ディアナとエキドナ
皆様、新しい物語が綴られました。
お楽しみ頂ければ幸いでございます。
それでは、お楽しみください。
「・・・お戻りになられましたな。」
「賑やかであったな。」
【うん、セリスとクレアには無理をさせたかな?】
「主君、あの程度、無理ではないよ。」
「そうですぞ、旦那様。ただし、ルイス殿達の前ではやらぬ事をお勧めいたしますぞ。」
【き、肝に銘じます。】
「よろしいでしょう。クレア、行こうか。」
「主君は大公閣下との、打ち合わせもしなければならぬからね。」
二人の前でもしないようにしよう。
視線が怖い。
見送ると爺さんと天幕に入る。
セリスとクレアも一緒だ。
早速今回の事について話を聞いておく。
【魔剣と魔槍、鎧は、ヘルシャーの件が済めば、俺が責任をもって作るよ。】
「それは任せる。と言うか、やってもらわんと困る。」
【それで魔剣と魔槍に魔槌は何本作ればいいんだ?】
「今回の件で、我が方に残った骨は大骨が二十本、中骨が十本、小骨が四十本。」
【大骨と中骨は削って剣にすればいいかな?】
「そうじゃな、それで大牙が二十本、中牙が十本、小牙が二十本、と言った所じゃ。」
【実物は見ないと分からないけど、大骨は削る段階に出来る端材で槍材に出来そうだからそっちも進めるよ。】
「その辺りは任せる。あんちゃんの良い様にな。で、問題が皮なんじゃが・・・二十枚しかない。」
悔しそうに拳を握る爺さん。
【ありゃー、結構分捕られたな、爺さん。】
「し、仕方がないじゃろう。ただでさえ金銭面で世話になっておるのじゃからな。」
【女王陛下に宰相閣下だもんね、下手な事は言わないで良かったと思うよ。】
「そうじゃ、返せるところで返して行かんとな。」
【じゃあそっちは任された。それで、帰還時期なんだけどさ、そろそろ良いんじゃないかな?】
「ああ、あまり長くいる事で、山にいる竜達の機嫌を損ねたくはないのでな。採掘の人員を残して明日帰還するとしよう。」
【おっけ、じゃあ準備だけしておくよ。】
「分かった、こちらもそうしておこう。」
【爺さん、・・・帰りにフォマルハウトに寄るか?】
「うーん、便りが無ければ何も無く済んでいると思うんじゃがのぉ。」
【顔を出しておけば、城の人達は安心出来るんじゃねえかな。ネストさんにも会っておきたいしね。】
「そうじゃな、あんちゃんには悪いが寄らせてもらおうか。」
【それぐらいなら構わないよ、大した手間じゃない。アレックスさんに先にオーカムに戻ってもらえば身軽になるからな。」
「顔だけは見せておくか、護衛はどうするかの?」
【オーガの牙と俺達では不服かな?】
「十分すぎるじゃろう。」
【オーガの牙には俺から言っておくよ。】
「頼んだ、あんちゃん。」
【爺さん、明日の帰還は十時で良いかな?】
「それでいいじゃろう、兵には伝えておく。」
【ドラゴンの素材は俺が預かっておくよ。】
「それでよい、加工して武具を作ってくれ。」
【防具の足りない物は俺が出しておくよ。多分、皆の分を作るぐらいはある。】
「すまんの、あんちゃん。」
【じゃあ、オーガの牙の所に行ってるよ。】
「あんちゃん、悪いんじゃが、セリスの嬢ちゃんとクレアの嬢ちゃんを少し借りても良いか?」
【ん?どうしたのさ?】
「書類仕事の片付けにな、一人ではな、ちょっと厳しいんじゃよ。」
【二人共、どうかな?】
「大公様の言であれば、お手伝いいたしましょう。」
「私も構わんよ、主君。」
【じゃあ、二人共、頼んだよ。】
「かしこまりました、旦那様。」
「任せると良い、主君。」
【俺はオーガの牙の所に行っているよ。】
そう言うと天幕を出る。
さて、ジャスティン達は、無事に素材を手に入れたのだろうか?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「でりゃ!」
【ディアナよ、蹴りの後にスキが出来るぞ。動きを小さくすると良い。】
「そうか、ここからこうつなげると良いかな?」
【そこは逆に左拳を入れるのが良い、威力が十分ならそこから追撃を模索できる。】
「なるほどな、勉強になるぜ!」
やってるやってる。
エキドナが講師役をしているとは・・・。
俺、いらねえんじゃないかな?
