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28 アンデッドスクワッド①

「落ち着いたか?」

「あぁ…すまない、みっともない姿をみせた…」

「良し、ではこれから少し会議だ」

ガンドルフがパンと手を叩いて場を仕切る。


「我らはこれより先の石橋を渡ったところにある村に向かうわけだが…ここらは何処の誰の領地だったかわかるか?」

「俺に目線を向けられても困るぞ?」

「……たしか、モンモル辺境伯の土地の筈だ」

「そうか、辺境伯なら私兵を抱え込んでいても不自然ではない筈だよな」

「そうだな、一緒か分かんないが北の辺境伯は国境警備隊の他にも抱え込んでいたな」

「それなら、手が回らないから中央騎士を呼ぶか?」

「うーん…東の国を警戒しているから…とか」

ヘリオスは知らなかったが、東にある国から兵が集まっているという噂があるらしい。


「そんなことがあったのか…」

「いや、気にしない…訳にもいかないが、定期的に牽制の為かそういうことがあるんだ…だから混乱はしてないし、直ぐにでも戦争なんてのは無い…」

「語気が弱々しいぞネレイス。…まぁ!戦争なら歓迎だがなぁ!武功をたてられる良い機会だ」

「オイ…」

「そう睨むな…だが、以前からマレアスの連中はうざったいからな…直接隣接している領地を持つ辺境伯は手を抜けんだろう…それはわかるが…」

「ま、行ってみて調査しよう、仕事だし」


3人は村に向かって歩き始めた。





村は人の気配が無く、閑散としていた。

10程の家屋と思わしき物があるが、どこも扉や窓が空けられたもぬけの殻の状態であった。


「ふむ…ざっと確認した限り人っ子1人いないな…」

「争った形跡は幾つか見当たったが…血痕はあれど怪我人も亡骸も無しとは…」

「……魔物の仕業と聞いていたが、少しおかしいな」

「ほぅ…どうおかしいのだ?」

「魔物は食う、蓄える、寝る、が基本的な活動だ…野生の獣と同じでな」

2人がヘリオスの話を聞いている。

「だが、畑に植えられた作物は踏み荒らされた形跡はあれど齧られた形跡がない…此処に来るまでにも畑はあったがどれも被害規模は違えど同じだ」

ヘリオスは杭に結ばれた縄を手繰る。

その先は途中で切断されていた。

「襲ったのが肉食獣であったとして、こんな鋭利な切断面は無いだろう?…明らかに人為的だ。…人攫いや野盗にしても金品を探したような形跡が無かった」


適当な家屋を拝借し、卓につく。

「おお~凄いぞいい推理だ!」

「いや、目に見える情報を羅列しただけだ、そう煽てられても困る」

「…!そうだ!…我々が来るよりも前に傭兵が此処に来た筈だ…」

「そうだな…えっーと…資料、資料」

ガンドルフは荷物をあさり、渡された資料を取り出し広げる。


「ここの他に2,3の村が襲われていると報告があったが…これはもう少し増えているのかもしれんな」

「…騎士団の調査では魔物の正体の他に行方不明となった者達も未発見…まあだから行方不明なんだが」

「騎士団は襲われていないが傭兵が襲われたの違いとかあるのかも?」

「どうだろうな…騎士が運が良かったのかもしれぬ」

「それか、魔物がよほど狡猾な奴で騎士を避けているのか…も?」

「どうしたオリビオ?」

「私の魔法で霧を生み出して周囲を漂わせていたんだが、何か動く物を感知した」

「便利な魔法だ」

「だが…なんだ?…小動物か?それとも…蛇…!!」


ドンッと、椅子を蹴り飛ばす勢いで立ち上がりオリビオは腰の剣を引き抜く。

「囲まれている!」

「何?」

オリビオの反応で察しがついていたので少し遅れてではあるがヘリオスとガンドルフも戦闘態勢をとる。

「数は?」

「6…8…10…増えている!」

いつしか空は薄暗く、分厚い雲に覆われていた。




そしてヘリオス達にも何者かの動く音が聞こえ始める。

ハンドサインで作戦を決める。

ヘリオスの考えに2人が了承の返事をした瞬間に行動を開始する。



ヘリオスは思いっきり机を蹴り飛ばし入口を破壊しながら飛び出す。

机によって切り拓かれた道を駆け抜け、襲撃者に剣を振るう。もしもの事を考え、刃を鞘に入れたまま振るわれた鈍器は人でいうところの顎に直撃した。


「aaaaaaaaaaaaaaaaaa!」

「!?」



そこにいたのは人であった。


─身につけた衣類はボロボロで土と泥に塗れて元の色は分からない。



そこにいるのは、人である筈だ。


─片方の眼窩には何も無く、虚無だけがあった。



そこにあるのは、人では無い。


─皮膚は剥がれ、肉が腐り骨が剥き出しになっていた。


それは、かつて、ヒトではあったのだろう。


─屍が動いていた。



ヘリオスへと襲いかかろうとする別の屍に、炎の塊と水の刃が直撃する。


「なんだ…これ?」

死霊術(ネクロマンシー)か!?禁術指定の魔術だぞ!それ以前に扱える魔法体系は既に途絶えたと記憶していたが!」

「中途半端な火力ではまだ動くか…!」

「…この服装…この村の住人か?…だが、どこから現れ…!!」


視線の先には深い、深い穴が見えた。幾つかの穴が、村中にあるのが見えた。

「穴!地中に潜んでいた!」

「…どうする?…焼いてしまうなら早いが…」

「…すまない…どうか許してくれ…、そして安らかな眠りにつけることを祈る…」


ヘリオスは鞘を外し、刃を晒す。

オリビオは祈りを捧げるように、瞠目した後彼の背後に水を集め始めた。

ガンドルフは己の身体から炎を噴き出しながら、睨め付ける。


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