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【現世】エピローグ1話 銀 帰還
街灯の下で
リーゼントの男が
煙草を指で弾く
パチン
火が灯る
わずかな橙が
冬の空気に刺さった
俺は
仁・シルバー
すずらんで
ヴィオと翔を助けた夜から
同じ夢を何度も見る
銀の剣
黄金の王子
蒼の巫女
翠のワイバーン
戦い
笑い
息を合わせる日々
ただ見えるだけじゃない
剣の重さ
血の匂い
呼吸のすべてが
肺へ沈んでいた
夢ではない
最初から
わかっていた
これは記憶だ
俺は――
銀の戦士
ジンだった
横で眠る女
この世界では
夕羅
だが知っている
ユジャだ
視線が先を読む理由も
言葉がなくても通じる理由も
最初から繋がっていた
―― 十二月
一花が
事務所へ来た
「あなた
夢を見てるわね」
「銀の剣で
黄金の王子と戦ってる」
逃げ場はなかった
そこでようやく
確信した
俺が夜にいる理由
読む速さ
先に動く癖
消えそうなものを拾う感覚
闇に堕ちた銀
そのまま
ここへ立っているだけだと
ゴゴゴ……
胸の奥で
低く鳴る
怖さはある
だが
目は逸らさない
―― クリスマス・イヴ
子猫小路6丁目
「居酒屋ロック」
ドアの前へ立つ
一瞬だけ触れた
あの星
ねじれた時間
逆流した光
ぶつかった色
靴裏へ残る石床
指先へ残る剣の重さ
……繋がった
息を吸う
スゥ……
冷たい空気が
奥まで落ちる
迷いはない
カラン……
ドアベルが鳴る




