六話 「ロマンスカス」
「......ご飯、ない」
燕は腰を起こして、近くのコンビニへ向かった。
スーパーの方が安いだろうが、材料を買って料理する程の気力はなかった。なのでコンビニ頼りだ。
コンビニへ着くと、やはり都会のコンビニよりも古臭いような気もして、在庫はあったが並んでいる量は少ない。
弁当と長持ちしそうなものを買って、アパートへ戻る。
アパートの前、一人の女性が花壇の方を見ていた。
「......」
「......あら」
燕は黙っていたが、どうも無視して通してくれなさそうだった。
「ここに住んでいるの?いえ、住み始めたのかしら」
「まぁ、はい」
「あそこの花壇、花が半分なくなっているの」
「?」
「不思議よね、華麗なものを自分の手で磨いて、でもそれは儚いものなの。その時はなくならないようでも、永遠ではない。まるで波打ち際」
「......」
「人生も同じ。永遠だと思い込むけれど、実際は限りあるものなの」
「......」
「名前がまだだった。私は夕夢。あなたは」
「......燕」
「そう、燕ね。鳥のツバメは海を渡るの。あなたはまだ渡っているの?それとももう見つけた?」
「......」
「ナラティブね」
「......大丈夫?」
「何が?」
「頭」
「そうね、はっきりした物言いは好きよ。でもね勘違いしてるわ。私はシナリオに生きてるの」
あ、やっぱ駄目だな、と燕は思った。




