ルリア
皆様、新しい物語が綴られました。
お楽しみ頂ければ幸いでございます。
それでは、お楽しみください。
【ここもか?】
【ヘファイストス様?】
【・・・誘導されていますね。】
【誘導でございますか?】
【ルリアさん、俺は必ず、貴女を守って見せます!】
【ヘファイストス様・・・。】
建物の中から飛び出す。
「ここにいるぞ!」
「こっちだ!」
やはり誘導されている。
このままではマズイ。
「紅玉様!」
【蘭さん、ですか!?】
「包囲せよ!」
ッザ!
ザッザ!
ジン殿の家の前で包囲されてしまった。
しかし、いつの間に包囲網など敷かれたのだろうか?
「紅玉殿、これ以上逃げると言うのなら貴方様でも許す事は出来ません。」
【蘭さん、彼女は、まだ何もしていませんよ?】
「過去から繋がっているのですよ、我ら「バイ」一族の目標はその悪魔を倒す事です!展開、遅いぞ!」
「お嬢、私が時間を稼いで見せましょう。」
「行きなさい、女媧!」
「必ずや、生け捕って御覧に入れる!愛琳、護衛は任せた!」
「承知。」
「どりゃあああぁぁぁ!!!」
ガギイィィィン!
ルリアさんを後ろに庇いその一撃を止める。
【流石ですね、女媧さん。】
「お嬢の包囲網は甘くないぞ?逃げれるとは思わぬ事だ!」
キィィン!
ガギン!
「流石だな、ヘファイストス!」
【何故だ、この人はまだ何もやっていないぞ!?】
「我らが一族の無念、ここで・・・断ち切ります!」
【そんな過去の怨念に縛られてはいけませんよ、蘭さん!】
ガギイィィ!
ギリギリギリ・・・
この状態は不利だ。
しかもいつの間に包囲網などを?
蘭さんは頭の回る方の人だったのか。
今回は完全にしてやられた。
ああ、師匠やミカのように人を見る目が欲しい。
「強者相手に長考するのか?それは傲慢だろう、ヘファイストス!」
ドゴッ!
くおっ!
駄目だこのままではジリ貧だ。
解決策として何かないか、何か?
くそ、何も思いつかない。
「それはな、過去からの因縁があるのよ。」
【ジン殿!?】
「ジン殿と言えど、お嬢の戦場に割り込むのはいけませんな!」
「まあ待て、女媧よ。ヘファイストス殿に聞きたい事があるんじゃが・・・ええかの?」
「女媧。」
「っく、承知いたしました、お嬢様。」
そう言うと女媧さんは下がっていく。
【ジン殿話とは?】
「いや、単純な事じゃよ。ヘファイストス殿はその娘をどう見ておるのかのぉ?」
【悪魔と言われようが、ただのか弱い女の子だ!それを怨念や因縁の為に殺すのは違うと思いますよ、ジン殿!】
「ならば我らが間違っていると?」
【過去の怨念が何年前の話であっても、今いるルリアさんは違う、ただの女の子だ!】
「答えになっておらんぞ、で、どう見るよ、英雄殿?」
【彼女だって生きているんだ、友達もいるし飯だって食う。普通なんだよ、ジン殿。】
「……。」
【それでもその過去への道、因果の道を通ると言うのなら・・・国を亡ぼす覚悟で来い・・・俺の信念はこのぐらいじゃ止まらないぞ?】
「・・・妄執か。」
【・・・。】
「では、我らの先祖が殺されておることはいかがするか?これは事実じゃよ?」
【それなら!】
【ヘファイストス様、私は十二分に幸せでした。貴方様と出会ったから、私に・・・ルリアになれたんです。】
【違う、そう言う事を言っているんじゃない。】
【大人しく捕まるのが私の役目なのでしょう。】
【違う、それだと君は!】
【本当は皆さんともっと一緒にいて笑い合いたい!でも!!!】
【ならそうすればいい、貴女にはその資格がある!】
「そろそろ良いか、ヘファイストス。我らの代で過去の因縁と決着をつけるぞ!」
【黙って見ている俺ではありませんよ?】
「いいぞ、これで貴様を潰しその女を殺すだけだ!」
【妄執に囚われた考えの人には負ける訳にはいかない!】
「待てと言うのだ、女媧。」
「お屋形様?」
「女媧の申す通りだ、このままではらちが明かんのも事実、お互いに妥協点を見つけようではないか。」
【妥協点ですか?】
「そうじゃ、こちらからの提案は一つじゃ。」
【ジン殿、それでは妥協できないと言っていますよね?】
「そう焦るな、紅玉殿よ。こちらからの妥協案は・・・もう一度眠ってもらうのはどうじゃ?」
「お父様!?」
【眠る?】
「封印じゃよ。」
【封印?】
「その娘、地下の施設で寝ておったようなのだ。」
【地下の施設?】
「皆、ついて来るが良い。」
ジンさんはそう言うと歩いて行く。
「包囲解除、全体解散・・・。」
「お嬢、無念であります。」
「お父様の意見です。ここは聞きましょう。」
蘭さんがそう言った事で包囲網は解かれ出来た道をジン殿と一緒に歩いて行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お父様、私がやっつけてあげるね!」
