の中に液体が湧き出る。


そう、ポーションだ。


「え!?」


驚いたルイスちゃんの声が上がる。


そう、俺は『回復ポーションの高品質の最高級ポーション』を作って見せたのだ。

なんか金色でポーションがキラキラしてるけど大丈夫だよね?


「魔力壺も無しにポーションが作れるのですか!?・・・けれどその低級ポーション等そこいらの露店でも売っていますよ?」


そう、設備も無しにポーションを作って見せたのだ。


「大道芸ですね。」


と、ボソッと聞こえた。

だがその顔はとても驚いていた。

もうちょっとなんだけれどなと思いルイスちゃんを見る。

あからさまに厳し気な顔をしているルイスちゃん。

そしてワクワクしてこっちを見ているアリス。


出来上がったばかりのポーションをルイスちゃんの方へ差し出す。


【ルイスさん、そう言わずに鑑定をして頂けますか?】


「・・・無駄でしょうけど。」


ルイスちゃんが瓶を手に取る。


「鑑定。」


しばらくすると驚いている声が。


「そ、そんな!鑑定出来ないと言う事は上級ポーション以上の・・・!?上級ポーションでも大銅貨三枚ぐらいの価値があるし、この街では三人しか作れないはずよ!?」


お!

鑑定が出来ないから上級ポーションと判断したみたいだ。

だがそこまでの鑑定しかできないのは、彼女の鑑定は少なくとも四十前後と言った所か。

「高品質」とかも見抜ければもっと良かったのだが。


「青紅茶です、お待たせしました。」


うおっ?

お姉さんの気配がしなかったぞ?

やるな、お姉さん。


それぞれの前に青紅茶を置いて行く。

アリスが足をブラブラさせて暇そうだったので何か追加をするか。

時計を見ると十四時五十分、そろそろ十五時だしね。

甘い物にしよう。


「えっと、追加良いですか?『蜜菓子』を二個追加でお願いしますね?」


「・・・蜜菓子ですか?」


お姉さんはアリスとルイスちゃんの方を見る。


【何かございますか?】


そう言ってルイスちゃんに見えないようにお姉さんに大銅貨一枚を握らせる。


「かしこまりました~♪」


恰好で差別されたのだろうか?

むう、体は好みなのに性格はあまりよろしくないようだ。


アリスが蜜菓子?

っていう顔をしている。


【甘くて美味しいからね。食べてみてよ。】


「甘いのです!?」


【うん、もうちょっと待っていようね。】


「はいなのです!」


うむ、そういえばこの世界にはメイド服のようなブリリアントな物は無いのか?

野暮ったい作業服の様な物しか無いのだろうか?

ああ、そうか自作して布教すれば良いのか。


ルイスちゃんに似合いそうだなと邪な考えをしてみる。

・・・いやいや集中しろよ。

でも、お姉さんが良いタイミングで持ってくるんのが悪いんだい!

いい加減に話を戻そうね。


ポーションを作って見せた。

だが俺が作ったのは「上級ポーション」ではない「高品質」の「最高級ポーション」だ。

「高品質」になると味にえぐみが無くなり飲みやすく即効性があると聞いたからだ。


オレンジジュースを思いながら作ったので、もしかしたらオレンジの味がするかもしれない。

まあ、冗談だけどね。

それを俺は目の前でポーション作りに必要とされる錬金窯無しで作って見せたのだ。


【お分かり頂けただろうか。そう俺は五ランクあるポーションを自在に作れるのです!】


ここで『ドドーン!』と吹き出しが出れば完璧だったね!

ポーションには 下級、中級、上級、高級、最高級の五ランクがある。

それぞれに通常品質と高品質がある。


【ちなみにそれは「高品質」の「最高級ポーション」ですからね。】


「え!?う・・・嘘!?」


最高級ポーションと聞いてルイスちゃんの顔が青くなっている。


「高品質の最高級ポーションと言う事は、体の欠損部分も治るというポーションですよ!?」


完璧な鑑定が出来なくて悔しいのか疑いの目でこちらを見ている。

ルイスちゃんはある程度ポーションの事は勉強しているんだなと感心する。


【俺の信仰している創造神『アリステリア様』に誓っても良いですよ?それでも疑うのならギルドで鑑定を受けても良いです。】


ギルドの鑑定員ならば、少なくとも最高級だと分かるだろう・・・。

分かるよね?

