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天使の微傷~殺人鬼の真実~  作者: 高見 リョウ
とある自殺の話
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13/62

1-12

 良明は、服田と女性警官の相沢と共に山西徹也が飛び降りたマンションへと入って行った。服田は、「まずは、依頼者のところに行かないとな」と言い、エレベーターで依頼者である山西かおるの自宅がある、6階へと向かった。山西かおるは山西徹也の母親である。

 服田がインターホンを押すと、すぐにかおるは顔をのぞかせた。かおるは服田を見るなり深々とお辞儀をする。

服田は、良明と相沢のことを香織に紹介した後で、「今日から、調査に入ります。一応、3日程度で報告書をお送りするつもりです」と調査の流れを説明した。

 かおるは「よろしくお願いします」と三度頭を下げた。そしてかおるは相沢に目をやり、「刑事さんまで、ありがとうございます」と言った。相沢は、「いいえ、警察の仕事ですから」と右手を顔の前で振りながら、かおるに頭を下げた。

 その後、良明は服田と相沢と共にマンションの屋上へと上がっていった。警察の調査によれば、山西徹也はここから落ちたことになっている。

 まず良明は、屋上全体を見渡した。屋上の周りには、一応120㎝程度はありそうな塀が作られていた。ということは、ここから飛び降りるにはここを乗り越えなくてはならない。

 良明がそう考えていると、相沢が山西徹也の遺体と当日の屋上の様子が写された写真を見せてきた。そして、良明と服田に相沢自身が不信に思っている点を説明し始めた。

「わたしが不信に思っている点があるの?」

「どこだ?」

「まず、徹也くんのいたい、写真を見て分かる通り、顔はもうぐちゃぐちゃで身元が分からないくらいになってるの」

相沢は一呼吸置いた後、良明を見てこう言った。「そこのチェリーボーイ。この意味は分かる?」

 良明は、左手を自分の花に添えて考え始めた。グロテスクな写真を見るには多少の勇気が要ったが、良明はその写真から簡単な答えを導き出した。

「頭から落ちたということでしょうか?」

「正解!」と相沢が人差し指を立てて言う。横にいた服田は、「それぐらい、分かるだろう。こいつそんなに初心者ってわけじゃないぞ」と良明を立てる発言をした。

 相沢は服田の言葉に対して「ふーん」と言い、「じゃあ、もう一つチェリーボーイに質問」と言った。

「では、私がこの遺体を見て不信に思っていることは何でしょうか?」

 この相沢の質問の答えを良明は簡単に導きだした。

「それは、簡単じゃないでしょうか?」

「えっ?」

「普通、自殺だったら、飛び降りっていうじゃないですか。例えば、徹也くんが自殺なら、飛び降りるはずなので、足から着弾するんじゃないか?ということですよね」

 良明がそう答えると、急に相沢は甲高い声笑い始めた。良明は、「何か、おかしなことでも言いましたか?」と不安になった。

「いや、そうじゃないの。あんた、犯罪捜査でも勉強したの?」

「特には、何も…」

「そっか、DNAだね!あんた両親の血、継いでるわ」

 相沢は感心している様子であった。

両親の血を継いでいる。良明は、自分の両親ともにすごい刑事さんだと、小さい頃からいろんな人に聴かされていた。それが、自分の自慢でもあったが、母親の章子は父親との離婚後、不倫調査を多く取り扱う探偵事務所を設立した。良明は、そんな母親が嫌だった。


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