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【前世】第2章2話 銀 書き換え

地下深く

術式室の中央に

古代の紋章が浮かんでいた


床に描かれた線が

呼吸するみたいに

淡く脈打つ


金と銀の光が

ゆっくり絡み合い


まだ来ていない未来の線を

空間へ引きずり出していく


そこに映るのは

大人のヴィヴィ


轢かれる瞬間

右腕が砕け

命が尽きる未来


像が揺れていた


ヴィヴィの喉が

ひくりと震える


映るのは

自分の死だった


それでも

目を逸らさなかった


ジンが告げる


「……見すぎないで」


「……でも

離さないで」


銀の指先が

術式を撫でる


「僕が線を組み直す」


「ヴィヴィは

未来を掴んで」


ヴィヴィは

小さな指を

光の流れへ差し込んだ


瞬間

熱が

骨まで走る


――熱い

焼ける


皮膚じゃない

もっと奥


骨と神経を

直接火で炙られるみたいだ


指先が

溶けるように歪む


(……クソ……

熱すぎる……)


顔が歪む

歯を食いしばる


それでも

離さない


視界が

波打つ


呼吸が浅くなる

涙がにじむ


それでも――


(……ここで掴めば)


(オレは……

死なない)


黄金が

銀と絡む


未来線が

ミシ……

と軋んだ


運命が

抵抗している


それでも

ジンの銀が

静かに線を捻じ曲げる


ヴィヴィの黄金が

未来へ食い込んだ


その時だった


「きゃあああああッ!!」


城の上層から

蒼い悲鳴が

落ちてきた


ヴィヴィの胸で

黄金が

跳ねた


――放っておけば

死ぬ


ジンの声が

鋭く走る


「ヴィヴィ

離れれば

線が崩壊する」


ピチ……


一瞬

未来と現在が

ぶつかった


金と銀の流れが

細く軋む


だが

ヴィヴィは

駆け出していた


「知るか!」


「見捨てられるかよ!!」


指を引き抜く


未完成の術式が

逆流する


金と銀の光が

一瞬だけ

反転した


パキ……ッ


息が止まるような音


未来線の端が

右腕の位置で

折れた


運命の流れが

わずかに逸れる


死は

薄くなる


だが

完全には

消えない


細い線が

歪んだまま残った


ジンは

消えかけた紋章を見つめた


細い線がひとつ

どこかへ

繋がっている


(……死は消えた)


(だけど

右腕は――)


喉が

小さく動く


だが

何も言わなかった

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