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スイッチ 〜前人未到の夢の道導〜  作者: はまちゃん


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18/26

名門安条高校!

秋の大会が終わってから、しばらくは静かな日々が続いた。


勝ったはずなのに、どこか心が落ち着かない。


理由は一つだった。


「左だ」


嶋口はオフ期間、ほとんど左投げの強化に時間を使った。


壁当て。シャドー。フォームの分解。


中尾も付き合った。


中尾「お前、右より左の方が考えて投げてるよな」


嶋口「まだ“武器”って呼べねぇからな」


中尾「でも形にはなってきてる」


そんな矢先だった。


5月。


練習試合の後。


中尾「……勝、足どうした?」


嶋口はベンチに座ったまま、右足を押さえていた。


嶋口「いや……ちょっと捻っただけだろ」


だが次の日、痛みは引かなかった。


診断は軽くなかった。


しばらくの離脱。


その一言で、中学最後の夏は静かに閉じていった。


グラウンドに立てないまま、時間だけが過ぎる。


中尾「お前がいない夏、つまんねぇな」


嶋口「勝てばいいだろ」


中尾「当たり前だ」


短く笑って、それ以上は言わなかった。


そして——卒業の春。


荷物をまとめた嶋口は、制服姿で校門を出た。


目の前に広がるのは、新しい世界。


白と黒の大きな校舎。


ネットの向こうに立つ“名門”。



「ここが……名門安条高校か」


嶋口は小さくつぶやいた。


横には、中尾銀。


中尾「勝、目標は一つだろ」


嶋口「ああ」


中尾「全国制覇だな」


嶋口は校舎を見上げる。


中学とは違う“圧”がそこにあった。


嶋口「当たり前だろ」


グローブを握り直す。


右でも左でもない。


“ここからの自分”として。


嶋口「行くぞ、銀」


中尾「おう」


二人は並んで、門をくぐった。


甲子園への本当の戦いは、ここから始まる。

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