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『どいつもこいつも一生懸命(※ただし、だいたい空回り)』  作者: ののん


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第8話:地方公務員の「ゆるキャラ・パニック」

市役所の観光課に勤務する実充(みつる・28)は、市の公式ゆるキャラ「ごぼう君」の着ぐるみの中にいた。

今日は地元の商店街でお祭りがあり、ごぼう君として子供たちと触れ合うのが彼の任務だ。

夏場の着ぐるみの中は、文字通りのサウナ。視界は口の隙間にある小さなメッシュからしか見えない。

「みんなー! ごぼう君だよー!」

実充は声を出すことは禁止されているため、身振り手振りで愛嬌を振りまく。子供たちが「ごぼう君、可愛いー!」と集まってくる。ここまでは平和だった。

しかし、事件は近隣の市からゲストとして呼ばれた、人気犬系ゆるキャラ「わんまる」が登場した瞬間に起きた。

子供たちの9割が、一瞬でごぼう君を捨てて「わんまる」の方へダッシュしたのだ。

(おいおい、ごぼうを舐めるなよ……! こっちは食物繊維が豊富なんだぞ!)

謎の対抗心を燃やした実充(ごぼう君)は、わんまるに負けじと激しいステップを踏み始めた。ごぼうの細長い体が、キレッキレのダンスを踊る。

それを見た子供たちが「うわ、ごぼうがバグった!」「なんか怖い!」と泣き出してしまった。

焦った実充は、宥めようと両手を広げて近づいたが、視界の狭さゆえに、目の前にあった焼き鳥屋の屋台の看板に激突。

「ごぼう君」の頭部が衝撃でコロンと外れ、中から汗だくでメガネが曇った実充の素顔が露出した。

静まり返る商店街。子供が指をさして言った。

「ママ……ごぼうの中に、おじさんが囚われてる……」

実充は静かに、ごぼうの頭を被り直した。

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