そう言うと驚いた表情で呟いている。


「こ、高品質でしかも最高級ポーションなんていくらなんでも・・・。」


そりゃー驚くだろう、けれども値段なんて解りませんね。

通常は売ってないだろうし、最高級品の相場なんて知らないからね。

さっきのお店だと下級ポーションしか扱っていなかったからね。

売り切れだったけど。

下級ポーションがあの相場なら最高級ポーションは一体いくらになるのかな?

しかも高品質だ。


俺もぶっちゃけポーションが出来るかどうかは賭けだったからね。

スキル様のおかげだ。

『アリステリア様』、ありがとう。

目を閉じて祈る。

ふと、『アリステリア様』の微笑んでいる顔が見えたような気がした。


だがそう、これで確信が持てた。

これで俺は鍛冶等のスキルでも色々なランクの物が全て作れるはずだ。

考えを纏めていると声がかかる。


「あ・・・あの回復ポーションで高品質の中級品を作って頂けませんか?」


【ええ、構いませんよ?】


消費されてしまった秘薬と瓶をバックパックから出し集中する。

バックパックから出さなくても良いのだがこうした方が分かりやすいだろう。

先程と同じ手順を踏む。

先程とは違い今度は黄色の光が・・・。

出来上がったポーションをルイスちゃんに渡す。

これなら十分に鑑定できるだろう。


「鑑定。」


ルイスちゃんのスキル値だったらこれなら鑑定できるだろう。


「凄いわ・・・高品質の中級ポーション、これでも大銅貨二枚以上で売れるわ!」


うん、どうやら分かってくれたようだ。


【ルイスさん、今から作るポーションを、良かったら飲んで頂けますか?】


「え?何故ですか!?」


せっかくの美人さんの目の下にクマがあるからね。


【その様子だと本調子ではありませんね?調子が悪くてはこれからの仕事に支障がでますし、確認の為にも、是非飲んでみて下さい。】


そう言って飲むように勧める。


「そう見えますか・・・分かりました、頂きます。」


必要な秘薬を取り出し、先程と同じ工程で、今度は中級の高品質スタミナポーションを作る。

赤いポーションが出来上がった。


【飲んでみて下さい。】


「分かりました。」


ルイスちゃんはそう言うと蓋を開けて、『くいっ』と飲み干す。

すぐに効果が出て、目の下のクマが一瞬で消えた。


「体が・・・軽い。凄い効き目ですね。」


驚いている所を確認出来たので話を続けるかな。


【それで、相談と言うのはこれらの商品を売る人と秘薬等を集める人を探しておりまして、それを仕事としてもらえるなら月に一度ですが「給料」を支払おうと思っております。悪い話では無いと思いますが、いかがでしょうか?】


「きゅ、給金が貰えるのですか?」


【左様です、給金が貰えます。】


この世界だと「給料」じゃなく「給金」なのか。

ルイスちゃんが考えを纏めているようだ。

質問して来る。


「あの・・・もしそれが未成年でもですか?」


【ええ、未成年でも支払われます。】


「ほ、本当ですか!?」


【ちなみにポーションだけじゃないですよ?武器や防具も作れるのでそれも売っていくつもりです。まあ、最初は露店だから思い通りにならないでしょうが。けれども今の貴方達の状況よりは安定して稼げるのではないでしょうか?】


チャンスと思い畳かける。


【そして、しばらくは宿屋で暮らせますし、将来の話ですが店舗を持つ事になれば住む場所は無料で開放出来ます。決して悪い話では無いと思いますが、いかがでしょうか?】


ルイスちゃんは、俺の話を黙って聞いている。


【最終的には、その店舗の店員や経営者等をしてもらえるようになってもらえれば良いかなと思っているのですよ。】


プレゼン能力の稚拙な俺の言葉はルイスちゃんに届いたのだろうか?

黙って話を聞いていたルイスちゃんが質問をして来た。


「一つ、よろしいですか?」


【はい、どうぞ?】


真面目な顔をして俺を見る。


「初対面でそこまで良くされる謂れがありませんが、アタシ達を憐れんでいるのですか?」


そう、彼女からすれば当然の疑問だろう。


「蜜菓子を二つ、お待たせしましたー。」


む、また良いタイミングで来るなこのお姉さんめ。

しかし良い体をしているな。

いやいや、ルイスちゃんの方が・・・。

おっと、また横道にそれてしまった。

おのれ、お姉さんめ!