【で、ヘファイストスよ、いつまで見ておるのだ?】
【いやあ、指導が堂にいっていたのでね、それでジャスティン達はいるかな?】
「兄貴達は天幕の中にいるぜ、話が終わったらこっちも見てくれよな!」
【分かったよ、じゃあ後でね。】
そう言って天幕に近付く。
何かを話しているようだ。
【ジャスティンさん達、いらっしゃいますか?】
天幕が開いてアンナが顔を出す。
「アーサー君!ちょうど意見が欲しかったところ何さ~!」
腕を掴まれ強引に中に連れ込まれる。
「やあ、アーサー。早速だけど、意見を聞かせてもらっても良いかな?」
【役に立てるなら構いませんよ?】
「エキドナに武器を作ろうと思うのですが魔拳が良いのか、ミスリルが良いのかとね。意見を聞かせてもらえるかな?」
【そうですね、エキドナの実力を確かめた訳ではありませんが、魔拳でも良いかとは思いますね。】
「そうだろう?あいつの実力は俺が良く知っている。ミスリルも良いが魔拳の方が良いと思うぜ。」
「ウチらはアーサー君が作ってくれたのがあるからねー。」
「ですが、物は考え様ですわよ?ミスリルの鎧は儀礼用などに止め置き、魔拳をメインにするのも良いと思いますわ?」
「こんな感じでね、意見が纏まらないんだよ、アーサー。」
【鎧に関してはラフィアさんに同意します。ミスリルの鎧は鉱脈でも見つけない限り、インゴットが足りなければ作ったり修理できませんからね。】
「そこでなんだよ、アーサー君。」
【ダンさんから「君」で呼ばれる時は厄介事ですね?】
「オークションの盛んなバイジンにでも行って素材や鉱石を見て回るのはどうだ?それに過度な竜の素材は売れるだろう、少しは懐も温かくしないとな。」
ほう、ダンにしては良さそうな考えを・・・。
バイジンには行った事が無いが、聖剣も作る必要があるので時間の無いヘルシャーを優先したいところだ。
でも、バイジンで良い物を見付けられれば、ヘルシャーの戦いで役に立つかもしれない。
考える必要はある・・・か。
【良い考えだとは思いますが、バイジンには少人数で行った方が良いと思いますよ?】
「何かあるのかい?」
【万が一の為です。】
「それならば僕とエキドナが付いて行けばいいかな?」
【そうですね、それで良いかと思います。二~三日の行程にしましょう。】
「皆も行った事は無いと思うけど、今回はエキドナの経験を上げる為だからね。」
「仕方が無いんさ~。」
「左様ですわね、今回はお任せ致しますわ。」
【そうだ、話は変わりますが、引き上げるのは明日の十時になりました。ついでで悪いのですがフォマルハウトに寄る事になります。】
「それは構わないよ。」
【兵はアレックスさんと先に帰還致しますので、我々は大公様の護衛と言う名目で付いて行きます。】
「分かりました。では、オーカムに帰ってからフェアリー・ゲートでバイジンの近くまで移動して、そこから移動で大丈夫かな?」
【留守番の皆さんには、吉報をお待ち頂ければと。】
「相棒とアーサーがいれば大丈夫だろう、今回はエキドナに人間の暮らしを見せるいい機会だろうからな。」
「バイジンっていうのが不安でもあるんさ~。」
「まあ、仕方がありません、行ってみるのも良い経験になると思いますわ。」
【では、それで決まりと言う事で、ジャスティンさん、よろしくお願いしますね。】
「こちらこそ、アーサー。」
【それでは明朝に、今夜の夕飯は仕事終わりなので、豚肉の生姜焼きを御馳走致しましょう。】
「おお、それは嬉しいですね。」
「楽しみなんさ~。」
「楽しみにしておりますね、アーサー様。」
【それでは、外の二人を見て来ますよ。】
そう言って天幕の外に出る。
二人を見つけると早速声を掛ける。
【エキドナ、ディアナのように左を上手く使うのですよ。そうすれば相手をはりつけられます。】
【ほう、こうか?】
バババッ!
