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【前世】第2章4話 蒼 ひかり
少女は
その場にへたり込み
遅れて
泣き崩れた
張りつめていた恐怖が
一気にほどけたのだと
わかった
ヴィヴィは
しゃがみ込む
そっと手を差し出す
「……大丈夫か?」
少女は
涙で濡れた目を上げた
まだ震えている
「……ありがとう……」
「あなた……だれ……?」
ヴィヴィは
少しだけ戸惑って
それから笑った
「オレはヴィヴィ」
「ただの子どもだ」
一拍
「だからさ……
ヴィヴィでいい」
少女は
涙を拭った
小さく
小さく
微笑む
けれど
まだ
袖を掴む指は震えていた
「わたし……マリア」
その名が
静かに落ちた
マリアは
ヴィヴィの手を見た
黒い飛沫を受けた拳
ぎゅっと握られた
右腕
それでも
差し出された手だけは
あたたかかった
次の言葉は
もっと小さかった
「あなたの光……
あったかい……」
ヴィヴィの呼吸が
止まる
胸の奥で
黄金が
ドクン……
と鳴った
それは
戦いの時の鼓動とは違う
もっと深い
もっと静かな
知らない脈動
マリアの蒼が
揺れている
壊れそうなのに
まっすぐで
澄んでいて
見ているだけで
胸の奥が
ほどけそうになる
マリアの小さな手が
ヴィヴィの袖を掴む
震えながら
それでも
まっすぐに
「ヴィヴィ……
ここにいてもいい……?」
その瞬間
黄金が
ドクン……
もう一度
強く鳴った
答えなんて
考えるより先に
心が掴まれていた
――泣かせたくない




