信頼してる悪友
「あ、これも食べたい!あれはおいしい!?それってどんな味?」
「お、落ち着いて!そんなに買えないから!」
俺はユキがかごの中に入れようとお菓子を慌てて押しとどめた。
「一個!一個だけなら買ってあげるから!」
「えぇー・・・あ、じゃあ、あれは?果物が描いてあっておいしそー!ジュース?」
「それはお酒!お酒は二十歳になってから!」
「むー・・・」
小学生並みの会話だ。でも、むくれるユキもまた可愛い。
お菓子売り場に戻っていったユキを見送り、俺は野菜を選んでいた。
(・・・んー、レタスはあんまり安くねぇ・・・お!人参が結構安いじゃん!ついでにじゃがいもに、大根も・・・あれ、肉はあったけなぁ・・・?)
「・・・あれ?祐樹?祐樹じゃん!」
「え?」
名前を呼ぶ声に振り向くと、そこには見覚えのある顔があった。
(げっ!圭!?なんでここに!)
「・・・なんだよ、そのゲッと言いたげな顔は」
「!? い、いや、そんなことはないぞ!?お前、なんでここに・・・?」
圭は、悪友で勘が鋭いヤツだ。ちなみに、女好きでなまじ顔がいいのでそれなりにもてる。
(ユキを見たら、こいつのことだから口説くに決まってる・・・!)
「ああ、俺はなんか食いたいな~、と思って。あと飲み物切れたし。お前は・・・聞くまでもないな」
「ほっとけ」
じろじろと見てからそう判断を下す。まぁ、あながち間違ってないので否定はしないが。
というか、正直早くどこかに行ってほしい。
ユキを見たらコイツは必ず・・・。
「あ、君可愛いね~。どう、これから暇ならちょっとお茶でも・・・」
「え、あの・・・?」
(そうそう、ああいう風にすぐ声を・・・)
俺は勢いよく振り返った。圭に話しかけられて困った顔をしたユキが目で助けを求める。
「おいこら!やめろっての!」
ユキが俺の背中に隠れる。それを残念そうに見送ってから、やつは俺に好奇の目を向けてきた。ニヤニヤとしているのが腹立たしい。
「・・・ほぉ~?ちょっとこっちに来いや、この野郎」
「いてて!」
笑顔のままいきなり耳を引っ張られ、彼女から離される。
小声でこちらに話しかけてきた。
「・・・なんだ、あの子は?ん?どうゆう関係か、おにーさんに正直に言ってごらん?ついでに紹介しろ」
「お前を兄と思ったことはねぇし、した覚えもねぇ。つーか、すると思うのかこの馬鹿」
「てめ、親友だろ!?」
「ほぉ、お前と俺では何か大きな誤解があるようだな。俺はお前を親友だと思ったことはねぇっての」
「なにぃ!?小学生からの仲だろ!?」
「ああ、それはな?腐れ縁って言うんだよ。わかるか?腐ってんだよ。もう、あとは落ちるのを待ってる状態なんだっての!」
「でも落ちてねぇだろうが!なんだ、お前、まさか五年のときのやつをまだ引きずってんのかよ。心の狭い男だなぁ」
「なんだとこの野郎・・・!」
お互いにっこりと顔は笑っている。しかし、その間には相手に対する敵意がむき出しになっていた。
まぁ、こいつだからあからさまにできるという信頼がお互いには(認めたくは無いが)あるのだ。
だが、そんなことは知らないユキは二人の棘だらけな雰囲気に、困惑したように二人を見ていた。




