二十一話 「この仕事の理由②」
ホテルの入り口の上方でミサイルが爆発し、優子たちは巻き込まれた。
感覚がない右手の義手を見ると、いくつかの指がひしゃげていた。手首にもダメージがあり、プラプラと垂れ下がっている。
背中に痛みがあり、きっと、血が出るくらいには何か怪我をしている。
四つん這いになっていると、優子の意識は段々と朦朧としてきた。
あれ、なんでこの仕事してるんだっけ。
食卓の席暖まらずは、家庭に申し訳ないし良くない。何より、自分もそこに居たいし、寂しい思いも余りさせたくない。
それなのに、なんで海外なんか......。
あ――そうだ、あの景色だ。
夜には一切光がなかった場所に、ライトの光がつくんだ。何か働かなきゃいけないなら、あれが見られる仕事がいい。
最初こそ、海外の方がお金稼げね?なんて理由で事業を海外にフォーカスした。でも、移動欲かな。何にせよ、仕事自体に生きがいを感じているんだ。
......だから何だ。
一番大事なものを見落とすな、優子。お前が生まれた時から望んでいたものが、折角あるじゃないか。
「......ぅ、飛んでた......」
優子は意識を正確に取り戻した。
背中に怪我をしているだろうが、優子は気にしなかった。
「おい、おい」
左手で、倒れている同僚を揺らす。
「うぅ......」
意識がはっきりしていなかったので、優子は担いで歩くことにした。
段々と地平線近くの空の色が変わっていく中、テロはまだ続いているようだった。
「はぁ、はぁ......」
一歩、また一歩と、空港へ近づいていく。




