第20話 チーム決め
中級魔法を初めて使ってしばらく時が経ち、前期のクラス対抗戦まで残り30日となった。いよいよ、種目の説明がある。
種目は1つだけ。
5体5のチーム戦だ。
各クラスが20人ずつなので4チーム作るらしい。
「クラス対抗戦と名前がついているが、評価される部分は、勝敗よりも各々の試合の中身だ。そのことを頭に入れておけ。それじゃあノエラ、アッシュフォード、ミアのクラスリーダー・サブリーダーが中心となってチームを決めていってくれ。」
そう言うとエリス先生は入り口近くの椅子に座る。
俺とノエラ、ミアが教壇に立つ。
ノエラがリーダーのため、進行を行う。
その前に、どうやって決めていくか3人で小声で話す。
「ねぇ、アッシュどうやって決めていったらいいと思う?」
「うーん、そうだな。...取り敢えずチームのリーダーを決めたらいいんじゃないかな?」
「うん、分かった。」
クラスの前に向き直す。
「まずは、それぞれのチームのリーダーを決めていきます。チームリーダーになりたい人はいますか?」
誰も手をあげない中、一人の生徒が発言する。
「実力が上の人がリーダーになったほうがいいんじゃないかな?」
(まあ、一理あるな。立候補がいないならその決め方でもいいか)
「エリス先生、このクラスの上位4人って誰ですか?」
エリス先生に聞く。
「ノエラ、アッシュフォード、サラ、ジルだ。」
「えっと...じゃあこの4人がチームリーダでいいですか?」
ノエラが確認を行うと反対する生徒は誰も出なかった。
「次にチームの決め方について何か意見ある人はいますか?」
ノエラが聞くと何人かの生徒が答える。
「実力が均等になるようにすればいいんじゃない?」
「組みたい人と組むのは?」
「リーダー達で決めていったら?」
複数の意見が出てきてノエラはどうしたらいいか困惑しているため、もう一度3人で小声で話す。
「どうしたらいいかなアッシュ?」
「まあ、実力が均等になるように分けるのが一番丸いな。」
「ねぇ、剣と魔法どっちが得意なのかもちゃんと分けた方が良くない?」
「確かにな。」
「じゃあ、剣と魔法どっちが得意か聞いて、そのあと実力が均等になるように分けるでいいかな?」
「いいと思うよ。」 「私も賛成。」
3人での話し合いがまとまりクラスの方へと向き直る。
「剣と魔法どっちが得意なのかを聞いて実力が同じになるように分けていこうと思います。」
ーー
無事チーム分けが終わった。
午後からはチーム毎に練習することになった。
俺は、ロイド、エマ、カリン、ハルの4人と組むことになった。ロイドが剣術が得意でエマとカリンとハルが魔法が得意だ。
ノエラはミアと同じチームになり、ルークはサラのチームに入った。
「まず、みんながなにをできるか把握するところから始めようか。俺は剣術と魔法どっちも使える。」
「俺は、闘神流の本当に基礎の闘気を纏って剣を振るうことならできる。魔法は、『ウォーターボール』なら使えるぜ。」と大柄なロイドが腕を組み話す。
「私は、風魔法を使えます。」とエマが丁寧に答える。
「僕は、火属性を使えるよ。」とハルが言う。
「アタシは土属性だよー。」とカリンが明るく手を挙げて言う。
「じゃあ、どういうふうな作戦で戦いたいとかある?」
「うーん、普通は剣使えるやつが近接で戦って魔法で援護って感じになるのか?」
俺の質問にまず、ロイドが首を捻って答えた。
「俺もわかんねぇ、チーム戦なんてしたことないからな。でもその作戦が一番実行できそうだよな。他の人は何か意見あるか?」
ロイドの質問へ返答する。
「詳しい作戦はお互いの実力を知ってからが立てやすいんじゃない?ほら、他の人が何の魔法覚えてるかもわかんないわけだしさ。」
