【前世】第10章1話 濃桃 出会い
気づけば……世界の方から
寄ってきていた
ヴィヴィは――
18歳になっていた
容姿
強さ
カリスマ
しかも黄金の王族
目を逸らせる理由がない
放っておかれるはずがなかった
それが
18歳のヴィヴィへ
勝手に集まり始めた
熱だった
女性たちの囁きも
止まらない
胸の奥で
黄金が
ドクン……と鳴る
――悪くない
新王子の任命式は三十日後
アサド王とラブア王妃の
後継者としての責務
――俺がやるしかない
自信か
過信か
そのどちらだとしても
新王子ヴィヴィを
ふたりの女性が心配していた
――エスターニャ・コモサス星の
踊り子集団
舞姫団
ヴィヴィとシューは
新王子任命式の催しの打診のため
北の大地まで足を伸ばしていた
稽古場は
――色が舞う
布が揺れるたび
空気まで華やぐ
美と熱が
空間そのものを染める
更に踊り子たちは
ヴィヴィを見て頬を染める
ヴィヴィの視線は
ひとつの場所で止まった
(……違う)
そこだけ
空気の流れが変わる
舞姫団のエース
リンダ
美しい
ただ綺麗なだけじゃない
視線を奪うのに
押し付ける気配がない
――面白い
白い肌
長い髪が
灯りを流す
細い指先が動くたび
視線が吸い寄せられる
彼女がただそこに立つだけで
場の空気が変わる
気づけば
誰の視線も
彼女から外れていなかった
団長が進み出る
深く頭を下げた
「ようこそお越しくださいました
王子殿下」
ヴィヴィは
リンダを見ながら
要点だけ告げる
空気が
わずかに揺れた
団長の声が
静かに落ちる
「承りました」
「主舞は――リンダで」
リンダは返事をしない
ただ
ヴィヴィを見た
長い睫毛の奥で
桃色の視線が揺れる
扇が舞う
ヒュ……ッ
細い指先が
空気を撫でるたび
熱が流れる
そのまま
何事もないように
稽古を続けていく
だが
視線だけは
何度もヴィヴィへ触れていた
ヴィヴィの胸奥で
黄金が
トクン……と鳴りかける
知らない桃色が
特別に思えた
だが
黄金はまだ黙ったまま
呼ばれていない
――まだ




