第4話 魔法の特訓
魔法の基礎を学び数日が経ち、アースバレットの魔法を毎日使い続けているおかげか徐々に1日で発動できる魔法の回数が多くなっていた。今は、アースバレットを1日5回は出せるようになっている。
だが、一つ大きな問題を見落としていた。それは、アースバレットを使った後に残っている土の塊の処分方法だ。今は、部屋の奥隅に隠しているが、バレるのも時間の問題だろう。
塊を砕き、庭に捨てようとも思ったが魔法で生成された土の塊はそこそこ強度があり、砕くのは難しかった。かといって、塊のまま捨てるのは不自然すぎるし。
魔法の特訓を一時中断し、対策を考える。
「あ、そうだ。土を水に入れて塊から泥水にした後に庭に撒けばいいんじゃないのか?」
早速、1階にバケツを取りに行きウォーターボールの魔法を使い、水を貯めていく。初めて魔法を使った時ぶりにウォーターボールを使ったが問題なく発動できた。
水を張ったバケツに土の塊をつけると、簡単に崩れるようになった。
部屋の中にある土の塊を全て溶かして庭に誰もいないことを確認して、泥水を流す。
「よし。これでひと安心だな。魔法使った後の処理問題も解決できたし、今日はもう休むか。」
ーー
魔法の特訓を初めて2週間が経ったころ。
「そろそろ、アースバレット以外の魔法も使ってみるか。まだ、水と土属性の魔法しか使ったことないからな。」
どの属性の魔法を使おうか初級魔法の詠唱が書かれた本のページを見ながら悩んでいた。
「よし、風属性を使おう。魔法名は『ウインド』そのままだな。」
魔法を使い始めて2週間が経っていたため、慣れた様子で詠唱を読み上げる。
「[吹き抜ける息吹よ、我が手に集まれ]」
詠唱を唱えると手のひらに小さな気流が発生する。
「よし、成功だ。風属性も問題なく使えそうだ。でも、この風ってどうなるんだ。水や土と違って物質じゃないからな」
手のひらに集まる気流を眺めながら考える。
「それにしても継続時間が水と土に比べると長いな。あの二つを初めて発動した時には、すぐに制御できなくなっていたのに。魔法を使う感覚が身についたか風属性に適性があるかのどっちかだな。」
考察している間に、手のひらから気流が霧散する。
「これなら土より風属性で特訓した方が後処理しなくていいから楽だな。次からはウインドで特訓するか。」
新たな特訓方法を考えてながら部屋に溜まっていた土の塊を水に溶かしていると、母エレノアが部屋に入ってきた。
ーー
やばいやばいやばい、流石にバレたか?
緊張で心臓の鼓動が速くなる。
でも、よくよく考えたら2週間も泥水に変えて捨てるって方法で魔法使ってたのがバレなかったことが奇跡だろ。
「アッシュちゃん何してるの?泥遊び?」
エレノアは微笑みながらアッシュに尋ねる。
そして、無造作に開かれた本を見つける。
「あら、お勉強してたの?偉いね。」
アッシュの頭を撫でながら本の内容を見ると驚く。
「これって魔法の本?アッシュちゃん、まさか魔法使ったの?」
正直に頷く。
「そこに書いてある文字読んだら魔法が使えたんだ。だから、お母さんたちを驚かそうと思ってこっそり練習してたんだ。」
純粋なフリをして元気に答える。
「ちょっと待っててね。アッシュちゃん、パパとシャロン呼んでくるから。」
そう言うとエレノアは、ギルバードとシャロンを連れて戻ってきた。
「アッシュちゃん、魔法使ってみて。」
この反応はどっちだ?3歳で魔法を使えるのを気味が悪いと思ってるのか?それとも、子どもの成長を嬉しく思っているのか?そう思いながら『ウインド』の詠唱を始める。
「[吹き抜ける息吹よ、我が手に集まれ]」
魔法は問題なく発動し、手のひらで気流が発生する。
この様子を見ていた3人は驚いた顔をする。そしてエレノアが抱きついてくる。
「アッシュちゃんは天才ね。信じられない...3歳で魔法が使えるなんて。」
ギルバードは乱暴に頭を撫でる。
「すごいなアッシュ。さすが俺たちの子だ。」
シャロンはそばに控えながら、
「流石でございます、アッシュ様です。」と褒めてくれる。
俺は3人の反応を見て安心する。しかし、エレノアからは魔力を使いすぎないようにと注意される。
ーー
それから、一年が経ち4歳になる頃には1日に初級魔法を30回使っても、体に異変が起こることはなかった。
また、基本属性の初級魔法は全属性習得することができた。
無詠唱についても、試みてはいるが、少し魔力が手のひらに集まり発動できそうな雰囲気はあるが、まだ成功したことはない。




