明日はダンジョンだった
俺たちは剣持の装備を選び終わると、俺とタクはヒカルの元へ、剣持とエリザは双槻へと別れた。
「武器はどんなの選んだんだよ?」
「見せて欲しいんだな」
ヒカルの近くまで来ると声をかける。
こちらの声にヒカルも気づき振り向く。
「僕が選んだのは普通の剣だよ」
そう言い腰に提げていた剣を持ち上げ、こちらへ見せる。
「それでも何かしらスキルは付いてるんだろ?」
「うん。 僕のスキルの光剣に耐えられるように【耐久】と【自動修復】が付いてるよ」
俺の質問にヒカルはそう返してきた。
ヒカルが訓練している時に、量産された普通の剣でスキルを試して、何本も剣をダメにしていたから、耐久が必要なのはわかる。
「自動修復って凄くいい装備なんじゃないのか?」
俺がステータスを見た防具のスキルには、一つも無かったからレアスキルだと思うんだが。
「たぶんそうだと思う。 僕が勇者だってことを考慮して、一番いいモノを出してくれたみたい」
ならこの装備は勇者仕様の国宝級のモノなんだろう。
「防具は一番いいのを貰わないのか?」
剣が特別仕様なら、防具も同じようなモノがありそうなんだ。
「一応はここを見る前に見せてもらったよ」
やはり特別な防具もあるようだ。
「それにしなかったのか? なんだな」
別の防具を選んでいるヒカルを見て、タクも疑問に思ったようで聞く。
「別のにするって拒否したんだよ」
「別のって、特別製なんだろ?」
特別ということは、ステータスやスキルがいいはず……
なのに断るとはヒカルには合わない装備だったのか?
「いや……スキルとかは凄く魅力的だったよ」
「ならなんで拒否ったんだよ」
「……なんというか……スゴくダサかったんだ」
聞き間違いか?
今、ダサいって言ったよな……
基本的に断れないヒカルが、嫌がるくらいダサいってどんだけ……
「どんな装備だったんだな?」
タクも興味ありげに問いかける。
もちろん俺も知りたい。
「えーと……簡単言うと、金ピカだったんだよ」
「どの程度に?」
金ピカでもレベルがある。
絵の具やペンキのインクレベル、金属に金箔を張ったレベル、全部金で作ったレベル。
前からレベル一、二、三だ。
「僕らの基準ではレベル四かな」
なんと更にだった。
レベル四って悪趣味過ぎて、人が着るモノじゃないぞ……
「それは断って正解だ!」
「それを来ていたら、頭おかしいと思われるんだな!」
「だよね! だよね! 断って正解だよね」
俺たちの同意をもらって、ヒカルは嬉しそうにこちらの手を取って上下に振り回した。
「それって使っていた人いたのか?」
そんな悪趣味を通り越した装備を、使っていたなんて狂気の沙汰だぞ!
「なんか何代か前の王様が使っていたみたい」
王様が使っていたのなら、なんとなく理解できなくもない。
たぶん威厳的なモノとか、周りからの圧力とかで着るに得ない状況だったのだろう。
可愛そうに……
俺たち三人はお互いに、同じこと思ったのがわかり、もう他界したであろう王様に合掌した。
「それで良さそうな防具はあったのか?」
今俺たちはは鉄製品が置いてあるエリアにいる。
「とりあえず、これとこれにしようかと思ってる」
ヒカルが出してきたのは、よくある普通の鉄鎧の上下セットだった。
「普通っぽいがいいのか? それにおまえには金属製は重いんじゃないか?」
体形が小柄で、見た目通り非力なヒカルが金属の鎧は着たら重すぎて動けなくなると思うんだが……
「普通の鎧だったら、たぶん動けなくなると思うけど、この鎧には重さ軽減のスキルが付いてるから大丈夫なはずだよ」
そんなスキルもあるのか、確かに軽くなるのならヒカルでも着て動けるだろう。
「そのスキルでどれくらい軽くんだ?」
「スキルの説明欄を見る感じ三分の一くらいになるみたい」
俺とタクもその鎧を受け取り、ステータスを確認する。
アイアンアーマー
防御力 +300
速さ -50
スキル
重さ軽減 Lv.7【重さを約六十%軽減する】 防刃 Lv.5
疑っていた訳ではないが、本当に三分の一くらいになるみたいだ。
ただスキルは装備しないと、発動しないらしく、両手で持たないと落としそうになった。
持った感じ上下で十五キロくらいはありそうだから、装備時は五キロくらいになる訳だ。
速さにマイナスが付いてるし、俺にしたらまだ思い。
ヒカルのステータスは平均的だったので、速さが多少落ちたところで気にならないんだろう。
防御力の上昇値は魅力的だから、前衛で戦うならアリだな。
ヒカルの装備が決まったタイミングで、エリザを伴って剣持と双槻がこちらにやってきた。
「そっちも終わったのか?」
「うん。 エリザがいろいろ教えてくれたから、スムーズに決めることができたよー」
俺の声に双槻が返してくる。
「こっちもエリザに事前に説明されたから、いろいろ助かったよ」
俺たちみんなでエリザを褒めると、褒められて慣れているエリザが照れて真っ赤になっていた。
「恥ずかしいのでこれ以上褒めないでください」
友達に褒められるのと、その辺の貴族の坊ちゃんに褒められるのとでは感じ方が全然違うみたいだった。
エリザをイジって遊んでいると、全員が装備を選び終わったようで、リカルドから集合の合図がかかった。
「全員が選び終わったようなので、今日はこれで解散にしようと思う。 明日は朝からダンジョンに行くので、早めに休んで英気を養っておいてください」
その声で解散となり、みんなが部屋から出て散らばっていく。
俺たちもそれに続き部屋からでる。
そのまま一度部屋に戻ってから、大部屋に集まって三人で駄弁っていると、終わったのを聞きつけたイリスが部屋に突撃してきた。
明日から二泊三日でダンジョンに行くので、今日を逃すと四日後にしか遊べない。
イリスが来たので、剣持と双槻、エリザを誘ってトランプをする。
ババ抜きや大富豪で何度か遊んだ後、夕食を摂りタクとヒカル以外と別れ風呂へと行く。
風呂から出て各自自分の部屋へと戻る。
寝る前に装備類にも、ステータスがあることを聞いてから気になっていた、ユーリさんにもらったナイフのステータスを確認する。
ミスリルナイフ
攻撃力 +500
スキル
貫通力アップ Lv.- 切れ味アップ Lv.‐ 切断 Lv.7
自動収拾 Lv.-【念じることで装備者の手元に戻ってくる】
なんか凄いナイフだった……
ミスリルってファンタジー金属だよな。
こんなのもらってよかったのかな……
自動収拾スキルは俺の影魔法と相性最高だよな。
ユーリさんはそこまで考えて、このナイフをくれたのかな?
もしそうだったのなら、今度から改めて師匠と呼ばせてもらおう。
そう心に決めでナイフを武器収納にしまい、ベットにはいる。
明日は初ダンジョンだから早めに寝ようと思い、俺は目を閉じた。




