隣のおせっかい
俺は特に緊張もせず、教室に入った。何度か転校を経験していたからだ。
入った途端、女の子を見る。
(お、あの子可愛いな~。あの子は気が強そうだし・・・さっき通った教室にも可愛い子いたなぁ・・・)
「・・・じゃあ、皆、仲良くしてあげてね」
先生のその言葉と共に俺は背中を軽く押され、空いていた後ろの席に座った。
それは、さっき思った気の強そうな女の子の隣だった。
「あたし、渚!よろしくね圭くん!」
手を差し出され、握り返した。
「こっちこそ、よろしく」
それが、渚との出会いだった。
先生が出て行くと、クラスメートがわっと寄ってきた。
「ねぇねぇどこから来たの?」「何歳?」「どうして転校してきたの?」「誕生日いつー?」「血液型は?」「ねぇ、一緒に遊ぼう!」
まるで言葉の洪水だ。
そんな中。
「やめなよ!いきなりで圭くん困ってるじゃん!」
大きな一喝。
皆は一斉に黙った。
俺は少し苦笑した。どこにでもこういうやつはいる。
いわゆる、おせっかいというやつだ。
「大丈夫大丈夫。えっと、どこから俺がどこから来たか、だったよね?俺はねー・・・」
白けかけた空気を修復するために俺は質問に答えはじめた。
また周りの空気が明るくなり(さっきよりは控えめだったが)騒がしくなる。
その時、俺は確かに聞いた。
女の子の声で。
「・・・あの子、うざいよねー・・・」
嫌な予感がした。
嫌な予感は的中した。
次の日から彼女、渚への無視が始まったからだ。
最初は女子だけだったが、気まずい雰囲気となり男子も話さなくなっていった。
俺は数日は教科書がなかったので貸してもらうため話していたが、届いてからはそうはいかなくなった。
「・・・もう、あたしと話さなくていいよ。圭くんに迷惑かかっちゃうから」
わかりやすい強がり。
でも、それは確かに拒絶だった。
なんとか話そうとしていたが、渚はどんどん無口になっていった。
そんな時、俺は一人の存在に気付いた。
渚の周りをうろちょろしている男子がいるのだ。
明らかに気弱そうな、渚の金魚のふん。
でも、そいつは確かに渚を完全な孤独から守り、支えていたのだ。
自分にはできないことをしているそいつのことがやけに腹立たしく感じられた。
いや、そんなこともできない自分に腹がたった。
次の日から、また俺は渚と話すようになった。
その存在に負けないように。
その気に食わない存在が、祐樹だった。




