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【現世】第5章1話 黄金と翠 交差

「ヴィヴィ……!!

マリア……!!

ジンッッッ!!」


救急車のサイレンが

夜の空気を切り裂いた


天空病院の救急入口へ

車体が滑り込む


ストレッチャーが

白い廊下へ押し込まれた


翔が

叫びながら運ばれてくる


「押さえて!」

「鎮痛剤 すぐ!」


白衣の腕が重なる


ギ……ッ


ストレッチャーの柵が

軋む


それでも

叫びは止まらない


「ヴィヴィ……!!

お前を守るって決めたんだよ!!」


息が詰まる


「俺は……

盾なんだ……!!」


その声は

ただのうわ言じゃなかった


廊下の角で

ヴィオは足を止めた


(……またこの名前)


知らないはずなのに

胸の奥が

先に反応する


ドクンッ……


息が

浅くなる


(またか……?)

(何なんだよ……これ)


胸の奥で

黄金が

チリ……と疼く


理屈は追いつかない


だが

違和感だけが

爪痕みたいに残る


ピシィ……


空気が

一瞬だけ

薄く鳴った


翔の瞳が

虚空を掴む


何かを見ている


ここにはない

どこかを


次の瞬間


スゥ……


全身から

力が抜けた


薬が回る


呼吸が

一定になる


眠りに落ちた顔は

不自然なほど静かだった


怒りも

恐怖も

痛みも


全部

引いている


だが

その胸の奥で

何かだけが

まだ


ドク……ン……


脈を打っていた

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