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【現世】第19章1話 赤 信頼
アメリカ中西部
白いグラウンドへ
乾いた風が吹いていた
放課後の廊下
オーガ・クリムゾン(16)
バニー・キャロット(16)
同級生
隣の席
オーガが立ち止まる
少しだけ間を置いて
真っ直ぐ言った
「今日の練習を見に来てくれないか」
礼は崩さない
だが
目だけは逸らさない
遠回しにする気がなかった
「バニーの目は嘘をつかない」
短く息を吸う
「……俺は
それを信じる」
バニーは
小さく笑って頷いた
断る理由なんて
最初から無かったみたいに
「行くわ」
一拍
「あなたが
どれだけ戦ってるか
ちゃんと見てあげる」
その言葉だけで
オーガの背筋が
少しだけ伸びた
《練習場》
バニーは
スコアブックの真似事をしていた
走者が動けば眉が寄る
投手が乱れれば
唇を結ぶ
見られている
その感覚が
オーガの背中を正す
――パン
乾いて
少し軽い音だった
まだ
どこか外へ向いている音
捕ることはできる
止めることもできる
だが――
まだ
場の中心までは届いていない
オーガは
その音を聞きながら
自分の中に足りないものを
まだ言葉にできずにいた




