【前世】第24章1話 暗銀 侵食
外部層――
星々の境界が
薄い靄となる
時間が
ねじれていた
上も下も
距離さえ
もう正しくない
黒煙の中心で
暗金の瞳が
人型となって揺れている
ダーク星の王――ゾフ
形は曖昧
だが
意志だけが濃い
ヴィヴィ
マリア
レイラ
三つの光が
転生の門へ吸い込まれていく
ゾフは
その光景を静かに見ていた
「時は来た……」
煙が揺れる
外部層が軋む
三つの光が消える
残滓が拡散する
喪失と終焉
だが
ゾフの瞳は
ただ静かだった
「始まる」
その一言だけで
外部層の温度が落ちた
エスターニャ・コモサス星
――戦場は
音を失っていた
灰が舞う
ヴィヴィのガントレットだけが残る
三つの光が
転生術へ吸われる
世界の呼吸が止まった
シューの拳が
ギリ……と鳴る
「ヴィヴィ……!」
ユジャの表情が
強張る
「……最悪の
悪趣味ね」
空気が
張り詰める
カイザーが
歯を食いしばる
「……何が起きてる」
誰も
全容を掴めない
だが
誰も動けない
もう
戻らない
その中で――
ジンだけが
呼吸を乱さなかった
銀の瞳が
ただ現実を見ている
「……あいつらの帰りを待つ」
低い声
揺れはない
「それまでは
我々で星を守る」
その瞬間――
ボウッ
黒煙が
ジンを包んだ
銀光が反転する
闇へ沈む
――暗銀
シューが
誰よりも早く
その異変へ動く
「ジン!下がれ!」
暗銀の煙が
シューの背後へ回る
ザシュッ
反応できない
暗銀の剣は
未来の動きを
先に切り取るみたいに
胸の中心を貫いた
盾が滑り落ちる
落ちるより早く
シューの翠光が
煙みたいに吸われていく
「…………ッ!」
生命が霧となって散った
翠が消える
場の前面が
一気に脆くなる
「ジン!!
やめな!!」
ユジャが叫ぶ




