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バイジンと言う国

皆様、新しい物語が綴られました。

お楽しみ頂ければ幸いでございます。

それでは、お楽しみください。

フェアリーゲートを潜った俺達は地図を見ている。


「ゲートを東に出ると街道があるようですね。それを北に進むとインという都市があるようです。ジンは更に北のようですね。」


【結構歩くけど、皆は大丈夫かな?】


「が、頑張ります。」


「頑張ります・・・。」


「頑張りまーす!」


三人に確認すると頼もしい返事が返って来た。

あれ?

あっちに何台か馬車があるぞ?


「イン行きはこっちでっせ~!」


「トン行きはこっちだぜ~!」


「ジン行きはこの定期便だぞ!」


【ジャスティンさん、乗って行きましょう。】


「そうだね、アーサー。」


【交渉して来ますね。】


「お願い出来るかな。」


「お兄さん、付いて行っても良いかしら?」


【一緒に行こうか、リズ。】


「エ、エスコートしてくださるかしら?」


【かしこまりました、リズ御嬢様。】


そう言うとリズの左手を引き馬車の方へと行く。


「ジン行きはこの定期便だぜー。」


【六人でお願いしたいんだが、いいかな?】


「六人なら銀貨六枚だぞ?」


【何日かかるかな?】


「何だ、急ぎか?」


【今日中にはバイジンに着きたいんだけどな。】


「それならそこの急ぎの方に乗るんだな、金は六人なら金貨二枚で良い。」


「き、金貨二枚!?」


「なんだ、初めてか嬢ちゃん。」


「初めてに免じて金貨一枚と銀貨三枚では駄目かしら?」


「お嬢ちゃん、話にならないぜ?せめて銀貨の方は八枚は貰わないとな。」


「銀貨四枚では駄目かしら?」


「銀貨七枚。」


「では五枚ではどうかしら?」


「・・・いいね、気に入ったよ嬢ちゃん。金貨一枚と銀貨五枚先払いだ。」


リズは満足げに俺の方を見る。

その頭を撫でてあげる。

リズ様は御満悦だ。


【じゃあ金貨一枚と銀貨五枚ね。】


「まいどあり、そろったら出発だぜ?早く乗りな。」


【ジャスティンさん、皆、こっちだ!】


「では行きますよ、ベスさん、マオさん、ついて来て下さい。エキドナは後ろを頼みますよ。」


【任せるが良い、リーダー。】


皆が馬車に乗ると確認される。

一緒に乗るのは二人の商人さんらしき人達だ。


「八人乗りだから、乗り込んだら出発するぜ?」


確認すると全員乗ったようだ。


「では、出発だ!」


ヒヒィヒイン!


