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破滅した世界にて~銃とゾンビと邪神 ~  作者: ルルエル=テン
第二章
19/21

アベルとマサムネとマチル

 剣呑な雰囲気が漂う会議室。

 突き刺さるような視線をその身に受けながら、レイはゆっくりと口を開いた。


「まず勘違いして欲しくないんだけど。俺は1度も自分が不滅王だなんて語ったことはないよ」

「ならやっぱり嘘だということではないか」

「ほらマリー。やはり不滅王なんて実在しないんだ」


 レイの言葉を歪曲させて捉えたマサムネとアベルはほら見たことかと、不遜な態度になっていく。

 しかし、レイが次に放った言葉により、会議室は凍りつくことになる。


「後、俺はこんなレギオンに入りたいとは思ってない。むしろお願いされても嫌みかな」

「貴様! 『慈悲の心』ひいてはマリー殿を馬鹿にするか!」

「お前自分が何を言ってるのかわかってるのか?」

「いやいや。良く考えて見なよ。理由があったとしても、自分達のリーダーを危険の多いソーラに放り出して、自分達は平気で安全な場所に籠るようなレギオンだよ? 誰がそんな無責任なレギオンに入りたいと思うのかな? 無事で良かった。心配していた。口では何とでも言えるよね?」

「拙者らを愚弄するつもりか・・・」

「あれはマリーが決めたことだ。だから俺達は・・・」

「はい出た。マリーが決めたことだから。マリーが言ったから。確かに他人に決断を委ねるのは楽で良いよね。何かあれば全てマリーのせいに出来るんだから。依存するのは勝手だけどさ。その責任までマリーに押し付けるようなことはしないで欲しいかな」

「拙者らはそのようなつもりは・・・」

「俺達はマリーを思って・・・」

「ソーラに向かう前のマリーは体調に支障をきたしていた。付き合いのある君達ならそれに気付いていたはず。だったら何でマリーがソーラに向かうと決めた時、身体を張って止めるなり、ソーラまで付いてくなり出来なかったの? 少なくともマリーを大切に思ってるなら守ろうとするでしょ? まぁどうせ君達はマリーが言ったのだから俺達はマリーが戻ってくるマリアを守ろうなんて思ったんだろうけど。その行動こそが依存なんだよ。マリアを守る、確かに立派なお役目だ。けどそれは本当に君達の意思によるものだったのかな? マリーに言われて仕方なしにやってなかったのかな?」

「・・・・・・」

「それは・・・」


 レイの怒気を含んだ言葉に、黙りこむしか出来なくなるアベル達。他の「慈悲の心」の面々も顔を俯かせたまま動かない。

 唯一1人、アスタロスだけが「ほう」と呟き、面白い者を見つけたとばかりに、好奇の目をレイに向けていた。

 

「この際だからはっきり言わしてもらうけど、マリー、いやマリは俺にとっても大切な存在だ。そんなマリにとって今の君達は負担にしかならない。仲間を大切にしようという気持ちは良いことだと思う。けどだからといってそれ以外を蔑ろにするってのはやり過ぎだよ。ここはゲームではない。元いた世界とは違う世界なんだ。邪神を倒さないと帰れないのなら、それの為に他のレギオンとも協力体制をとれるようにするのは至極当然の事だと思うんだけど」

「しかし、マリーを狙った奴がいるんだ。安易に他のレギオンと手を組むのはマリーを危険に晒すことに繋がる」

「ははは! 幹部のアロスが裏切っているのによくそんなことが言えるね。君達の中にアロスと同じ裏切り者がいないと何で言えるの? マリを狙っている奴がいるなら尚更信用出来る仲間を増やした方が良いと思うんだけど。そうすれば敵の正体も推測しやすくなるし、マリの安全も確保出来る。俺からしたら君達にマリの安全を守れるとは思えない。君達に任せるぐらいなら俺とアリシアの2人で守った方が安全だ」