「蘭になら出来るであろうが、無茶はせん様にな。」
「その七大悪魔って強いの?」
「強いぞー。伝説の悪魔じゃからのぉ。」
「もう、いつもそればかり・・・蘭はお父様を超えて見せますの!」
「あっはっは、わしもそんな簡単には倒れまいて。」
「・・・・・・。」
「・・・。」
「んっ?」
「お嬢?」
「お嬢様?」
「女媧、愛琳、少し眠っていたようです。」
「お嬢、最近寝不足ではありませんか?」
「左様です、お嬢様。睡眠は大切でございます。」
「これで一族の悲願が成就されるのでしたら・・・ヘファイストス、何故邪魔を・・・。」
「お嬢、私がおれば逃げ出せは致しませんぞ!」
「出来うる限りお嬢様のお力に・・・。」
「頼みましたよ、女媧、愛琳。」
「「ハハッ!!」」
「しかし、難しい物ですね。」
そう言った蘭の顔には決意の表情が浮かんでいた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ついたぞ、バイジンの秘密の部屋じゃ。ここはバイ一族の長しか知らぬ部屋よ。」
「ここに、こんな所にルリアがいたってのかよ?」
【ジーナ、落ち着いて、ね?】
「ルリアがそう言うのなら・・・。」
【ここが封印の地?】
「ヘファイストス殿は何か知っておるのか?」
【いえ、このような設備は初めて見ました。】
四方から伸びているのは白かったであろう紙の札に何かが書かれている。
それはまさに封印の地と呼ばれるのがふさわしい部屋であった。
【私はここにいたんですか?】
「そうじゃの中央、人が寝ていたであろう部分の下、そこを見てみぃ。」
【古代文字、ジン殿こ、これは・・・。】
「そうじゃ、ルクスリアと書いてあるらしい。」
【ルクスリア・・・。】
「ここに再封印すればいいであろう、蘭よ。」
「お父様の意見には従います。」
「お嬢よろしいのですか!?」
「お嬢様の悲願を達成できるのですよ?」
「女媧、愛琳、お父様の言う事です。」
「済みませんでした、ジン様。」
「申し訳ございません、ジン様。」
「よい、それで封印の方法なのだが、何か分からんかの?」
【・・・これアーゼ様とリーゼ様が言っていた封印の仕方だ。】
「分かるのか、ヘファイストス殿よ。」
【9thの魔法である「ホーリー・アーク」を使います。だが・・・このままでは駄目だ。封印する事で術者が死んでしまう。】
「なんじゃと?」
「それでは使えぬではないか、ヘファイストスよ!」
【だが・・・これは鍛え直せる。】
「何かおっしゃいまして?」
【完成された魔法だが術者の命を媒介にするのは代償が重すぎる。役割を希少素材に、ドラゴンの生命力に交換しましょう。】
「そんな事が、可能なのか!?」
【ドラゴンの心臓は禁忌である「リザレクト・ポーション」を作れる程の物なのです。できます、これで再封印できますよ!】
その言葉を聞いた皆が俺の方を見る。
【ぼうっとしてないで封印の魔法陣を描き上げましょう。あとは四方の封印の綱にも施します。忙しくなるぞ!】
「かしこまりました、紅玉殿。」
「出来るのなら国民に害を及ぼさん様にな。」
「女媧、念の為にこの場所から一kmの者達に避難の誘導をなさい。愛琳はその手伝いをなさい。」
「「かしこまりました、お嬢様。」」
そう言うと命の下った二人は部屋を飛び出す。
「ヘファイストス殿。」
【何でしょうか、蘭様?】
「これで、許されたと思うのは早計ですよ、他の首長達にも、のちほど説明をお願いしますね。」
【それはもちろんです、蘭殿。】
こうして魔法の再構築が始まった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【この魔法陣ですがここに媒体の生命力を流しこむ陣になっているので・・・。】
「なるほど、ここを変えるのですね?」
【そうです、ここの部分を媒体であるドラゴンの心臓に置き換えます。】
「紅玉殿、ここで良いのか?」
【ええ、シェラハザードさん、魔法の解析も出来るのですね。】
「褒めても何も出んぞ?」
「紅玉殿、綱を張り終えましたぞ。」
【これが新しい封印札です、封印縄の間に挟んで行って下さい。】
「任されよ。」
【皆さんが、私の為にあんなにも・・・懸命になってくれていらっしゃるのですね。】
「・・・ルリアさー、もうアタイとは会えなくなるって事を忘れてないだろうね?」
【ジーナとはいつでも会えるよ?】
「本当かい?」
【ここに、ジーナのかっこいい所と可愛い所はちゃんと残ってるんだ。】
自分の胸元に手を当て、そこに刻まれた記憶を示すように得意げに微笑む。