ガタガタガタ・・・


馬車がジンに向けて出発した。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



もうすぐ夕方、バイジンに着く頃には夜になっているだろう。


困った事が二つあるんだよね。

そう、本日の泊まる宿だ。

バイジンに着くのが二十三時頃の予定らしい。

下手をすると着いた頃には宿がとれないと言う事になるかもしれない。


野宿でも良いのだが、三人に無理をさせるのも可愛そうだ。


それで、もう一つの困った事は、馬車酔いだ。

船酔いと同じでポーション系がきかないみたいだ。

これには困った。

ジャスティンや三人の顔色が悪い。


エキドナは諦めて眠ってしまった。


これらの問題があるので、先に俺だけでマーカーの魔法を取りに行けばよかったと後悔している。

次に他の国に行く時はそうしようかな。

でも旅の楽しさや景色の美しさも見てほしいからなぁ。

難しい所である。


ただ、街道の治安は良いみたいだ。

各都市からの治安維持として、傭兵団の見回りがいる。

これは王国でも見習いたいところだ。

旅の安全が保障されるようなものだからね。


などと思っていると馬車が休憩の為に売店のような建物の前で止まる。


「御客さん、休憩所だ。調子が良ければ飯でも食ってくれや。三十分ほどしたら出発するから乗り遅れないようにな・・・あれ?」


あー、前世の高速道路のサービスエリアを思い出した。


【ありがとう、皆、休憩所だよ。済ませるものは無いかな?】


「お兄さん、気分が悪いだけから・・・大丈夫よ。」


「ヘファさん・・・生姜はありませんか・・・?」


【ベス、生姜かい?あるけど、どうするんだ?】


「生姜湯が良いらしいと・・・書物で読んだので・・・お願い出来ますか・・・?」


【分かった、生姜、ジンジャーティーを作ってみよう。】


料理スキルを開き探してみる。

あった、ジンジャーティー、何々・・・。

ほう、蜂蜜を入れるのか。

鍋でお湯を沸かして作ってみる。


レモンも切っておこう。


ジンジャーティーを作ってみた。

早速リズ達に配る。

一緒に乗っている人にも振舞う。

もちろん青い顔をして我慢しているジャスティンにもだ。


「ああ・・・美味しい。気分が良くなった気がするわ。」


「落ち着きますね・・・胃の中がすっきり・・・します・・・。」


「甘いのがちょうど良いです!」


「助かったよ、アーサー。」


【・・・おい、リーダー、もしかしたら出番かも知れないぞ?】


「【!】」


そう言えば明かりがついているのに人がいない?


【「探知!」・・・二十人程ですね・・・囲まれています。】


それを聞いた御者さんが驚いて聞いて来る。


「何だって?待ってくれ、ここだと狼牙兵団の担当だからそんな馬鹿な奴はいないはずだ!」


【ですが、探知には赤で引っかかってますね。】


「そ、そんな馬鹿な!?」


「とりあえず、戦闘態勢をとりましょう。アーサーとエキドナは前衛を、僕は皆を守ります。」


【分かった、リーダー。】


【了解です、ジャスティンさん。】


「皆さんの事は僕が守りますので馬車の中にいてください。」


「お願いします・・・お兄さん、無理はしちゃ駄目よ?」


「ヘファさん・・・気を付けて・・・。」


「ジャスティンさん、お願いします。」


探知の反応が出た方へと向かい警告をする。


【我々は旅の者だ、何かあるのならば話を聞こう。それ以上は近付かない方が良い。】


「・・・返答がありませんね。」


「馬鹿な、狼牙は何をやっているんだ?」


御者さんがガタガタと震えながら言っている。

狼牙兵団と言えば・・・あの人達は元気かな?

その間にも敵が近寄って来る。


【1th ナイト・サイト。】


エキドナとジャスティンと自分に呪文を唱える。


【もう一度だけ言います。それ以上は近付かない方が良いですよ?】


「「「・・・。」」」


【エキドナ、なるべく捕らえてください。】


【ヘファイストス、我が臣民を怯えさせる奴らにも慈悲を与えよと?】


【ただの盗賊なら良いんです、問題は・・・こいつらが何を狙っているのかです。】


【話を聞く為か・・・甘いな、何時かそれを後悔する日が来なければいいがな。】


【来ます!】


【鈍くて欠伸が出るわ!】


【エキドナ!】


【確認した、こっちはローブが七人だ!】


【六人!】


「四人!」


【フハハハ!我の臣民を怯えさせたことを後悔せよ!】


ダッ・・・。


エキドナが突っ込んで行く。

俺は目の前に反応があった敵に対応する。

ジャスティンが馬車の近くで迎撃に当たる。


【ヒャッハ!!!】


ドガッ!


【ッシ!】


ドゴッ!


リズ達を不安にさせているからな、今回はお仕事モードだ。


ズドッ!


鳩尾に拳を入れる。

あれ?

手応えが・・・?


「ギャウォ!」


そう声を上げるとローブの男は倒れた。


次!


【フハハハ!我を満足させる強者はおらんのか?】


エキドナは三人目を倒していた。

やるねぇ。

おっと感心している場合じゃない。

そして三人目を倒した時、確実な違和感を感じる。


【ヘファイストス、手応えが人間ではないぞ?】


【エキドナも?「鑑定」!】


鑑定スキルが判別してくれた相手は・・・。

ライフ・スティーラー・・・はぁっ!?