「っく、兄貴助言しやがったな!」
【エキドナ、そこで右です。】
ズドッ!
「ぐはっ!」
【うむ、成程な・・・ヘファイストスよ。我に基礎を教えよ。】
【ディアナは後で組手を致しましょう。】
「頼むぜ、兄貴!」
ディアナと相手を変わる。
構え問いかける。
【準備はよろしいですね?】
【何時でも構わん。】
・・・一通りを見せるか。
それを研磨させて完成に持って行けばエキドナは大丈夫のような気がする。
まずは左から・・・っふ!
パパパン!
【左ではないか、これは教わった、ぬっ!?】
軌道を変えて変則的なジャブを見せる。
パパパン!!
【ほう、こちらからも行くぞ!】
パパパン!
問題なく左手でいなす。
【それは受け流しではないな?】
【武器を持っている時にでも使える「いなし」と言う技ですよ。】
【うむ、いいぞ!我にもっと見せよ!!!】
【基礎を見せています、勉強するように!】
【応!】
【右が行きますよ?】
【来ると良いぞ!】
ッボ!
ゴギッ!
ヤバイ、もろに当たった気がする。
【ふむ、これは受けねば分からん事だな。】
【大丈夫ですか?】
もろに当たってたけど・・・。
【ヘファイストス、どんどんくるが良いぞ。】
こうなったらやるしかないんだけどダメージは無いのかな?
【ッシ!】
パパパッ!
【それは覚えた。】
え!?
パンパンパン!
受け、いやいなされた!?
こっちはどうだ?
パン!ドスッ!
左から右のワンツー・・・だが・・・。
【うむ、これは応用がきくな。】
パッパン!
うひゃ、もう覚えられた!
仕方がない、こうなったら基礎を教えるつもりで・・・。
【ッシ!】
ワンのジャブからの間合いに踏み込んでの右フック。
パッ、ズドン!
【ほう、角度が変わったな。】
【ッハ、ッシ!】
今度はジャブからのアッパーカット。
パシッズドッ!
【っくぉ、下からか、だが、覚えたぞ?】
マジか・・・これはヤバイ。
もう手が出せないぞ?
【ヘファイストスよ、いなしてみせるが良い!】
パッパッパ、ズドン!
ジャブを頭を振ってかわし最後の右ストレートをいなす。
【続けて行くぞ!】
パッパッパ、ズシッ!
ジャブの後の右フックをいなす。
パッパッパ、ズドン!
今度のアッパーもいなす。
【こうか、ケケケ!いいぞ、我にもっと見せよ!】
【応用はきくようですね!】
【教わると言う物がこれほど楽しいとは!】
【さあ、どんどんきなさい!】
【応!】
【エキドナは、覚えた物を自分の中で考察してみると良いですよ?】
【考察か・・・。】
しばらく付き合うと、何かを納得したのか一人で考察をしだした。
ディアナも先に始めた者としてのプライドがあるのだろう。
「兄貴、次はアタイの番だ!」
【来なさい、ディアナ!】
パパパ、ズドン!
【うん、良くなってますね。】
「応よ!そう簡単には抜かせねえぞ?」
こうしてエキドナとディアナと鍛錬をした。
エキドナのコピーした物は繰り返し練習させた。
いくらコピーをしてても積み上げた物には勝てない時が来るからね。
「兄貴、余所見とは余裕だな!」
【ちゃんと見ていますよ?】
「っち、天才肌って言う奴らはよっ!」
【ディアナ、教える事によって自分の技を見直す事も出来ますよ?】
「分かったよ、兄貴!」
【ディアナ、貴女は磨きかけの宝石なのです。それを忘れないように。】
「アーサーの兄貴よ、今日の飯は期待してるよ!」
【おお、そうだぞ、ヘファイストス。晩飯は期待している。】
食いしん坊キャラが増えてしまった。
まあ、良い。
これぐらいでやる気が出るのなら、期待に応えようじゃないか。
【楽しみに待っていなさい。】
そう言うとしばらく、ディアナとの模擬戦を楽しんだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
晩御飯は調理番達と豚の生姜焼きを死ぬほど作った。
この任務地での最後の晩御飯だ。
ちょっと豪勢になったけど、たまには良いよね。
作り終わってから調理番の人達と生姜焼きを食べる。
うん、米と合う!