自分だけが寂しい訳じゃない。
ルリアも寂しいんだな。
でも・・・アタイは・・・。
「ルリアが次に目覚めるのはいつなんだい?」
【112年後だって・・・。】
「アタイとは会えないじゃないか・・・。」
【でもジーナの家族と会う事が出来るよ?だから・・・元気にお祖母ちゃんをやっててね、ジーナ。】
「お祖母ちゃんかー、こんなアタイでもいい祖母ちゃんになれるのかねぇ。」
【ジーナなら出来るよ。】
「へーいへい、あー何もやれる事が無いと暇だねぇ。」
【ねえ、ジーナ。】
「何だよ、ルリア?」
【大好きだったよ、ジーナ。】
「・・・お前、今それを言うのは反則だろう?」
【今だから言っておきたくて・・・駄目だった?】
「そんな事ねえさ、アタイも好きだよ、ルリア。」
【じゃあ、約束ね、ジーナ。】
「約束ってなんだよ?」
【必ず・・・迎えに行くよ。待っててね、ジーナ。】
「112年も待ってろってか?」
【大丈夫、ジーナなら出来るよ。】
「・・・約束だからな?」
【ありがとう、ジーナ。】
プイッっと横を向いてしまった。
でもそれが照れ隠しなのは耳を見れば分かる。
ふふ、愛しているわ、ジーナ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
しばらくしてその封印の魔法陣は完成した。
「すげえな・・・ルリアはあそこで一人になるのか?」
【ジーナ、一人じゃないよ?】
「そっか・・・ところでその服は何なんだい?」
【この服にも意味があるんだって。】
「まあ、アタイには分かんねえよ。あとはヘファイストスさんしだいかぁ~。」
【ジーナ、色々とありがとうね。】
「貸にしといてやるから・・・あと、約束、絶対だからな?」
【私の魂にかけて。】
「ルリアさん、では中央へ。」
【行って来ます、ジーナ。】
「ああ、行ってこい、ルリア!」
そう言って歩いて行くルリア。
振り向くと手を振る。
段々と・・・遠くへ・・・。
そして・・・。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【封印を致します、皆さんは見ているだけで大丈夫です・・・それでは始めます!】
【ヘファイストスさん、皆さん・・・ジーナ、ありがとう。姉妹達をお願いします。】
「「「・・・。」」」
【白雲の彼方たる蒼穹よ、暗雲の・・・
「ル、ルリア!」
その果ての聖櫃に・・・
【ジーナ・・・また会う約束を、忘れないでね?】
「ルリア!」
暗雲の過ぎし輝きへと追いやらん!】
シュルリ・・・封印が、魔法が発動した。
【ヘファイストスさん。】
【何でしょうか?】
【大好きです。】
【っく・・・。】
そして呪文は完成し、その微笑みは大地へと吸い込まれて行った。
「さてと・・・イン達を説得しなければな。」
「お父様、お手伝いを・・・。」
「済まんな、蘭。」
「お父様、仕方がありませんわ、あれは・・・あの人は「悪魔」ではありませんでした。」
「お屋形様、お嬢、イン殿達が御待ちです。」
「紅玉殿、我らは行くぞ?」
【ジン長老、遅れましたが・・・これを・・・。】
チャキッ
「ほう、約束の聖剣か?」
【そうです、バイジンに『アリステリア』様の祝福があらん事を。】
「ヘファイストスさん、ちょっと話があるんだ。」
【ジーナさん、俺も貴女に話したい事がありましてね。】
「後で・・・付き合ってくれよな。」
【ええ、今日は・・・今日ぐらいは酒を飲みましょうか、あの店で。】
「いいのかい?」
【後で伺います。】
「先に行ってるよ。」
ルクスリアさんは、純粋な女の子だった。
ただの女の子だった。
【俺は・・・守ると言ったのに。】
俺の心に影を落としてその少女は自らを封印してしまった。
【大好き。】
という言葉と太陽のような「笑顔」を残して。
そして・・・俺は・・・守ると誓った少女を腕の中に留めておく事が出来なかった。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
まずは、いつものから!
評価、イイネ、ブックマーク等々。
皆様には感謝しかございません。
今回は引き続き「ルリア」編をお楽しみ頂ければと筆を執りました。
いかがだったでしょうか?
拙者はルリアというキャラクターの魅力を引き出す事が出来たでしょうか?
悲しいお話でしたがそれだけに手応えを感じることが出来ました。
それでは次は少しライトな御話を御期待下さい。
次話 「ジャスティンと妹達」 で、お会い致しましょう。
感想などもお待ちしております。
皆様の応援こそ拙者のやる気、ぱぅわぁでございます!
是非是非、面白かった!
とかでも良いのでお願いします!




