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第七話:絶対に解けない神聖パズル結界を張った結果、枠ごと粉砕されて詰む件

【ヤクート天空神殿・第一観測領域】

「ふ、ふふん……前回は私の不覚! 物理的な重力場なんて単純な力任せのゴリ押しで突破されたけれど……今回は違うわ!」


神聖なる天空神殿の中央。

最上位女神ヘレナは、涙目をすっかり拭い去り、勝ち誇った笑みを浮かべて全天モニターを指さした。


身に纏うのは、高級神威ブランド『VALKANORヴァルカノース』の新作・防衛戦仕様ドレス。ドヤ顔を浮かべながら、彼女は側近たちに解説を始める。


「見てみなさい、クララ、エルサ! これぞ我が神聖なる智慧の結晶、神聖知恵の輪結界『ヤレンデズ・キューブ』よ! 解くためには複雑な古代神聖幾何学の計算が必要で、解法を誤れば永久に空間を彷徨うことになる……知性なき脳筋サピエンスには、絶対に解けないわ!」


「お見事です、ヘレナ様! 物理破壊が効かない知恵の試練……! これぞ神の深謀遠慮、サピエンスどもに己の無知を思い知らせてやりましょう!」


クララが感極まった様子で拍手を送る。

しかし、端末を静かに操作していたエルサは、無感情な声で警告を発した。


「……ヘレナ様。下界の『反抗期パーティ』が結界前に到着しました。剣士アユミ、結界を観察しています」


「ふふん、さあ絶望しなさい! 自分の頭脳の限界を――」


【地上界・ヤレンデズ・キューブ前】

画面に映し出されたのは、幾何学模様の光が複雑に交差する、巨大な立方体の神聖結界。


その前に立った剣士アユミは、腕を組んでじっと結界を見つめていた。


「なるほど……この光のラインを規則通りに繋ぎ合わせて、空間の接続構造を正しく解き明かせってことね」


「アユミ、解けそうか? 俺にはサッパリだ……」

勇者レイが眉をひそめて尋ねると、アユミは不敵な笑みを浮かべた。


「ふっ、甘いわねレイ。女神様の真の意図(裏メッセージ)を読み解けていないわ」


「えっ……裏メッセージ?」


「ええ。こんなに複雑なパズルを用意したということは……『パズルの枠組み(構造体)そのものが、一番脆いからそこを狙え』という女神様からのヒントよ!」


「なんでそうなるのよぉおおおおおおおっ!?」


天空神殿の全天モニター前で、ヘレナの悲鳴が響き渡った。


【地上界・瞬間決着】

「ユナ、瞬間フルバフ! この結界の『外枠』の空間密度に集中させて!」


「了解アユミ! システムハック級デバフ&筋力極大付与――『神殺しの物理補正』!」


治癒天使ユナの手から放たれた常識外れのバフが、アユミの大剣に集約される。

アユミはパズルの解法など一秒も考えず、結界の概念を支える「境界線の空間そのもの」に向かって、思いきり大剣を振り抜いた。


――ズゴォオオオオオオオンッ!!!!


古代神聖幾何学の計算など、一切関係なかった。

パズルの「枠組み」が物理的に粉砕され、結界全体がガラス細工のようにド派手に砕け散る。


「よし、最短ルート開通! 女神様、待っててねー!」

爽やかな笑顔で砕けた空間を走り抜けていくアユミたち。


【ヤクート天空神殿・完全崩壊】

「あ……あ……」


ヘレナは膝から崩れ落ち、涙目で固まっていた。

ドヤ顔の面影は微塵もない。


「報告です」

エルサが無感情に言葉を重ねる。

「結界の枠組み粉砕により、神聖パズルは解かれることなく消滅。アユミたちの突破タイムは、過去最速を更新しました。なお、この『枠ごと粉砕動画』が下界および他の神殿で大バズりし、観測PVはさらに1200%上昇しました」


「ヘ、ヘレナ様ぁぁぁ! お気を確かに! ソルティ・カザフをお口へ……!」

パニックになるクララ。


「もう嫌ぁぁぁぁああっ! なんでパズルを解かずに枠を壊すのよぉーっ! 物理演算仕事しなさすぎでしょーーーっ!え〜ん!!」


ヘレナの可憐で情けない泣き叫びが、今日も神聖なる天空神殿に響き渡るのであった。

(第八話に続く)

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