 レイははっきりとアベル達にお前らはお荷物でしかないと告げた。

 見ず知らずの者にこうまで言われて黙る者はいない、アベルを始め、マサムネや他の者達は全員憤怒に駆られたように席を立った。


「俺達がマリーを守れないだと!? いいだろう。ならばお前が本当にマリーを守れるのかどうか俺達に示してみろ!」

「そうだ! 拙者らはマリー殿を守れる力があると示してみせよう!」

「お望みとあらばすぐにでも見せてあげるよ」


 殺気を放ちながらレイを強く睨むアベル達。レイも怒気を込めた視線を外そうとせず、両者の睨み合いが続く。


「がははは! 良いな良いな! 『慈悲の心』は多数のレギオンを傘下に持つZWで最大規模を持つレギオン。それに単身で挑もうなど、まさに不滅王ごとき所業ではないか! 気に入ったぞレイ! 今回のこの一件。『聖なる盾』のリーダーアスタロスが預かった! 明日の正午、レイと戦いたい者はマリアの正門前に集合しろ。勝負の方法についてはその時ワシから話す。それで良いなアベル、マサムネそれにレイよ!」

「・・・承知した」

「俺も異論はない・・・」

「わかりました」


 急に豪快な笑い声をあげたアスタロスの提案により、レイ達は明日の正午に正門前にて模擬戦をすることになった。


 本当は今すぐにでもやりたかったのだろう。アベルやマサムネは少し不服そうにしながらも席に着く。

 いくら「慈悲の心」の幹部である2人でも王の名を冠するプレイヤーの言うことは無視出来なかった。

 レイはアスタロスに丁寧に頭を下げると、視線をそのままマリーに向ける。


 これで良かったのかと、目でマリーに伝えるレイであったが、マリーは俯きながら「大切な存在って」と、レイを妙に身体をくねらせながら同じ言葉を連呼していた。


 会議はその後、マリアが狙われているかもしれないと、マリーが周囲の警戒を強化するように全員に伝えたところで終了した。

 その間、アベルやマサムネがレイに殺意を向けていたのは言うまでもないことである。


 会議が終わり、アベル達がレイを睨み付けながら部屋から出ていく。


 会議を終えたレイは、そんなアベル達を一瞥もせず、周囲の目線に疲弊したヒノを労っていた。

 するとアベル達が部屋から全員出たタイミングで、アスタロスが大きな笑みを浮かべながら声をかけてきた。


「レイよ。感謝するぞ。マリーはワシにとってZWでの娘の様な存在だ。マリーが心配になってマリアにに向かったは良いが、マリーが既にソーラに向かったと聞いた時はアベル達を怒鳴り散らしてやったもんじゃわい。改めてマリーを救ってくれてありがとう。そしてまた呪縛からマリーを救おうとしてくれたこと、心の底から感謝する」


 レイは深々と礼儀正しく頭を下げるアスタロスに目を丸くする。


「頭を上げてください。さっきも言った通り、マリは俺にとっても大切な存在です。俺はただ自分の意思でマリを助けたいと思って行動に移しただけです。それにまだ目的を達成出来た訳ではありませんしね」