【これは・・・悪魔族じゃないか!】


「それは本当ですか、アーサー?」


「馬鹿な!ここは狼兵団の制圧領域だぞ?なんで悪魔族なんかがここにいるんだ!?」


御者さんも驚いているようだ。


【ヘファイストスよ、倒してしまって構わんな?】


【今はリズ達を守るのが優先です、倒しましょう!】


悪魔特効のロングソードに持ち変える。

三人で約十数体の悪魔族を倒した。



「・・・お、終わったのか?」


「お兄さん?」


「ヘファさん・・・?」


「ヘファさん?」


【三人は無事かな?】


「お兄さん、大丈夫よ!」


「大丈夫です・・・ヘファさん・・・。」


「さすが、ヘファさん!でも、悪魔族だったのですか?」


【そうだね・・・でも、何でこんな所に?】


【ヘファイストスよ、靄になったのでドロップは無いぞ?】


【コアは落ちていませんでしたか?】


「こっちには無かったね。」


【コアじゃと?】


【黒い球体の「虚無の核」と言う物です。】


【落ちてはいなかったな。】


【そうですか、悪魔族関連の事を全て七大悪魔の事と結び付けるのは・・・早計かな。】


「警備に会ったら報告するとして、とっとと出発しよう。乗り込んでくれ!」


「アーサー、エキドナ、行きましょう!」


【はい!】


【了解した。】



警戒しながら馬車を進ませる。

だが、その後は何事もなく「ジン」へと到着する事が出来た。


馬車の御者さんが、門兵に先程の話をしているようだ。

証明人が必要かと思ったのだが、大丈夫だと言われ馬車を降りる。

報告を受けた傭兵団の騎馬部隊が十名程偵察へと赴くみたいね。

あの人達はいなかった。


手続きをして門を通るといきなりの光景に驚く。


【・・・派手だな。】


【派手ですねぇ。】


「ここが・・・バイジンですか。」


「「「うわぁー・・・。」」」


前世の中華街のような趣。

ファンタジーな世界には、完全に場違いだろう。

そう、そんな第一印象。

門の入り口にマーカーの呪文でルーンを焼いておく。


「さてと、宿を探しませんとね。」


「お、兄さん宿かい?」


ジャスティンの声が聞こえたようだ。


「女が欲しいんだったらいい所があるぞ?」


「いえ、女性は結構です。普通の宿はありませんか?」


「兄ちゃんよぉ、ただで教えろって言うのか?」


【失礼しました。】


そう言って銅貨を数枚渡す。


「へっへっへ、まいどぉ。美味い飯が食いたいなら案内するぜ?清潔なベッドもな。」


【お願い出来ますか?】


「おう、ついてきな。」


「・・・アーサー、先頭は任せた方がよろしそうですね。」


【任されましょう。】


【ヘファイストス、早めにさせよ。妹達は腹が減っているぞ。むろん我もだがな?】


「はっはっは、そう来なくちゃな。俺の名はギムレット、この辺の顔役だ。」


その男、ギムレットに付いて行くと、中華街よりは大人しくなった通りに出る。

その一角の中々しゃれた御店に案内される。


「中へ入りな。」


【はい・・・エキドナ、一応警戒してくれるかな?】


【酔客ごときが敵になるとは思えんがな。】


【酔客をリズ達に構わせたくないのですよ。】


【戻ったら我を歓待すると約を結べば言う事を聞かん事も無いぞ?】


【分かりました、その条件を飲みましょう。頼みますよ、エキドナ。】


【うむ、任せるが良い。】


扉を潜り中に入る。

作りこそ違うが、木造の年季のある建物が俺達を迎える。

うはー、円卓があって本当に前世の中華街みたいだ。


「おい、女将いるか?」


「あら、ギムさん。ここは女は扱っていないよ?・・・って凄い良い男がいるじゃないかい!?」


「今回は女は無しだ。」


「残念ねぇ、欲しくなったらアタシを呼んでおくれよ?」


ジャスティン、モテモテじゃないか。

くう、羨ましいな。

でも、今回はリズ達がいるからね。


「何だい、五月蝿いと思ったらギムじゃないか。ツケを払う気にでもなったのかい?」


「女将、今日は泊まりの客を連れて来たんだ。」


「・・・ツケから引いておくよ。」


「そうしてくれ。」


「そんで、坊ちゃん達が客かい?」


【そうです、女将殿。まずは腹ごしらえをしたいんですが。】


