【前世】第12章2話 暗銀 真実
広場の空気が
一段
深く沈む
ヴィヴィが一歩前に出る
「ジンは一人だ」
黄金の声が
まっすぐ飛ぶ
「お前に
その名を語る資格はない」
ジャンは答えない
ただ
周囲をゆっくり見回した
ヴィヴィを見る
「黄金」
マリアを見る
「蒼」
シューを見る
「翠」
……
長い沈黙
最後に
ジンを見る
「銀」
空気が
張り詰める
ジャンが
静かに続ける
「この世界には
女神イヴが星へ落とした
七つの光がある」
「黄金・蒼・翠・銀」
一拍
「……そして
残る三つ」
「お前たちは
女神イヴに選ばれた
七つの光の欠片だ」
沈黙
言葉は短い
だが
短いからこそ
胸へ刺さる
ヴィヴィを見据える
「……ようやく
揃ったか」
マリアの蒼が
静かに震えた
ヴィヴィの隣へ立つ
「……それでも
ヴィヴィの隣に立ちます」
ジャンは
わずかに肩をすくめた
それから
ジンへ
視線を置く
「未達」
沈黙
「構わん」
まるで
決定事項を告げるだけの声
怒りも
焦りも
喜びもない
ただ
結果だけが
そこに置かれる
剣が
空気を切る音もなく抜かれる
「選ばれた光が
どれほど弱いか」
一拍
「確認する」
――ヴィヴィが踏み込んだ
一歩
地を蹴る
黄金のガントレットが
低く唸る
――ドギャァンッ!!
拳は一直線
迷いのない
選択としての一撃
だが――
――ガァンッ!!
止まる
黄金が
初めて
正面から止められた
押している
力は通っている
それでも
動かない
「……何だと」
次の瞬間
――ズドォンッ!!
ヴィヴィの身体が
宙を舞う
叩きつけられる
石畳が砕け散る
空気が
遅れて追いつく
「ヴィヴィ!!」
マリアの声が
鋭く走る
蒼が展開する
途切れかけた鼓動が
強引に引き戻される
ジンが踏み込む
「――通す」
銀が閃く
シューも叩き込む
翠の圧が
横から噛む
だが――
触れた感触すらない
空を切ったんじゃない
最初から
そこにいなかった
「……ッ!?」
視界が揺れる
次の瞬間
衝撃
銀が逸れる
ジンの踏み込みが潰される
シューの腕が沈む
「……嘘だろ」
力の差ではない
段階が違う
理解が
一歩遅れる
その時――
広場の隅で
戦況を測っていた気配が動いた
「紫も来たか」
ほんの少しだけ
口角が上がる
広場の縁に立つ
紫の魔女
その袖を
踊り子が
ぎゅっと掴んでいた
「力だけでは美しくないわ」
淡々とした声
紫の魔女は
場を眺めたまま
「勝利は
知性で仕上げるものよ」
杖が
静かに掲げられる
紫の光だけが
世界を書き換える
次の瞬間――
――ドクンッ
足裏が
地面を掴み直す
視界のブレが
消える
紫の光が弾け
三人を包み込む
空気の抵抗が
ふっと消えた
「3分」
魔女の声は短い
「それ以上は
私の魔力がもたない」
ヴィヴィが即答する
「十分だ」




