二十話 「この仕事の理由①」
優子が目を覚ましたのは、深夜三時。場所は空港前のホテルだ。
「......」
(そうだ......空港がガタガタしていて、フライトが次の日になったんだ)
優子は体を起こす。
外は月明かりで少し明るい。
ぼーっと、窓越しに隣のビルを眺める。
パリ――バアァン......!
少し曇った爆発音がした。それと同時に、目に映っていたビルが爆発した。
「は.....」
爆発前の残った煙から、ミサイルのようだったと思う。
海から攻めなかったテロリストが、海岸まで押し寄せてきたのだ。
向こうからサイレンは聞こえない。人の営みの様子がない。
ここもいずれいい的になると思った優子は、支度をしてホテルの部屋を出た。
ジリリリリ、ジリリ。
同僚の部屋のベルを鳴らす。
「あいつ、こんなんでも寝てるのかよ!おい!」
ドンドンドン!
扉を叩く。
外の様子からか、はたまた扉を叩く音からか、何部屋からか人が出てくる。
叩いていると、中から足音がしたので、優子はその手を止めた。
「すみません。隣の火事、気がつかなくて......」
「火事じゃない、テロ。金、パスポ、荷物!持ったら空港!」
「はいっ」
同僚が荷物を取りに行ったその時、グラッと一瞬建物が揺れた。
隣のビルで、大きな爆発があったのだ。
優子たちは急いで階を降りようとした。
周りの客も状況を理解し始めて、下へ避難する。
「優子さん、エレベーターは危ないですよ」
「......」
優子は階段ではなく、エレベーターに向かった。
「もし止まったら......それこそ落ちる可能性だって」
「エレベーターは建物の中心にある。でも、階段はなぜか海側。ミサイルか何かは海から海岸方向から撃ってくるだろ?階段で行く方が今は危ない」
「確かに......天才ですね!」
エレベーターには、優子たち以外に三名。他は階段で下りた。
ガジャン!!
地震では味わえない爆発特有の振動と、海外のエレベーターの軋みが優子たちを襲う。
「キャー!!」
「Oh my god ! Oh my god !」
(あぁ、神よ!神よ!)
「......」
(黙れよ......)
バタンと、何かが途切れるような音がした。
「え、え......」
「そろそろ黙れ」
一瞬真っ暗になり、しかし赤い非常ライトがエレベーター内を染めた。
エレベーターは再び動き出し、三回で止まった。
外へ出ると、窓ガラスの破片が落ちている階段を下り始めた。上から垂れたか、血滴もある。
外に出ることは成功したが、ひとまず空港まで行かなければならない。
なぜ空港に行くのか。それは、大家姉が現在こちらに向かっているからでもある。一番は、あの建物で安全を確保し、フライトが可能になった瞬間に国から出るためである。
「ゆう――」