「そういえばそうだったな。まぁ結果はわかりきってることだが。明日は楽しみにしているぞ。ではまた明日門の前でな。がははは!」


 含みのある言葉を残したアスタロスは、豪快に笑いながら部屋から出ていった。


「マリー様。そろそろ現世に戻るであります!」


 隣を見ると、アリシアに肩を揺らされながら「大切な存在って」と、頬を染めながら小声で連呼するマリーの姿があった。

 しばらくして現世に戻ったマリーは少し恥ずかしそうにしながらも、レイに頭を下げてくる。


「レイごめんなさい。利用しちゃいました」

「ははは! こんな俺で良ければ、ぜひ今後とも有効活用してくれたまえ」

「うふふ。是非そうさせてもらいます」

「えっ? いや冗談だったんだが」

「いいえ。言質は取りました。これで思う存分レイを使うことが出来ます!」

「はぁ。ちゃっかりしてるな」


 レイはノリで軽い発言をしたことが原因で、今後もマリーに利用されることが決まってしまう。軽いため息を吐きながら、レイはマリーの案内で宿泊部屋へと向かった。


 なんでも、マリーや護衛のアリシア、アベル等の「慈悲の心」傘下にあるレギオンのリーダー達はこの別荘みたいな領主館の部屋を貸してもらっているとのこと。


 先程ホールで会ったマイネルは、この都市マリアの代表を務めているらしく、不思議と最初からマリー達に協力的だったそうだ。

 最大規模のレギオンである「慈悲の心」はプレイヤー数も多く、必要な水や食料も多い。水は魔法で精製することが可能らしく困ることはないらしいが、食料となると調達が大変だ。

 それでもマイネルはマリア内で栽培している作物や、マリアでは贅沢品とされる家畜の肉などを、マリー達に供給してくれた。

 マリー達も交代でプレイヤー達に農作業の手伝いをさせ、出来る限り現地の人の負担にならないようにしているのだとか。


 現地の人であればこの世界についてもある程度の知識は持っているだろう。

 アベル達との一件が終われば、王都に行く前に話を聞いてみるのも良いかもしれない。


 それにヒノの立場をどうするか考える必要もある。マリアの代表であるマイネルなら、ある程度の融通は利かしてくれるかもしれない。

 知る人がいない場所で一からスタートとなれば、ヒノは大変な思いをすることになるだろう。ただでさえ故郷を焼かれ、プレイヤー同士の争いに巻き込んでしまったのだ。

 自分に出来ることなら力になってやりたいと思い、レイは2階へと続く階段を昇りながら隣を歩くヒノを見た。


「レイ様どうかしましたか?」


 ヒノが首を傾げながらこちらを見てくる。アベル達がいなくなったからか、先程まで萎縮していたヒノはもういない。

 マイネルに相談する前にヒノの得意なことや苦手なことを知っておこうと、レイはヒノ自身について聞いてみる。


「ヒノはこれからマリアに住むわけだけど、ずっと何もしないって訳にはいかないと思うんだ。今度マイネルさんに相談してみようと思うんだけど、ヒノって得意なことや苦手なことってある?」

「そうですね・・・。私は『ソイルアクティビティ』という土を元気にするスキルを持っていますので、やはり田畑仕事でしょうか。むしろコロン村でもそればかりでしたので他に出来ることと言っても、簡単な裁縫ぐらいしか・・・」

「ん? スキルって。ヒノさんもスキルを持ってるの!?」

「あっはい。大したものではありませんが。私のスキルは土に触れることで、土に栄養をもたらし作物が育ちやすい土壌を作ることが出来るものです。正直田畑仕事以外じゃ使い道のないスキルです」

「この世界の人達は全員がスキルを持ってるの?」

「いえそうではないと思います。祖母と祖父はそれぞれ作物の成長速度を高めるスキルと、作物の病を治すスキルを持っていましたが、他の方は誰もスキルを持っていませんでした。私も数年前に急にこのスキルを習得していたので、スキルについて詳しい話は良くわかりません。けど祖父が昔レコードがどうのこうの言ってたような」

「レコード・・・すなわち記録か。ありがとうヒノさん。今度マイネルさんにマリア内で空いてる田畑が何処かにないか聞いてみるよ」

「レイ様自ら私の為になんて・・・」


 ヒノは恐縮ですとばかりに両手を前に出しながら首を勢い良く横に振る。

 多少は仲良くなれているのだろうが、どうしても勇者の生まれ変わりというのがネックになっているレイ。

 普通に話すことは出来ても、こちらが善意で何かしようとすれば、ヒノは決まって首を横に振るのだ。


 (本当に厄介なことをしてくれたもんだよアヤメちゃん。早く助けにいってもう1度説教をしないとな。それにしてもスキルについてまた一つ疑問が出来たな)


