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良明が自宅に戻ると、探偵事務所では服田が1人で大量の資料を見ながら何かを調べていた。灰皿には大量の煙草の吸殻が押し付けられており、服田は少し神経を張り詰めた面持ちで、資料と向き合っていた。
「何を調べてるんですか?」と良明が尋ねると、服田は「西沢美夜古だ」とつぶやいた。
良明はその言葉を聞いて、何も言えずに固まってしまった。服田は、固まった良明を不思議そうに見つめ、「何だ?なんか可笑しいか?」と聞いてきたので、良明は慌てて首を横に動かした。
「まさかだよ…」
服田がそう言うと、また煙草を取り出してライターで火をつけた。大きく、煙を吐き出すと、「高校生の自殺を調べていたのに、まさか6年前の大不正にたどり着くとはな…」と言った。
「大不正?」と良明は衝動的になって聞いた。服田は、少し不意を突かれた表情をのぞかせたが、すぐに真顔に戻りこう述べた。
「6年前の都市開発計画も、めちゃくちゃだ」
「どういうことですか?」
「バリアフリーを訴え、住民の賛成を得たところで、承認を得るとあとは業者側のやりたい放題だ。孤児院も全てつぶすつもりだった」
良明は、服田の話を聞いて、服田が読んでいた資料を手に取り読み始めた。そこには、詳細な6年前の都市開発の計画が記述されていた。
「本当に孤児院つぶすつもりだったんだ…」
服田はそういった後、自分のバッグの中から追加の資料を取り出した。
「でだ、都市開発ってのは、その土地で程度の地位を持った奴に了解を得れば、スムーズに事は進む。まあ、都市開発を担当していた会社はコレックスっていう会社なんだけど、今日コレックスで働いていた知り合いにあってきてな、すごいこと聞いたんだ」
服田のあまりにも意味深な発言に、良明は息をのんだ。大体、6年前にこの都市計画が破たんしたという事実を、良明は気になっていたのだ。西沢美夜古の殺人事件が起きた年であり、そして都市開発の話が再び持ち上がった今年、西沢美夜古を模倣した殺人事件が起きている。良明は服田の次の言葉をしっかりと聞こうとした。
「なんと、その大地主であった5人だが、みんな同じ年の3ヶ月もの間に、一気に殺された」
それから、服田は大きく一息ついて、こう言い放った。
「あの、西沢美夜古に殺されたんだ」
良明はその言葉を聞いた瞬間、つながったと心の中で思った。6年前のあの事件とその年に破たんし、今年再び再興した都市開発計画は、関連性があったのだ。
「その5人が居なくなってから、何者かにより、東区の区長にその計画案がリークされた。住民に説明した計画と大幅に違っていたその計画は、中止になった」
良明は、資料で最初に都市開発を了承した人間の名前を見た。そこには、1件目の被害者である西口一平、2件目の下山剛、3件目の山本晋平、4件目の富田幸助、5件目の時田和夫の名前がしっかりと記載されてあった。その名前を確認した後、良明は顔を上げて服田をまっすぐに見つめた。
「良明。つまり、西沢美夜古がこの都市開発計画を止めたんだ」と服田は良明に言い放った。




