告白と、仕返し
息を乱しながら俺は資料室についた。
カギを開け、暗い資料室に入る。後ろ手で扉を閉めた。
開いてたら誰か入ってくるかもしれないからだ。
「・・・渚?いるのか?」
カタン、とかすかな音がした。
小さな嗚咽が聞こえる。
「・・・渚・・・」
「来ないで!」
悲鳴のような涙の混じった声。思わず足を止めた。
「来ないで、見ないで・・・!」
だが、すぐに足を動かし、渚がいると思われる奥の方へ行く。
その気配を察したのか、また渚が声を上げた。
「来ないでっ!来ないでよ!あたしは、あたしは大丈夫なの!こんな嫌がらせになんか負けないんだからぁ・・・!」
小さく縮こまって震えている渚の元へたどり着き、俺はいつもより小さく感じる渚を抱きしめた。
「いいよ、我慢しなくても。誰も来ないから」
「離してっ・・・!」
「だめ。離さないよ。だって、渚は女の子なんだから。もっと甘えろよ」
「あたしは・・・!」
「平気じゃないだろ。俺は男で、渚は女なんだから守るべきだろ。つか、守らせろ」
「守んなくていい!」
「よくない。だって、俺は渚が好きだから」
「!?」
驚いたのか、渚が息をのむ。
「好きだよ。弱ってるとこにつけこむみたいだけど。俺、渚のこと好きだよ」
「・・・嘘」
「嘘じゃない。真面目に言ってる」
「・・・・・・・・・」
「俺、もっと頼ってほしい。一人で抱え込むなよ。祐樹だって、頼りないけど傍にいるだろ?祐樹には、お前は甘えられないだろうけど。だから、俺に甘えろよ」
「・・・う、うぅぅぅ・・・!」
こらえきれなかったように、渚は声を殺して泣き始めた。
「よしよし。泣き止んだらすぐに行くぞ」
「・・・グス・・・どこに・・・?」
「そりゃあ、決まってんだろ。水道だよ。目、赤くなってるから。祐樹にはばれたくないだろ?」
「・・・うん」
「そんで、少しは顔をマシにしたら仕返しすんぞ」
俺はにやっと、顔を上げた渚に笑いかけた。
「・・・ねー、これでいいの?」
「おう、大量だな。よくやった」
皆がまだ登校していない、朝早い時間帯。教室には俺を含めた、渚と祐樹の三人しかいない。
祐樹が持ってきた箱の中を見て、俺は満足げに頷いた。
「・・・ねぇ、ほんとにこんなのが使えるの?」
祐樹が自分の持っている箱を気持ち悪そうに見る。
「使えるに決まってんだろ。むしろ最高だ」
「でも、こんなの、どうするの?」
渚も自分の持ってきた箱の中身を見て首を傾げる。
俺の持ってきた箱と合わせると、かなりの量があるだろう。これだけあれば十分だ。
「面白いことに使うんだよ。まぁ、見てろ」
俺の、何かを企んでいる笑顔に、二人も笑顔を返す。
あの三人がこの嫌がらせの首謀者なのはわかっている。この仕返しにどんな顔をするのだろうか。
それを考え、俺は笑いをこらえた。