「お互いの覚えてる魔法を共有し合うか」
カリンの提案を受け入れ、覚えている魔法を共有し合う。
ロイドは最初の自己紹介の通り、『ウォーターボール』だけ。
エマは、『ウインド』と『ウインドベール』
ハルは、『ファイアーボール』『ファイアーアロー』
カリンは『アースバレット』『アースシールド』『マッドホール』
を覚えている。詠唱をまだ完全には覚えきれてないけど他にも練習してる魔法があるそうだ。
「明日から他のチームに模擬戦挑んでそこから作戦を考えていくのはどうだ。」
俺の提案に他の4人も同意する。
「でも、まず明日の作戦をどうするのかってのを考えないといけないよね?」
ハルが尋ねてくる。
「とりあえず明日は俺とロイドで前衛をして他3人が魔法でカバーって形でいいんじゃないか?」
「それもそうだね。」
ハルが頷くと他の3人からも特に反対意見は出てこない。
「俺は他のチームに模擬戦を提案してくるから各々練習しておいてくれ。」
模擬戦を提案するために、他のリーダの中で一番仲のいいノエラの元に行く。
「ノエラちょっと良いか?」
「なに、アッシュ?」
ノエラはチームメンバーの元から離れ、トコトコとこっちに向かってくる。
「明日俺のチームと模擬戦しないか?」
「たぶんチームメンバーも反対しないと思うから良いよ。」
「ありがとうな。ノエラのチームは作戦とかどうやって決めてるんだ?」
「うーん、ボクたちのチームは特になにも考えてないかな。まだ、お互いのできることを共有してる段階だから。アッシュのところは?」
「俺たちはある程度考えて、模擬戦をして改善していこうってことに決まったんだ。」
「それで模擬戦ね。ありがとう、みんなに伝えてくる!」
ノエラは納得したようにチームメンバーの元へ戻る。
ーー
翌日。
約束通り、ノエラのチームと模擬戦を行うことになった。ノエラのチームは、魔法が得意なのはノエラ、ミアも含め3人、剣術が得意なのは2人だ。
ノエラのチームも俺たちのチームと同様に剣術が使える2人を前に出し、魔法が得意な3人を後ろに下げていた。
俺たちのチームは、試合前の最後の作戦会議を話す。
「相手のチームで一番警戒するのはみんなもわかってると思うがノエラの魔法だ。多分、魔法の撃ち合いになったら勝てないと思う。それに中級魔法を撃つためには少し時間がかかるからエマ、カリン、ハルはノエラへの妨害に集中してくれ。ロイド、俺たち2人は出来るだけ3人へ相手を近づけさせないことと相手を落とすことが役割だ。...作戦はこれで良いか?」
「それで良いと思うんだけど、私たち3人で本当にノエラを止められるの?」
カリンが不安そうに疑問を投げかける。
「3人の役割は、ノエラに中級魔法を使わせないことだ。『激流』を打たれたら多分全滅するからな。俺も中級魔法を使えるからわかるが集中しないと発動が難しい。妨害をすればその集中も途切れるだろう。」
「わかった、やってみる。」
カリンが納得する。
「他の3人もこの作戦でいいか?」
俺の最終確認に全員同意する。
「よし...勝つぞ。」
みんなの気合いが入る。
ーー
作戦会議を終え、ノエラのチームと向かい合う。
開始の合図は、エリス先生が行う。
他の2チームは見学を行う。
「試合を開始したら特殊な結界が張られる。これは怪我をしないためのものだ。魔法や木剣が当たり審判が致命傷と判断すれば、場外まで飛ばされる。その際怪我をしないように防御魔法がかかるから安心して飛ばされろ。それに飛ばされた後はすぐに治癒魔法が発動するようのになっている。...心配せずに全力を出せ。」
エリス先生が両チームを交互に見る。
「準備はいいな。...始め!」




