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雪の耳飾り  作者: カイン
祐樹&ユキ
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13/25

花のイヤリング

ユキが俺の家に来てから五日目。

「ね、ここ行きたい」

「え?」

唐突な言葉に、目を向けた。指差す先にはテレビの画面。

ちょうど、近くに大きなショッピングモールが出来たらしい。

まぁ、近くと言っても、最寄りの駅から五つほど駅が離れているのだが。

「ああ、いいかもなー。じゃあ、明日にでも・・・」「明日じゃだめ!」

さえぎる強い口調に驚き、彼女の顔を見た。

自分の発言に驚いたような顔をしていた彼女がうつむく。

「・・・ごめん。いきなり、だったよね・・・」

「ううん、いいよ。そうだね、そこまで遠くないし。あまり長くはいられないだろうけど・・・いいよね?」

「ほ、ほんとにいいの?」

「うん、いいよ」

「やったぁ!」

無邪気な笑顔に心が浮かれた。


「わわ!」

人の波に押され、その圧迫感で思わず声を出した。慌てたようにユキが声を出す。

「ゆ、ユーキ!」

「え?・・・ああっ!ユキ!?ちょ、ちょっと待って!」

人ごみのせいで、どんどん離れていってしまう。急いで人をかき分け行こうとするが、なかなか近づけない。

「む、無理・・・!」

苦しそうな声が聞こえる。

(・・・まぁ、こんな人ごみの中だもんなぁ。苦しいのも当たり前・・・って、そんな冷静に考えてる場合じゃない!早く助けなきゃ!!)

「すいません!通してください!」

さっきより強引に人の波を割り、ユキの手を掴んだ。

「ユキ、だいじょ、うわぁ!」

さらに大きい波がきて、俺たちを押し流した。だが、手は離さず、なんとかその群集から逃れ、息を吐く。

「はぁ~・・・大丈夫だった?ユキ」

「う、うん。すごいんだね、ショッピングって・・・」

「いや、多分今日が安売りだからだよ。毎回こんなのじゃないよ・・・多分」

自信の無い口調。

(いや、だって、もしかしたら俺が知らないだけかもだし・・・)

「あ、あっち行ってみよ!」

「ああ、うん。そうしよう。まだ空いてるみたいだし」

そこはアクセサリーや小物を取り扱っているところだった。

こちらにも人はいるものの、セールなどをしていないせいか人は少なかった。

「可愛い!ね、ね可愛いよね!」

「うん、可愛いね」

猫のピン止めにはしゃいだ声を上げる。

ふと、アクセサリーに目を向けた。

(・・・あ、これ、ユキに似合いそう)

見つけたのは小さな花が二つあしらわれた耳飾り。

ピアスではなくイヤリングなので彼女もつけられるだろう。

(この値段なら買えるな・・・喜んで、くれるかな・・・)

驚かせようと思いこっそりと店員に渡した。

店員のほほえましい物を見るような目は少し恥ずかしかったが、ユキの喜ぶ顔が見れるなら些細なことだった。

「・・・彼女さんにでしょ?可愛く包装しとくわね」

「あ。は、はい。よろしくお願いします」

ばれないようにすぐにポケットに入れ、ユキの処へと戻った。

変わらない様子を見ると、どうやらばれてないらしい。

俺は安堵し、こみ上げてくる笑いを抑えた。

あー、明日テストなんですよねぇ・・・

憂鬱ですわぁ・・・

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