旅路ー2
「裕太は一体何者?」
フェミルは一撃でドラゴンを倒した裕太を茫然と見つめポツリとそう呟く。
「そう言えば言ってなかったな、俺実は異世界から来たらしいんだ……それが、俗に言う転移者ってやつらしい」
「……裕太のあの力を見せられたら信じざるおえない……でも昇格試験の時はそんな強さは無かったはず」
「嗚呼、つい最近、てかほんの二日前に覚醒したみたいでさ、見ての通りだ」
「嘘……見たい」
転移者などと言う伝説上の存在が目の前に現在進行形で存在しているのだ。
フェミルがもしこの話を他人にしたなら恐らくほら吹き扱いされる事だろう、しかしそれは目の前で起こっている否定しようのない事実なのである。
「そう言えばミリス、お前に買って貰った剣をへし折っちまった、折角買って貰ったのにすまん」
「べ、別にそれは良いのだけど……ドラゴンを一太刀なんて有り得ないわよ、信じていなかった訳ではないのだけれども祐太って本当に転移者だったのね……もしかしたらかの龍神よりも強いかも知れないわ……」
「まぁ、生きててくれてほんと良かったよ、死んでたらどうしようって思ってた」
「有り得ない……」
フェミルは二人が話してる最中、横目をくれながらぼやく。
そしてしばらく思考を巡らせある考えにたどり着く、レミシアル山脈の上部は毎年この時期、発情期に入ったドラゴン達により幾つもの集落が襲撃され、少なくはない被害が出ている、このまま行けば数十年後には氷人族は滅亡する危機すらある。
元々山脈を降りて冒険者になったのはフェミル自身の冒険心という知識欲が根底にあったが、ドラゴンなどの天敵がいない安全な土地を見つけ出したいと言う目的もあった。
そして目の前に裕太と言う存在が現れた、彼ならばレミシアル山脈に巣食うドラゴン達を一掃する事も可能であろう、ならばどうにか彼をドラゴンと対峙しなければ行けない状況に誘導しドラゴン達を放逐させるように仕向けることが出来れば氷人族は安定であろう。
(相変わらず私は最低だ……)
フェミルは心の中で自分を罵るように強くそう思う。
そして何処か邪悪さを感じる薄ら笑みを浮かべる。
ーーー二人に気づかれぬように。




