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スイッチ 〜前人未到の夢の道導〜  作者: はまちゃん


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17/26

勝利

試合は中盤から終盤へと進むにつれ、緊張だけが濃くなっていった。


五回、六回。


星谷は立ち直り始め、鷹浜の追加点を許さない。


そして——


六回裏。


いはき中の攻撃。


先頭打者が粘った末に振り抜く。


カキン!!


打球は左中間へ抜ける。


二塁打。


スタンドがどよめく。


観客「ここで来たか……!」


中尾はマスク越しに嶋口を見る。


中尾(ここ、踏ん張りどころだ)


次の打者。


初球。


カキン!!


ライト前へ鋭い打球。


二塁ランナーが一気にホームへ突入する。


嶋口が返球を受けるが——


間に合わない。


審判「セーフ!」


スコアは3-1。


1点差。


球場の空気が一気に張り詰める。


中尾がすぐにマウンドへ走る。


中尾「大丈夫だ、1点だ」


嶋口「……分かってる」


中尾「まだ終わってねぇ」


嶋口は小さく頷く。


嶋口(ここで折れたら終わりだ)


だが次の打者。


嶋口は右へ切り替えた。


シュッ!!


ズバン!!


空振り。


シュッ!!


ゴロ。


セカンド田中がさばく。


アウト。


さらに次も打ち取る。


結果——


1失点で切り抜けた。


ベンチに戻る嶋口に、中尾が拳を軽く当てる。


中尾「よく耐えたな」


嶋口「まだ終わってない」


中尾「分かってる」


七回裏。


最後の守備。


スコアは3-1。


二点リード。


スタンドは総立ちになっていた。


観客「あと3つだ!」

観客「いけるぞ!」


マウンドに上がる嶋口。


右手にボール。


左手にグローブ。


中尾がミットを構える。


中尾「終わらせるぞ」


嶋口は静かに頷いた。


嶋口「全部でな」


秋の決勝戦。


ついに最終局面へと入っていく。


七回裏。


最終回。


スタンドはほぼ総立ちになっていた。


スコアは3-1。


鷹浜中、二点リード。


マウンドには嶋口勝。


右手にボール。


左手にはグローブ。


中尾がミットを構える。


中尾「あと三つだ」


嶋口「分かってる」


球審「プレイ!」


いはき中・先頭打者。


フルスイングで初球を狙ってくる。


嶋口(来る)


振りかぶる。


右。


シュッ!!


ズバン!!


審判「ストライク!」


140km/h。


スタンドがざわつく。


観客「まだ右か!」


二球目。


外角低め。


シュッ!!


カキン!!


詰まった打球。


セカンド田中が前に出る。


パシッ。


送球。


アウト。


ワンアウト。


中尾が軽くミットを叩く。


中尾「いいぞ」


嶋口は息を吐かない。


次の打者。


ここで——


中尾が一度、間を作る。


中尾「……左、いくか?」


嶋口は小さく笑う。


嶋口「ここでかよ」


中尾「流れ切りたい」


嶋口は一瞬だけ空を見た。


嶋口「なら、いく」


グローブを持ち替える。


左。


スタンドがどよめく。


観客「ここで左!?」

観客「最後に切り替えるのか!」


いはきベンチも動揺する。


相手監督「……対応できるか?」


打者が構える。


嶋口(終わらせる)


振りかぶる。


踏み込む。


シュッ!!


ドンッ!!


審判「ストライク!」


打者がタイミングを完全に外す。


二球目。


外角低め。


シュッ!!


カスッ。


ボテボテのゴロ。


サード沢田が前へ。


拾う。


一塁送球。


アウト。


ツーアウト。


スタンドが爆発する。


八川「あと一人!!」


中尾が叫ぶ。


中尾「勝!!ラストだ!!」


いはき中・最後の打者。


打席へ。


バットを握る手に力が入っている。


観客席が静まり返る。


球場全体が、息を止めたようだった。


中尾がミットをど真ん中に構える。


中尾「全部出せ」


嶋口は頷く。


嶋口「……ああ」


右に戻す。


スタンドがざわつく。


嶋口(ここで終わる)


振りかぶる。


全身。


全力。


シュッ——!!


打者、振る。


空振り。


風が抜ける音だけが残る。


審判の右手が上がる。


審判「ストライク! バッターアウト!!」


試合終了。


鷹浜中、優勝。


中尾「勝ったぁぁぁ!!」


ベンチが一斉に飛び出す。


嶋口はマウンドの上で立ったまま、ゆっくり空を見上げた。


右も。


左も。


全部使って勝った。


中尾が駆け寄る。


中尾「おい、エース」


嶋口「なんだ」


中尾「全国、行くぞ」


嶋口は少しだけ笑った。


嶋口「当たり前だろ」


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