「ウチの酒場で食ってくれるなら一品を銅貨五枚で良い。酒を飲むなら女給にはチップをやっておくれ。」


【かしこまりました、では採譜はありますか?】


「ミニー!席に案内しておくれ。それで、部屋割りはどうする?」


【二人部屋を一部屋、こちらはジャスティンさんと俺が使います。エキドナとリズ達には、あれば四人部屋をお願いしたいのですが?】


「坊や、この「バイジン」では無い物は無いんだよ。ミニー、部屋に案内するのは後で良い。採譜を持ってこい!」


「は、はい。」


案内をしてくれた、ミニーさんは可愛い女の子だった。

チップをはずんでおこう。


「こ、こんなに?」


【女将、出来たらで良いんだが、ミニーさんを俺達の専属にしてくれるかな?】


リズ達の歳にも近いしね。


「構わないよ、こっちは弾んでくれるんだろうね?」


【一日金貨一枚を払いますよ。】


「ミニー、上客だ。つきっきりで良い。」


「は、はい、女将さん。では、こちらが採譜になります。」


【そうだ、妹達よ。美味そうなものを頼むといい。】


「そうね、エキドナさん。さて、何があるのかしら?」


「リズ姉、お腹が空きましたね。」


「お腹が減って元気が出ないです。」


「御嬢様方、本日はこの時間ですのでお勧めはありません。ですが、皆同じく美味しいので味わってくださいませ!」


【カッカッカ、遠慮なく頼むと良い。ヘファイストスの驕りだからな!】


【飯ぐらいなら良いですよ。リズ、ベス、マオ、美味しそうなものを適当に頼んで下さい。分からない事はミニーさんに聞けばいいです。】


「じゃ、じゃあ早速・・・こ、この拉麺と餃子を頼めるかしら?」


「は、はい、リズ様。拉麺は大盛にも出来ますがいかがいたしましょう?」


「普通盛でお願いします。」


「餃子はニンニクがタップリなのですがよろしいですか?」


「ええ、あ、あと御飯はあるかしら?」


「ライスですね、小、中、大盛がありますが、いかがされましょうか?」


「中盛でお願い、飲み物は・・・お兄さん、頼んでも良いかしら?」


【好きな物を頼むといい。】


「じゃあ、葡萄の果実水をお願いします。」


「かしこまりました。リズ様は以上でよろしいですか?」


「ええ、お願いします。」


ベスとマオにも丁寧に聞いてくれる。

良い子だなぁ。


「ヘファイストス様?」


【おっと、えっと・・・ん?】


メニューの中身が見た事のある物だらけだった。

帝国からの伝達速度が速いみたいだね。


【じゃあ、炒飯と餃子を頼むよ。】


「以上でよろしいですか?」


【皆は頼んだかな?】


「大丈夫ですよ、アーサー。」


【以上でお願いしますね、ミニーさん。】


「はい、繰り返させて頂きます。リズ様は・・・。」


丁寧な対応だね。

ミニーさんは間違えることなく皆の注文をさばいた。

さて、後はコピーした味だね。

帝国とバイジン・・・どっちが上かな?


「お待たせ致しました、まずはベス様の・・・。」


届いた人から食べてもらう。

待ってたら冷めたり伸びたりするからね。


「うん、おいしいですね。」


ワンタン麺を頼んだ、ジャスティンが美味しいと感想を言う。

エキドナは腹に入れば何でもいいのだろう。

ガツガツと食べている。


「美味しいです!」


マオも上機嫌だ。

どれどれ・・・。

美味い!

ちゃんとパラパラの炒飯だ。


帝国より美味いんじゃないか?


この味は・・・そうか、微量だが胡椒の量の差か!?

帝国ではレシピ通りにしてある為、どの御店でも胡椒のグラムまで同じだ。

それでギリギリだが庶民の食べれるあの値段なのだ。

バイジンはそれを超えて味を強めにしてある。

しかも取りすぎないぐらいの細やかさでだ。


流石に何でもそろっていると言われる国だ。


前にジン殿と話をした時の事を思い出す。

あの時はてんぷらだったかな?

そう言えばジン殿に『アリステリア』様の像を作ってくれと言われたなぁ。

日が無いから次回にしてもらおう。


皆が料理に舌鼓を打っているとミニーさんが御代わりはどうかと聞いて来る。

エキドナとリズ、マオがお代わりをしていた。

ベスは良いのかな?


