14 難関ミッション再発
ここから2章です
ピピピ、と聞き慣れた機械音が耳元で鳴り響く。手を伸ばし、何度か外しながらもアラームを止める。昨日は無事に連絡先を交換できたということで安心しきって早く寝たので、長時間寝れたのか眠気はあまりなく、珍しく頭がすっきりしている。だから、中瀬さんから送られてきた
「私の下の名前、なーんだ?知ってるとは思うけど、明日確認するねー」
というメールに対し、メールしてくれた嬉しさがある反面、クリアな頭が中瀬さんの名前を知らない、と訴えてきて、朝から頭を抱えることとなった。
僕が中瀬さんの名前を知らない理由は、あるにはある。無論、それは言い訳に過ぎず、想い人の名前さえ知らないのかと言われれば反論できないが。まず、中瀬さんは自己紹介で自分の名字しか言わなかった。それに、彼女の友達も名前で呼ぶことはない。だから、僕は自分の耳で彼女の名前を聞いたことがない。更には、彼女と仲良くなって普通に話せるようになったのはつい最近だ。だから、
「名前何?」
と気楽に聞ける訳なかった。加えて、教室に名簿のようなものはない。流石に先生は把握しているだろうが、どんな理由付けで聞けと言うのか。
そして最大の理由だが、僕には余裕がなかった。中瀬さんと席が前後の時なら教科書に書かれた名前をなどを盗み見するなどしていくらでも知る機会はあっただろうが、彼女と話すだけで緊張してたあの頃にそんな余裕があるわけ無い。そして、席が遠い今では、中々中瀬さんの席の近くに行く理由もなく、名前を知る機会は完全になくなってしまったといっても過言ではなかった。
最後の砦であえる交換した連絡先の名前も
「中瀬」
となっており、流石に家族間でも使うであろうアドレスで家族共通の名前を設定するはずがないので、わざと名字だけにしたのだろう。
この状況を客観的に見るなら、
「好きな人の名前も知らねえのかよ…」
と言いたくなるような情けなさだが、今この瞬間においては連絡先の入手よりも名前を知ることの方が難しいのだ。
少し早めに起きたとはいえ、あと1時間もすれば家を出る必要があり、更に15分も経てば中瀬さんと会うこととなる。
勿論知っている人もいるだろうし、早めに学校に言ってクラス中に聞きまわるのが正解なのだろうが…僕は中瀬さんと仲良くなることばかり考えて男女問わず禄な会話をしていなかったことを思い出し、一人
「休みたい…」
と呟いてしまう程度には追い詰められていた。