 レイがアヤメへの説教を心に決めた頃、用意された部屋へと辿り着いた。

 気を使ってくれたのか、レイとヒノの部屋は隣同士であった。ヒノは自分の部屋がレイの右隣の部屋だと聞くと、恐縮しながらも頬を染めて喜んで部屋へと入っていった。


「レイもヒノさんも相当疲れが溜まっていると思います。ひとまずは夕食まで休んでください。夕食になったらまた声をかけますので」


 マリーはそう言うと、左隣の部屋へと入っていった。


「えっ!? ちょっと待って。アリシア、もしかしてここ一帯って女性専用の部屋なんじゃ・・・」

「その通りであります! この廊下にある部屋は本来は女性用の部屋であります。一番奥の部屋からマリー様、レイ殿、ヒノ殿、マチル、そして私であります。日中は基本私がマリー様の護衛に付き、夜間はマチルが護衛をしているであります」

「いやいや。それってまずくないかな?」

「そうでありますか? 不滅王たるレイ殿が慈悲王たるマリー様の近くにいることは極自然な流れだと思うのですが」


 アリシアは何がまずいのかわからないと首を傾げる。

 それだけ信頼してくれているのだろうが、大人の男としては、もう少しそういった事に危機意識を持って欲しいと思ってしまうレイ。


 (いやマリーのことだ、あえて隣に俺を置くことでアベル達を煽ってる可能性もあるな)


 マリーに意外と腹黒いところがあるのを知っているレイは、隣に部屋を用意していること自体が何かしらの狙いがあってしたことではないのかと疑いだす。

 レイが本当にこの部屋で良いのか、それともマリーに言って部屋を変えてもらった方が良いのか、頭を悩ましていると、背後からレイの名前を呼ぶ声が聞こえた。



「レイだったかしら。初めまして、私はマチル。『慈悲の心』傘下の『戦乙女』のリーダーをやってる者よ。何だか会議で派手にやったみたいね」


 妖艶な笑みを浮かべながら近寄ってくるアマゾネスの女性マチルを見て、思わず視線を逸らすレイ。

 門の外では着けていたマントを、室内ということで外していたマチルは、その魅惑的な身体を惜しげもなく露出させていた。

 確か、会議室にはマチルの姿は無かった。さっきのアリシアの話では、夜間のマリーの護衛はマチルが担当していると言っていた。会議は結局正午まで行われていた。

 であれば、マリーを迎えに来た後、夜間に備えて仮眠をとっていたのかもしれない。

 もはや下着姿の様な格好をしているマチルを直視出来ず、レイは目線を逸らしながら対応する。

 

「初めましてマチルさん。特に何かしたつもりはないんですが。それより何か俺に用でしょうか?」

 

 目線を下に這わせながら、呼び止めた理由について聞くと、マチルが急に耐えきれないとばかりに笑いだす。


「ぷっ! あっはははは! ごめんなさい。新人アバターの人がアベル達に凄い啖呵を切ったと聞いてたから、どんな人なのかと思ってたら、思ってた反応と全然違って笑っちゃったわ」

「はぁ。そうですか」


 笑うマチルの胸部が派手に揺れる。

 目線を更に足元まで下げるレイ。


「てかマチルで良いわよ。後敬語も止めて。余所余所しいのは好きじゃないの。あたしもレイって呼ぶから。」

「わかった。じゃあマチルで。それでもう一回聞くけど何か用かな?」

「まぁ用って程ではないんだけど。明日アベル達と戦うんでしょ? あたしもそれに参加するつもりだから挨拶をと思っただけよ」

「わざわざ部外者である俺に挨拶か・・・」

「勘違いしないで欲しいんだけど、あたしはアベル達とは考えが違うからね。マリーちゃんがソーラに向かった時もあたしは付いて行こうとした。けどアロスとジークに無理やり止められたの。確かにマリーちゃんの存在はあたし達にとっては大きいし、私個人としてもマリーは大事な妹みたいな存在よ。けどね、マリーちゃんだって普通の女の子なの。そこんところを男連中はわかってないのよ。だからレイがガツンとあいつらに言ったと聞いた時は少しスカッとしたわ」

