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一話 「ツバメ」
少し冷えた海面。
揺れる水面の上を翔るツバメ。
途方に暮れる距離、風を切って海を渡って、安息の地に翼を下ろす。
されど、そこもまた嵐。
ある田舎のアパート。
大家は前庭を掃除していた。
「......ふぅ。疲れたな」
一息つき、箒を杖代わりに凭れる。
「今日はこんなもんでいいか」
大家は箒を片付けるため、左の倉庫に向かった。
「ん?あれ!こんなところに」
倉庫の屋根のところに、ツバメが巣を作っていた。
「初めてだなぁ、鳥が巣を作るの」
ツバメは藁と泥が混ざったものを咥えて、それを壁に貼り付けている。
アパートの敷地内に巣を作られるのは初めてだったので、大家は喜んだ。
「縁起がいいなあ」
「ハゲちゃん」
アパートの住民が声をかける。
「あ?」
「掃除なんてしちゃって。誰か新しく住むの?」
「掃除はいつもしてるぞ。でもまぁ、新しく来るんだよ」
「へー。じゃあ紹介してねー」
「お前待て。ハゲって言っただろ」




