二話 「逃避行カス」
一人、引っ越しの荷物を持った女が歩く。
アパートの前、トラックは先に到着していた。
「初めまして、お疲れ様っす」
「あ、初めまして。ここの大家です。燕さんですね?」
「さんはいいっす。どうせ大家さんの方が年上なんで」
「そうで......そうか。本当は下見とかしてもらえれば良かったけど、急だったから準備しながら見てくれ。間取りとか、見なくて良かったか?」
「いいっす。早くこっちに引っ越ししたかったんで」
「そこまで不自由はないと思うが、何かあったら言ってくれ」
燕と大家が話していると、引っ越し業者が歩いてきた。
「あの、ここの大家さんと依頼人さんですか?」
「え、ええ」
「はいっす」
「これから運びますんで、案内よろしくお願いします」
大家は業者を部屋に案内して、燕に配置だけ指定させた。
燕は特に配置にこだわりがなかったので、大家の部屋で休んでもらうことにした。
大家は座布団を出して、お茶を用意した。
「若いけど、仕事は?」
「農業の手伝いと、バイトを考えてます」
「親から何かあるか?」
「ないっす」
「そうか......ここの子たちは若い子が多いから、馴染めると思うぞ」
「そうっすか......」
「......それにしても、こんな田舎に来るなんて、なかなかな趣味してるじゃないか。つっても、あるのは落ち葉くらいだけどな!ははは!」
「あんな社会、過酷過ぎるんすよ。なので落ち着ける場所に住みたかったんす」
「はは、は......そうか」




