初心者ダンジョンだった⑤
二階層についてリカルドの説明がは始まった。
「二階層についてだが、この階層では一階層で出てきたモンスターが複数で現れる」
どうやらここからはパーティー戦の実践をやる階層のようだ。
しかし俺たちは個人の戦闘訓練はやっていたが、パーティーでの戦いはやっていない。
「普通の場合はこの階層で集団戦を学んでもらうのだが、おまえたちは今まで通りソロで戦ってもらう」
俺たちの持っている力は素人ではないが、心はまだ素人なんだが大丈夫なのかよ。
「今無理だと思っていると思うが、実際おまえたちのステータスでここのモンスターに、攻撃されようともかすり傷にもならない」
リカルドの言うことに、俺たちは実感が湧かず首を傾げる。
ここまでの戦闘では皆、瞬殺しすぎて誰も攻撃を受けていない。
つまり出てくるモンスターが弱すぎるのだ。
ユーリさんとの訓練の方がまだ戦っている感があった。
「今日の戦いを見て、おまえたちなら大丈夫だと判断した。 もちろん危なくなったら私たちも介入する」
明日も今日と同じように皆で進みながら、エンカウントしたら誰かが一人で戦うみたいだ。
「私からの話は以上だ。 私ほ部下が夕飯を作っているので、テントを建て終わった者から受け取って夕食にしてくれ」
リカルドが話し終わるとフロアーの端を指さしそう言った。
指されたほうを見ると、騎士たちが端の方で大鍋をかき回しているのが見えた。
どこから持ってきたかわからない大鍋は、マジックバックで収納して持ってきていたようだ。
もちろん三日分の食材もマジックバックに入っているらしい。
マジックバックはなま物を入れると、普通に置いておく三倍の時間、腐らずに持つらしい。
テントを建て終わった人から、何人かずつ纏まって食事を貰いに行った。
俺たちもテントは建て終わっていたのでその列に並んだ。
今日の献立は豚汁っぽい汁ものとおにぎりが二つだった。
豚汁に関しては早い者勝ちだが、おかわりもできるらしい。
食事を受け取りいつもの五人で、円になるように座り喋りながら食べる。
話題は今日の戦闘のことがばかりだった。
「キエルンさー。 相変わらずスって消えるよねー」
「そういうスキルだからな」
何度も見ているはずだが、双槻にはまだ不思議に思っているようだ。
「そのスキルって今レベルどれくらいなの?」
俺のステータスはタクとヒカルにしか、見せていないのでスキルは教えたが、レベルまではわからないのである。
「真ん中くらいだし、そんなに高くないぞ」
本当は最大レベルだけどな。
友達は多いだろうから聞くのは楽勝だろけど。
「そんなわけないと思うんだけどなぁ……同じようなスキルもってる子に聞いたら、そこまではできないって言ってたし」
なんか情報収集してるし。
「……たぶん俺自身の存在感が薄いからじゃないかな」
ちょっとこの言い訳は苦しいか?
「ああ! だからその分、強力になってるんだ!」
通じちゃったよ。
よかったんだが、なんだろう……目からなにか出てきそうなんだが……
「それだったら、おまえらだって……」
お互いのスキルのことを聞いたり、戦い方をイジったりして過ごした。
お腹が膨れたところで、女性陣はセーフエリアの角に作った水浴び場へと入っていった。
水浴び場といっても魔法で、シャワーのように温水が出るらしいので快適らしい。
この世界にもレディーファーストの概念があるようで、問答無用で女性陣が先と決まった。
今回参加している俺たち男性陣に、そこまで風呂に固執してるヤツもいない。
なんなら俺たちは濡れタオルで、身体を拭くだけでも大丈夫だ。
使える物は使うつもりだから、女子が終わったら浴びる予定だがな。
女子がシャワーから出て来たのは、それから三十分後だった。
シャワーだけなのに結構長いな……
女子が終わったタイミングで、俺たちにも声がかかり男子全員で浴びにいく。
浴び終わると今日一日がハードだったのか、すぐ眠くなりみな自分のテントへと入っていった。
俺もテントに入り横になると、すぐに意識がなくなった。
明け方、しっかり眠っていた俺は腕時計の目覚ましの音で目を覚ました。
昨日、設定しておいたまま忘れていたようで、昨日と同じ時間に腕時計が鳴った。
まだしっかり覚醒しない頭でぼーっとしていると、すでに起きていたのか外から剣持たちの声がした。
このままテントの中にいても意味がないので、そそくさと外へ出る。
「「おはよう」」
外に出ると剣持と双槻が挨拶してきた。
こちらもちゃんと挨拶を返す。
「髪が凄いことになってるぞ」
「顔洗ってきた方がいいよー」
「お、おう」
慣れないテントと枕で寝たせいか、寝癖で髪が爆発していた。
昨日シャワーを設置されていた場所に、洗面所が設置されていた。
そして昨日あったシャワーは、解体されて何も無くなっていた。
俺は洗面所で歯磨きと顔を洗い、身だしなみを整え、来た道を戻る。
剣持のところに戻る時に、今起きたであろうヒカルが俺と同じく髪を爆発させながら、こちらに歩いて来ていた。
「おはよう」
「お、おはよ」
俺が挨拶すると誰かわかってなかったのか、体を跳ねさせていた。
だがすぐに俺だとわかり挨拶は返してきた。
そのまますれ違いそれぞれ目的地に進む。
剣持のところまで戻ると、タクもその輪に加わっていた。
「タクももう起きてたのか?」
「三十分前には起きてたんだな」
俺が気がつかなかっただけで、タクはもう起きていたようだ。
タクの寝ていたテントが畳まれていたので、俺が起きた時にしまっていたんだと思う。
ヒカルが戻ってきたところで、朝食を摂る。
朝食はコッペパンと牛乳っぽいものだった。
腹が膨れたところで、リカルドの声が響く。
「それではこれから二階層に入ろうと思う!」
二日目、二階層攻略の始まりだ。




