二十六話 「泥酔」
「わたしの部屋、どう?」
「どうって......少し汚い」
改修工事で言い争った夜、燕は彩葉の部屋を訪れた。
「さっきも思ったけど、はっきり言えるの凄いよね」
「え?」
「いろいろガツンと」
「でも、彩葉もハゲちゃんとか言うじゃん」
「酔ってるからね」
「......今は?」
「さっき覚めた」
夜風に当たって、彩葉の酔いは完全に覚めた。
「あ、料理は?」
「ん、おつまみ作ろう」
「おつまみ?」
「嫌?」
「嫌じゃないけど」
「じゃあ決まりね」
彩葉は、冷蔵庫から茗荷を取り出した。
「はい。まずは、茗荷を縦に切ります」
燕は彩葉の手元を見る。
「これを甘酢に浸します。かんせ〜い」
「完成!?はや!」
「でも五分くらい待つよ」
「あ......そう」
彩葉は、再び冷蔵庫を漁る。
「奥に、ビールが二つ〜」
ビール缶を取り出し、机に置く。
「燕ー」
「うん......」
燕は、彩葉が待つ机の席に座った。
「この机、キャンプ用?」
机はシンプルで、金属製の簡易的な机だった。
「違うよ?ホームセンターに売ってた、折り畳めるやつ」
それを世間は、キャンプ用の机と言う。
「カンパ〜イ」
「か、かんぱい......」
「あ、待って。缶の上開けなくていい?」
「んー、いい」
「んじゃ、おつまみも取ってね」
彩葉は、懐のどこからか、先程の茗荷を出した。
「え......」
「......何?」
「なんでも」
「ふーん」
二時間後。
「へへーん。飲み過ぎだよー」
「ん〜?なんてー?」
二人は泥酔状態だった。
燕は飲み過ぎたせいで、状況や言葉をはっきり理解していない。
「そーだ。シャワーだけ浴びて、もう寝ちゃおうー」
「?」
「ほら行ってー」
彩葉は燕を洗面所に押し込んだ。
酔った燕は、思考を奪われBOTとなって、言いなりだった。
「ふ〜う......へへ」
彩葉は布団を一枚用意した。そして、隣にティッシュ、タオルを置いて、燕が上がってくるのを待った。




