二十九話 「プール」
「はぁ......」
車から降りた時点で、全員疲れ切っていた。
「これからだね」
「まぁ」
「早く行きますよ!」
琢磨はロッカーの方へ走り去ってしまった。男子高校生はプールでしゃぎたいのである。
「じゃ、着替えるか」
男子と女子に分かれ、全員が着替えた。
「......」
「......私、スク水しかなかったの」
「僕も学校のですよ、気にしないでください」
純情な男子高校生であった。
「そうだなー。大家さん興奮しちゃうから、男子と女子に一旦分かれよ」
安音が言う。
「俺を山の獣か何かと思ってるのか?」
「それは、肉団……何でもない」
「行きましょう。なぜ人類は川や海を泳がずしてプールを造ったのか、謎を解き明かしましょう」
「あ、それは安全だからだよ。波とか、川の流れで死亡する事故とかあるじゃん?プールは調節出来るし、人の監視もあるからね」
燕によるネタバレ。
「......私は何をすればいいの?」
「泳ぐ」
久しぶりのプールに、彩葉たちは浮かれていた。
「......水着」
燕を除いて。
「水着、平気だよー?」
彩葉が言う。
「あ......」
「?」
「いや、その。あんまり見ないで」
「......」
彩葉ダウン。
安音は、一足先にプールを出た。そして、デッキチェアに座った。
「......」
「お、安音いたのか」
そこに、たまたま大家か来た。
「今帰ってきたところです」
「若いやつらについて行けなかったんだろ!」
大家は、少しからかった。
「まあ......」
大家は少し後悔した。
そして、挽回しようとするのであった。
「......なんだ、気にするな、いろいろ。元々、安音が住み始めた頃のやつらいないしな」
「だから、私だけが取り残されちゃった気がするんですよ。優子も稚陽も結婚して、野美子も結婚するってなって。実輝も東京行っちゃうし」
「まあなー?でも、別にそういう事だけが進むってことじゃないんじゃないか?」
「?」
「ステップアップせずとも、毎日を明日に繋いでいく。いいじゃないか」
「怠惰ですよ」
「現代社会ってのは、そんだけ忙しいんだ」
「田舎者のくせに?実輝に聞いてもらいたいですよ」
「まあ、結局はアパートに住んでもらわないと、俺が困るかな!あはは」
「きも。だから大家さん結婚出来ないんですよ」
「はは、やめて刺さるから。でもな、お前もだろ?」
「はあ?違うし!」
ガミガミ、ガミガミ。
「パパー?あそこの夫婦がケンカしてる」
他所から、そんな子どもの声がした。
「はっ!てめえ黙れ!」
「ぐへっ!?」
大家は蹴り飛ばされ、プールサイドで転けた。
そして打撲した。