いや、話に戻れよ俺。


・・・謂れと言われてもねえ。

そうそれはこの世界に来てからのちょっとした事なんだ。


【ここからは「素」で話をさせて頂きますね。】


と、断ってから話始める。


【さっきね、アリスと昼御飯を食べたんだ。】


「ええ、それはありがとうございます。」


ルイスちゃんが支払いの事を察したようにお礼を言ってくる。


【それがさー、ただのオススメだったんだけどね。】


「は、はい。」


【とっても美味しかったんだよねー。】


ルイスちゃんの顔が訳が分からないという感じの顔になる。


【そう、懐かしい人達と食べてるみたいでとても美味しかったんだ。】


ルイスちゃんの顔が余計に訳け分からないとなり、頭に?マークがいっぱいという顔になっている。


【暖かいというかね、久しぶりに幸せな気分になったんだよね。『家族』を感じた、そのお礼じゃダメかな?】


そう言うとアリスの頭を撫でる。

アリスが嬉しそうに微笑んでいる。

遠い目をしてアリスとの食事を思い出しているとルイスちゃんが話してくる。


「・・・正直に言って美味しすぎるお話ですし、怪しんでます。が、貴方の今の顔を見て「家族を感じた。」という事が良く分かりました。」


俺に撫でられているアリスを見てルイスちゃんが微笑んでいる。

前向きになってもらえたのかな?

しかし俺そんな変な顔をしていたのか?

気を付けよう。


「アタシ達が頑張って稼いでも月に銅貨二十枚が良い所でしょう。これでは育ち盛りのこの子達にお腹いっぱい食べさせて上げられない。・・・悔しいです、自分の無力さが。」


ルイスちゃんが俯く。

涙が一雫ひとしずく落ちる。

テーブルの上で握った拳が強く握りすぎて白くなっている。


【それで返事はどうかな?なるべくなら受け入れてほしいんだけど。】


ルイスちゃんが真顔になる。


「本音を聞きたいです。」


【本音と言われても、本当にそれだけの事なんだよ。】


ルイスちゃんはしばらく考えてから話しかけて来る。


「私達は五人います。」


【知ってる、アリスから聞いた。】


「アナタは、私も含めその全員の面倒を見れるとおっしゃるんですか?」


【うん、そのつもりだよ。】


思案顔になる。

どうだろうか?

受け入れてくれると嬉しいんだが。

ルイスちゃんはやがて呆れたような顔になって言って来た。


「分かりました。半々ですが受け入れましょう。確かに今のままでは三の月まで持つかどうか・・・。」


おお、説得出来たか?

良かった。

俺も緊張していたのか掌に汗をかいていた。


【それでは、これからよろしくね。】


「ええ、こちらこそ。」


服に手をこすりつけるとルイスちゃんに差し出す。

何をするか気づいたルイスちゃんはそっぽを向いて言う。


「馴れ合いは致しません!それにアナタのようなお人好しには目付け役がいないと心配です。なのでお話を受けさせて頂きます!」


ルイスちゃんが仕方なくといった顔で横を向きながらそう答えた。

頬が赤いので照れ隠しだろうか?


【それでは、せっかくなので食べて下さいね。後は宿を決めないといけないんだよね。】


「それなら、北通りに良い宿がありますのでそこでお願い致します。」


【貴女の勧めなら喜んで。】


「・・・ありがとうございます。」


そうして安心したのか目の前の蜜菓子を食べ始めた。

うん、なんとかなったのかな?


「アリス、お行儀が悪いですよ!?」


「だって甘くて美味しいんだもんー!」


「ああ!もう!こんなにこぼしてしまって!」


そうそう、こんな感じな物を守れれば良いやってね。


苦労性なのは三女のポジションだっけか?


とか、微笑ましく思いニヤニヤして二人の様子を見ている。

アリスとルイスちゃんの実の姉妹にも負けないようなやり取りが微笑ましい。


昼下がりの店内は、冬空の寒さにも負けないように暖かかった。

本日の投稿分はここまでとなります。

お付き合いありがとうございます。

不定期になるかもしれませんが投稿していきますので今後ともよろしくお願いいたします。

それでは次回「商業ギルドの登録と買取注意」(仮 でお会いしましょう。


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― 新着の感想 ―
ロリコンジジイみたいでなんだかなぁな主人公。 15-17の子供にいやらしい視線を飛ばして 半ば強引に仕事斡旋してくるのに ルイスはそういう経験値は乏しいのかな。
[一言] 「初対面でそこまで良くされる謂いわれがありませんが、アタシ達を憐れんでいるのですか?」 憐れんでいます。それが嫌ならやめますか。と聞いたら断れるのかな。
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