十二話 「学カス」
この田舎アパートには、もう一人住人がいる。大家が預かっている、高校一年生だ。
親戚の虐待を知った大家が、預かる形になった。
朝から掃除している大家に、その彼が通り過ぎる。
「大家さん、いってきます」
「お、琢磨。気をつけてな」
「何もないですよ。車も通らない道なんだし」
「はは、確かに」
琢磨はギアのないママチャリに乗って、ニ、三キロ離れた学校に通っている。
田舎で人数も少ないが、学校としては上手く機能している。
学費は、アルバイトの給料と裁判で手に入れた資金だ。
カシャカシャ――。
学校が終わると、そのままバイト先に向かう。
バイト先は、歳食ったおばさんともババアとも言えない人の居る焼肉屋。
業務内容は、基本的に配膳諸々。
ガチャガチャ――。
バイトが終わると、やっとアパートへ帰る。時間にして、八時半。
一度風呂に入って、それから課題をして寝る。
今日、琢磨が自転車を停めるとき、燕がいた。
「燕さん、どうも」
「さんはいいよ。どうせ......高校生なんだっけ」
「はい」
「でもいいよ」
「いえ……」
琢磨は、燕を少しリスペクトしている。
会って間もないが、燕が平日は殆どバイトに出ていることを知っている。何してるかよくわからない大家と、その他あまり働かない人と比べると、燕は頑張っているように見える。
琢磨は挨拶をして、部屋に戻った。
大家とは別室で、一室丸々を貸してもらっている。
ただ、一つだけ不満と言うか、怖い事が琢磨にはあった。
使わない収納スペースに、ちょうど人一人をぐるぐる巻きにしたようなものが来た当初からあった。
誰にも打ち明けられていないのが、悩めるかれの悩みである。