【ベス、折角だからデザートとかも頼んでみると良いよ。】


「良いのでしょうか・・・?」


折角旅行に来ているんだ。

ここはね。


【構わないよ、美味しい物をたくさん食べて帰ろうね。】


「はい、ヘファさん。」


そう言うとベスはフルーツの盛り合わせを頼んだようだ。

ワクワクしているベスも久しぶりに見たな。

エキドナはまだ食べている。

相変わらずだね。


「アーサー、今のうちに明日の事を打ち合わせたいのですが。」


【ええ、構いませんよ。】


「竜の素材なので、そこそこは売れると思われるのですが、我々は相場を知りません。」


【うーん、そうですね・・・先に人を探しましょうか。】


「人を?」


【ええ、ジン殿を探せれば一番良さそうではありますね。】


と、言った途端にミニーさんの表情が変わる。


「ヘ、ヘファイストス様は「ジン様」とお会いになった事があるのですか?」


【御世話になっておるのですよ。俺達の結婚式にも来て下さいましたからね。そのお礼も言いたいんですよね。】


「し、失礼しますね。」


そう言うとミニーさんは女将さんの所に行ったようだ。

ミニーさんが何か言っていると、女将さんは慌ててこちらに来る。


「御客人、ジン様と知り合いって言うのは本当かい?」


【結婚式にも来て頂いたんですよ。それと『アリステリア』様の像を彫る約束もしていますね。】


「身分を証明する物は、なんか持っているかい?」


【こちらでよろしいですか?】


俺は「エクスィ・スィデラス」の徽章を見せる。


「・・・こ、紅玉様だったのかい!?」


【あー、大袈裟にしないでくださいますか?家族との旅行中なのでね。】


「か、かしこまりました。御用があればミニーに何でもお申し付けくださいませ!ガルドを呼べ、大至急だ!」


【うーん、大事になってしまいそうですね・・・。】


「良い方向に行くといいですね。しかし、その徽章は、凄い効果ですね。」


【望んでやっている訳では無いんですがね・・・マオ、もっと食べても良いんだよ?】


「じゃ、じゃあ、この「焼売(やきうり)」と言う物をお願いします!」


焼売?

ああ、シュウマイの事か。


「シュウマイを一セットですね、ハンさん。シュウマイをお願いします!」


「あいよっ!」


【で、続きですが、ジン殿に購入して頂ければ間違いは無いと思うのです。】


「大丈夫そうですか?」


【国の一番偉い人に頼む事になりそうですが、相場が分からない以上、頼らざるを得ませんね。】


「そうですか、先日の式で、僕達も挨拶が出来ていればよかったのですが・・・。」


【まあ、気にする事は無いと思いますよ?】


「では、そうすると致しましょう。」


「お腹いっぱい・・・。」


「焼売、焼売、焼売~♪」


「フルーツ・・・甘い物~・・・♪」


三人は楽しそうだった。




「ねえ、そこのイケメンさん。何処から来たの?」


「・・・。」


突然、女の子が二人声を掛けて来た。


【僕達はブリタニア王国から来ました。】


「残念、君じゃなくてお兄さんの方ね。」


ゴフッ!?

