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隣のOLが、俺の部屋で宅飲みしている  作者: 白い彗星
第五章 文化祭と、告白の答え

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第41話 ね、シャワー貸して



 ――――――



「はぁー、なんかどっと疲れました」


「お疲れ様ー」


 文化祭の一日目が終了し、帰宅。

 後ろからは当然のように、詩乃さんが部屋に入ってくる。


 一緒に帰ってきた理由はといえば、詩乃さんからお誘いがあったからだ。

 まさか、一緒に学校から帰宅する時が来るなんて……思いもしなかったな。


 今日は実に充実した一日だった。

 その一方で……



『あの、白鳥。明日、一緒に文化祭を回らない?』



 帰る直前に、築野さんが話しかけてきたのだ。

 その顔は、恥ずかしさを見せながらも真剣なものでもあった。


 築野さんがそれを望むなら……応えてあげるのが、俺のできることだ。


「はぁー、楽しかったなー。いろんな物があって、みんなも楽しそうでさ」


「ですね。お化け屋敷も楽しかったですし」


「……その話はしないでよ」


 その話題を出した途端、詩乃さんは拗ねたように頬を膨らませてしまった。

 珍しい姿だ。せっかくだから、定期的にいじっていこう。


「じゃ、お風呂入ってこよっかなー。ね、シャワー貸して」


「……自分の部屋で浴びてきてくださいっ」


「あははっ、顔真っ赤ー」


 俺の反応を見て、詩乃さんは笑う。からかわれた……!

 お化け屋敷のことを、根に持っているのか?


 その後詩乃さんを見送り、俺も荷物を片付けてからシャワーを浴びようと考える。


 ……それから数分後。玄関の扉が開く。


「? どうしました?」


 誰か見ずとも、詩乃さんが戻ってきたと予想はつく。だが、それにしては早い。

 女性のお風呂は長いと聞く。姉ちゃんもそうだったし。シャワーだけでも、もう少しかかるだろう。


 なのに、もう戻ってきたのか?

 いや、そもそも着替えていない。


「ど、どうしよう甲斐くん。壊れちゃった」


「……へ?」


 よく見ると、その手にパジャマを抱きしめたまま……詩乃さんの口から、とんでもない言葉が出てきた。


 話を聞くにどうやら、シャワーが壊れてしまい……水もお湯も出なくなってしまった。

 そのため身体を流すこともできない。迷った結果、着替えを持って戻ってきたのだ。


「……」


 からかい目的ならともかく、事故でシャワーが使えない詩乃さんを放置しておくわけにいかない。

 最初は驚いたが、一緒に入るわけじゃないんだ。そう思い、貸すのを許可。先に入ってもらったのだが……



 シャアアア……



 思いのほか、壁が薄い。シャワーの音が、めちゃくちゃ聞こえてくる。知らなかった。

 一人だと話し相手もいないわけで、無音の空間だと余計に意識してしまう。


 まさか水が流れる音だけで、こんなにもドキドキするなんて。


「……ぁ、テレビテレビ」


 今更になって、こんな簡単なことに気づかなかったのかと自分のバカさ加減に呆れる。

 適当にお笑い番組でも流しておこう。声の大きい芸人や、お客さんのリアクションで気が紛れるはずだ。


 ……なぜだろう、音を流しているのに……いつもより音量大きくしてるのに……シャワーの音が聞こえる!


 扉の向こうでは、好きな人が裸になってシャワー浴びてる。その現実が、顔を熱くする。

 ある意味拷問かもしれない。


「し、心頭滅却心頭滅却……」


「お待たせ」


「うぉおおぁああ!?」


「!?」


 悶々していた最中、詩乃さんの声がした。変な声を上げてしまった。


 風呂場から出てきた詩乃さんは、寝間着に身を包んでいる。い、いつの間に……?

 風呂を終えたことに気づかないとか、俺はどんだけの時間変なことを考えてたのか。


「だ、大丈夫?」


「あ、はい。すみません」


 ……紺色のラフなパジャマ。お昼のきっちりした格好とは違う、ある意味無防備な格好。

 髪も乾かしているのだが、まだ少しだけ湿っている。風呂上がりの上気した頰が、なんとも色っぽい。


 パジャマ姿自体はまあ、見慣れたものでもあるんだけど……

 風呂上がり直後ってのは……破壊力やばいな。


「ごめんねー、シャワー借りちゃって」


「い、いえ、シャワーが壊れたのは詩乃さんのせいではないので……」


 ……詩乃さんの格好が魅力的すぎて、話半分も入ってこない。いかんぞ俺!


 その後詩乃さんは大家さんに連絡し、シャワーが壊れた旨を伝える。明日、業者の人が修理に来てくれるらしい。

 午後に立ち会いが必要なため、詩乃さんは部屋に待機だ。


 とはいえ、後夜祭の時間までには終わるから、告白計画に問題はない。

 それに、今日一緒に文化祭回っておいてよかった!


「ごめんね」


「いえ、気にしないでください。シャワーの方が優先ですから」


 明日は築野さんと回る約束をしている。

 詩乃さんが来てくれても、二人では一緒に回れないしな。


 もちろん、一人で回りたい場合や三人で回ることもできたかもしれないが。

 築野さんは、きっと俺と二人で回りたいはずだ。


「じゃあ、俺も浴びてきますね」


「はーい」


 俺も軽くシャワーを浴びてくるか。


 風呂場に入ると……いつもと同じ空間なのに、なんだか違って見える。さっきまで、ここで詩乃さんがシャワー浴びていたんだよな。

 いや、変な想像をするな。さっさと汚れと邪念を洗い流してしまおう。


「ふぅー」


 頭を冷やすために冷水をぶっかけようとも考えたが、さすがにやめた。


 シャワーを浴び終えた俺は、身体を拭いて、着替えて……部屋に戻る。

 すると、ソファーに座った詩乃さんが脚を組み、俺を見てどこか妖艶に笑っていた。



 ――――――



「ごくっ、ごく……っ、ぷっはぁー!」


 部屋の中に、上機嫌な音と声が響き渡る。

 その正体は、考えるまでもない。ビールを飲んでいる詩乃さんだ。


 当然のように、酒盛りが始まったわけだ。


「っはぁ、うんまーい! やっぱりおビールちゃんさいっこう!」


「……」


 この光景はいつものことだが、今日は一段と激しい気がする。

 文化祭というお祭りで、気分が上がったままなのだろうか。


 ただ、相変わらず俺の料理を「おいしいおいしい」と食べてくれる姿には心が躍る。

 それを見て、思うのだ。……あぁ、やっぱ好きだなぁ、と。



 ……そして、翌日。運命の二日目が訪れた。

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