作るのは大変だったけど、御飯ぐらいは美味しい物を食べたいよね。
そう思った。
ヘルシャーの事は心配だけれど、心配する事で過度な不安をするのも悪い事だ。
ただ、気になる事があるんだよね。
そう、イラさんの部下の事だ。
今まで通りに十人なんだろうか?
ベヘモド、ティア、アセディアの時は十人だったけど、今回もそうなのだろうか?
不安はあるが、対策を立てられない分、準備を怠るべからず。
その為にバイジンに行くんだ。
部隊を率いている時は、持ち帰る訳では無い、木の器やフォークやスプーンはその場で燃やすのがセオリーだ。
もったいないけれどね。
そのおかげで、大工さんや木工に携わる人達に仕事が行くようになっている。
仕事の循環が上手く出来ているよね。
軽く剣の手入れをしていたらセリスとクレアが帰って来た。
頭を使った仕事だったから大変だったろうな。
【二人共、御苦労様です。】
「旦那様、御疲れ様です。」
「御疲れ様、主君。」
【その分だと終わらせる事が出来たのですね?】
「終わりはしましたが、アレは本来一人でやる仕事量では無いぞ?」
「左様ですな、最低でも専属の文官が二人は欲しい所です。」
【副官がアレックスさんだからなあ・・・まあ、仕方がない。】
「アレックス殿はどうしているのだ?」
【ネストさんに丸投げしてるね。】
「「・・・。」」
【言いたい事は分かっている、文官の増員だろう?分っているんだけど、これと言った人物がいないんだよ。】
「旦那様、早めに見付けて差し上げるのも親孝行ですぞ?」
「セリスの言う通りですな、だが、主君の言う通り、そう簡単に見つかるものなのか?」
「それはなぁ・・・色々な国に行ってみる、又は人物に会うのが一番だろうからな。」
【おっと、今後の予定を。明朝十時にアレックスさんを先頭に兵士達はオーカムに帰還。俺達はオーガの牙と一緒に一度フォマルハウトへ寄り状況の確認を致します。二人共そのつもりでお願いしますね。】
「かしこまりました、旦那様。」
「そのつもりでいよう、主君。」
【オーカムに帰った後、俺はジャスティンさんとエキドナを連れてバイジンに行って来るので、帰って来たら準備をしてヘルシャーです。】
「ついに行くのですね、腕がなりますな。」
「セリス、気負い過ぎるのは危ないぞ?」
【セリスとクレアは悪魔族との戦闘は初めてですね。悪魔特効の装備を忘れないようにしてくださいね。】
「了解だ、旦那様。」
「了解だ、主君。」
【一応だけど、その前の七大悪魔関連の時は部下が十人いましたから、注意をしてくださいね。】
「旦那様、一応と言うのは?」
【十人じゃない可能性がある。今まで常識と思われる事が常識ではない可能性があります。まあ、悪魔族相手ですので、可能性は考えておいてください。】
「それは頭の中に入れておこう。」
「そうだね、不覚を取るのも嫌だからね。」
【さて、では眠ろうか。】
「はい、旦那様。」
「分かった、主君」
【では、着替えて眠ろう。】
「「・・・。」」
【どうしたの、二人共?】
「いえ、最近の旦那様は優しくないなと言っておったのですよ、なあ、クレア?」
「ドリュカス公にも心配されてしまったのだ。」
爺さん・・・覚えてろよ?
【そんな事は無いよ、二人には頑張ってもらっているからね。】
「それなら御褒美が欲しいですね、旦那様?」
「そうだぞ、主君。それだけで我らは愛されているのだと認識できるからね。」
どうやら逃げられないらしい。
【頑張らせて頂きます!】
「そう来なくてはな、旦那様!」
「二人を満足させて頂きたいですな、主君。」
【が、頑張らせて頂きます!】
そう、その夜、俺は頑張った。
頑張ったんだ・・・本当だよ?
なんか・・・この終わり方が多くないか?
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
まずは、いつものから!
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皆様には感謝しかございません。
それでは、次話 未定(仮 でお会い致しましょう。
御疲れ様でした。