くそう・・・ま、まあ、相手はジャスティンだからね。

と、敗北感に打ちひしがれているとエキドナが耳打ちして来た。


【ヘファイストスよ、奥にいる女・・・嫌な予感がするぞ?】


【帽子をかぶっているけど・・・アセディアに似ているね。】


【悪魔族の気配だ。】


【何かがあると怖いから、念の為、気を付けておきましょう。】


「アタシはイサベル。この子はルリアって言うの。青髪のお兄さん、春を買わない?」


「声を掛けていただいたのに申し訳ありませんが、私には心に決めた女性がいるのです。」


「そっかぁ・・・ん?どうしたんだい、ルリア。」


ルリアと呼ばれた女の子は顔が真っ赤だ。

ティアやアセディアを彷彿とさせる美少女だ。

髪の毛の色はピンクで目は銀色。

肌の色は白くて透き通るようだ。


何か恥ずかしがってる。


ボソボソとイサベルと言う子に話しかけている。

それを聞いたイサベルが驚いている。


「え?・・・こっちの小さい方が気になるのかい!?」


「・・・。」


コクリと肯くルリアと言う女の子。


「あちゃー・・・え、えっと、坊ちゃんお名前は?」


【・・・ヘファイストスと申しますが、外れですし春は買えません。】


そう言うと、ルリアと言う女の子はイサベルと言う女の子をポカポカと叩いている。


「ま、待っておくれよ。坊ちゃん、いや、若旦那!今なら二人一緒でいいからさ、ね?」


何か必死だけど、リズ達もいるしね。

申し訳ないが、ここは断らないといけないだろうな。

リズ達の前では格好良い兄貴分で通さないとね。


【妹達がいるので、この辺りで御話は終わりでお願いしますね。】


「あ、ああ、ごめんね。ちょっと、痛いって、ルリア。分かった、わーかったって!アタシが悪かったよ。」


ルリアと言う女の子は店から出て行った。

それを追うイサベルお姉さん。

そりゃあそうだ、ジャスティンはイケメンだもんな。


クスン・・・。




「アーサー、どうしたのですか?」


【イケメンは良いねって事だよ、ジャスティンさん。あれ?】


静かだと思ったら三人共寝てたよ。

エキドナはまだ食べているね。

ミニーさんが忙しく動き回っている。

時間はもう0時じゃないか。


着いたのが予定より早かったけれども深夜になってたか・・・。


【ジャスティンさん、皆をベッドに連れて行きますので少しよろしいですか?】


「ああ、構わないよ。手伝おうか?」


「いえ、面倒をかけますが、見ていて下さいね。エキドナも頼みますよ?」


【モグモグ・・・構わんぞ、行ってこい、ヘファイストス。】


【ミニーさん、四人部屋はどちらでしょうか?】


「御案内しますね。」


まずはリズを部屋に運ぶ。

思ったより良い部屋だった。

まずはリズを寝かせる。

階段を降りベスを運んで、同じようにマオを運ぶ。


鍵をかけて二人の所へ戻る。


エキドナはそろそろ落ち着いたようだ。

席に着くと入り口から良い仕立てだと分かるスーツを着た男の人がやって来た。


「『ガルド』さーん、こちらです!」


「ミニー、済まないな。」


そのガルドさんが俺達の席の方へ歩いて来る。


「こんばんは、御客人。私はバイジンの南2区担当の「ガルド」と申します。」


「これは御丁寧に、冒険者パーティー「オーガの牙」、リーダーをやっております、ジャスティンと申します。」


「これはこれは、名高きオーガの牙、「鉄壁」のジャスティン殿ですな。初めまして、御噂はかねがね。」


握手をしている。


「紹介しますね、仲間のアーサーとエキドナです。」


【アーサーと申します。】


「紅玉様ですね、遠くバイジンまで足を運んで下さり、ありがとうございます。」


【ジン長老にはお世話になっております。】


念の為、徽章を見せ握手をする。


【エキドナである。】


「よろしくお願い致します、竜の御子よ。」


エキドナとも握手をする。

エキドナの事をもう知っているのか。

流石の情報網。


「他にもお連れ様がいらっしゃると伺っておりましたが?」


【ああ、他の者は普段は眠っている時間ですので、部屋で眠っています。】


「左様でございましたか、ならば、朝で結構でございますので、是非にジン様とお会いになって頂ければと思いまして、予定の方はいかがでしょうか?」


【ジャスティンさん、よろしいですか?】


「構いませんよ、アーサー。」


「では、決まりですな。明日の朝、七時にお迎えに上がりますので、それまではゆっくりしていて下さい。」


「分かりました。」


「朝餉はジン様と食べて頂ければと思いますので、そのようにお願いしますね。」


「よろしいのですか?」


「もちろんです。」


【折角です、御馳走になりましょう。それでは、七時にここで。】


「七時にこの宿に迎えに参ります。」


そう言うとガルドさんは去って行った。


さて、図らずとも、ジンさんと会う事になった。

どうなる事やら。

その後は各自で部屋へと向かう。


もちろんだが俺はジャスティンと一緒の二人部屋だ。

エキドナに頼んでリズ達と一緒の部屋にしてもらってある。

これ程心強い護衛はいないからね。


さて、どんな事が待っているのかな。


アセディアのそっくりさんの事は気になったが、その日は疲れていたようですぐに眠ってしまった。


ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!

まずは、いつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

皆様には感謝しかございません。

本日は御彼岸。

田舎に行ってご先祖様のお墓参りです。

二泊三日で群馬県のとある温泉に行ってまいります。

リフレッシュするぞー!

それでは、次話 ジンと言う大商人(仮 で、お会い致しましょう。

御疲れ様でした。

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