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18 便利だが、万能では無い

 我々は少し拓けた場所でキャンプをすることになった。

 まだ日が落ちるには早い時間だが、暗くなってからの設営は危険であるとヘリオスとパオロが提案し設営を開始した。


 まだ設営に慣れていないオリビオとベッタはそれぞれパオロとチェリアが手を貸し設営を終える。

「さて、道具は一式備わっているが…食料は乾パンだけだな」

「で、でしたら。わ、私が山菜を採ってきます」

 なんでもベッタ嬢は実家で植物に囲まれて育ち山菜も普段から採取していたらしい。

 ベッタの提案にチェリアが自分も同行すると挙手をし二人は山菜採りに出た。


 残った男性陣にて水とたき火の支度をすることになった。

「とはいえ、真水なら直ぐに用意できるのだがね」

 オリビオは音楽隊の指揮者のように空を指でなぞるとその先に水玉がポツポツと現れる。


「…サバイバルで新鮮な水がこうも簡単に手にはいるのはありがたいな」

「フフン!称賛したまえ!」


 ヘリオスは素直に凄いと言葉にした。パオロは少し調子の戻ってきた主に満足気な顔をしていた。


「今度は俺の番…だな」

 ヘリオスは枯葉や落枝を集めて小盛りの山を作るとそこに腕を入れる。

「はぁぁぁああ…!」

 腕に力を込める。血管が浮かび筋肉が引き絞られ震える。だが、まだ足りないと更に腕に力を込める。皮膚が赤くなり脂汗が滲みはじめたその瞬間。


 肘の先から拳にかけてに熱が一気に爆発する。

 傍から見ていたオリビオ達には、ハッキリとヘリオスの右腕が光って見えた。


 そして、ジュゥゥウウ…と何かが焼ける音が聞こえ始める。枯葉山から火が灯る。

 ヘリオスは急いで空いていた左腕で枯れ枝を掴みその先に火を移すとパオロに渡し他の火を消火する。


「ふぅ…成功、成功」

「うーむ…やはり不思議だ」

 オリビオはヘリオスのことを見ながら言葉を漏らす。

「不思議…?…俺からしたら貴方の魔法の方が不思議だが」

「それは当然だ、自分が修めていない体系の魔法は理解不能だ」


「前も語ったが…時間もある、もう一度語ろう」

「ああ…以前より今の俺は学習意欲が違う」

「ついでに、オリビオ様、水をこの桶の中に入れておいてください」


「…ヘリオス。魔法とは…と聞くと長くなるが、魔法を扱うには何が必要か解るかい」

「…魔力?」

「そうだな、魔力。これは人が生きていくうちに勝手に生成され血液のように身体を巡るものだ…」

 指を空に立て、指先に水の玉ができる。

「私の魔法は、代々ネレイス家が継承し続けてきたものだ…貴族の扱う魔法のほぼ全てが家が代々継承した魔法なのだ」

 水の玉はゆっくりと桶にはいると形が不定形となりただの水溜りになる。


「代々継承してきた…親から子へと血を繋げて…その結果、貴族の子供は生まれつき生成される魔力が平民より多くそして異質なものに変化している」

 自分の胸を指さしながら。オリビオは続ける。


「私の場合は『水』を操ることに特化した魔力になっている…他にも君が知るところだと………ガンドルフの家…アドラヌス家は『炎』の魔法を継承し続けていて、その体質は『炎』に特化したものに変貌している」

「変貌?」

「彼は、熱に強いんだ。以前火の中に平気な顔で自分の腕を入れて火傷一つ無かったからね」

「なるほど」

「そこで、君だ」


 ヘリオスは小首をかしげる。

「以前見せてもらったときな光、今回も途中まで光だと思っていたが…君からは『光』以外の要素を強く感じる…どちらかというと『光』は結果として『光』となっているだけなのだと思う」

「どういうことだ?」


「そうだな…平民の魔力と貴族の魔力の大きな違いについてなんだが…知っているかい」

「知らん」

「万能性さ…貴族の魔力は特化しすぎて万能ではなくなってしまった…まぁ、その分規模と精密性は貴族の方が上なんだが。しかし、君は平民のように万能と言える魔力でありながら、その秘めたる力は貴族(我々)の魔力に迫るものがあるということは」

「…そうなのか…?」

「まったく、わかってなさそうな顔だ…まあ、気をつけたまえよ?貴族の子供の死因に挙げられるもので自爆があるのだからね」

「…へ?」



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