「なら何で戦い参加するような真似を」

「それは只の興味本意よ。阿修羅を1人で退け、ゾンビの群れからマリーちゃんを救ったと聞いちゃあZWプレイヤーとしては1度は戦ってみたいじゃない」


 マチルは欲情的な表情を浮かべると、その大きな胸を強調するように腕を組む。


「はぁ。俺としては戦闘回数は少ないに越したことはないんだけどね」

「あら。それはごめんなさいね。でも私は別にレイに敵愾心を持って戦う訳ではないの。それだけはわかってちょうだい」

「わかったよ」

「じゃあ明日を楽しみにしてるわ」


 レイにウインクをした後、自室へと戻っていったマチル。

 レイがマチルの後ろ姿を見ながら、先程の欲情的な姿を思い浮かべ顔を赤らめていると、後ろから絶対零度のような冷気が漂ってきた。


「そんなに顔を赤くして。何かあったのですかレイ?」


 そこにはいつもと変わらず微笑むマリーの姿があった。

 優しい笑みを浮かべているだけなのに、何故か強い圧迫感や強烈な寒気を覚えるレイ。

 マリーの後ろに控えていたアリシアは額に手を当て首を横に振っていた。



「あれ? さっき部屋に戻ったばかりじゃなかった?」

「マチルの笑い声が聞こえたので、何かあったのかと思いまして。それで、何故レイは顔を赤くしながら、鼻の下を伸ばしているのでしょうか?」

「えっ!? そんな鼻の下なんて伸ばしてない・・・よね?」


 理由はわからないがマリーは怒っている。

 それを敏感に察知したレイはアリシアに助け船を求める。慌てるレイを見て、大きくため息を吐いたアリシアは仕方ないとばかり首を横に振ると、レイの要望に応える。


「マチルはただ挨拶をしただけであります。レイ殿はそれに返事をしただけ。それよりせっかくですし、お二人で話でもしたらどうでありましょう? これまではこうしてゆっくり話する時間はありませんでしたし、良い機会かと私は思うであります」

「まぁ・・・確かに、アリシアの言う通りですが・・・レイの都合もありますし」


 アリシアの提案にしどろもどろになるマリー。

 マリーからすればレイと2人で話せるなど、願ったり叶ったりではあるのだが、これまで連戦に次ぐ連戦だったレイは迷惑だと思うのではないか。

 そんな乙女チックな事を考えながら、レイがどう返事をするのか窺うマリー。


「確かにマリとゆっくり話す機会なんて今まで無かったしね。マリさえ良ければ俺は大歓迎だよ」

「でっでは。私の部屋で話しましょう! アリシア飲み物か何かを用意してくれますか?」

「あぁ飲み物なら俺が用意するから。せっかくだしアリシアもどう?」

「はぁ~~~。せっかくですが私は大丈夫であります。それよりレイ殿がマリー様の近くにいるのであれば、私は少し休んでも良いでしょうか? さすがにまだ疲れが取れてないので」


 それは大きなため息を吐いたアリシアは、自分を誘うレイにジト目を向けながら、辞退を申し出る。


「そっか。残念だけど仕方ないね。何かあればマリは責任を持って俺が守るから、アリシアは少し休みな」

「ありがとうございます。ではマリー様失礼します」

「そう・・ですか。えっ? ってことはレイと二人きり」


 急にそわそわとぎこちない動きになるマリー。

 レイはそんなマリーの様子に気付くことなく、アリシアが来ないことを残念がっている。


 (はぁ。こっちの気も考えてほしいであります。マリー様もこの際はっきりと好意を伝えれば良いものを)


 アリシアはもう一度大きなため息を吐き出すのであった。

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