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『ドライヤーで風魔法が使える俺は最強です! ~現代家電が魔法道具になりました~』  作者: 新米オッさん兵士


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第7話 地下への誘いと、封印遺跡の呼び声

夢から覚めて三日が経った。

俺の部屋はもはや「実験室」と呼ぶべき状態になっていた。

床にはコードレス掃除機、電動ドライバー、特大ラップ、アルミホイルのロール、Bluetoothスピーカー、折りたたみ傘、そして昨日新調したロボット掃除機と小型電子レンジが鎮座している。

「もう家電で埋もれてる……これが俺の日常か」

朝のニュースは相変わらずシャドウの話題で持ちきりだった。

大阪市内での中型出現が急増し、政府は「特別警戒宣言」を出している。

佐藤零からは毎日「協力してほしい」という連絡が来るが、まだ返事は保留にしていた。

「今日は……少し遠出してみるか」

スマホの地図アプリで、大阪城公園近くの「地盤調査中」区域を拡大した。

封印遺跡の入口に違いない。夢で見た光景が頭から離れない。

玄蔵の声、弟子たちの言葉……あれはただの夢じゃなかった。

午後、俺はリュックに道具を詰め込んで現地へ向かった。

公園の古い井戸跡はコンクリートで固く塞がれていたが、魔力を流すと微かに光った。

「ここか……」

少し離れた中之島のビルの地下駐車場奥に、もう一つの隠し入口を見つけた。

非常階段の奥、埃っぽい扉の向こうに、微かな魔力の揺らぎを感じる。

「入ってみるしかない」

扉を押し開けると、コンクリートの階段が地下深く続いていた。

スマホのライトを頼りに降りていくと、空気が急に冷たくなり、江戸時代の石畳が混ざり始めた。

まさに夢で見た光景だ。

第1層:生活の回廊

石畳の通路に、古い行灯や火鉢、手鏡、水瓶が並んでいる。

魔力を感じて近づくと、手鏡が勝手に光り始めた。

「これ……俺の触媒と反応してる」

試しに自分の手鏡と重ねて魔力を流すと、古代手鏡が強化された。

反射率が跳ね上がり、光の熱波がより鋭くなった。

さらに壁の火鉢に触れると、ライターの火球が自動で増幅される。

「これは……ヤバい。全部俺の力になる」

通路の奥で中型シャドウが二体現れた。

俺は笑みを浮かべて掃除機を構えた。

ゴオオオオオッ!!

吸引魔法で一体を吸い込み、圧縮爆破。

もう一体はロボット掃除機をリモコンで遠隔操作し、自動追尾しながら土属性の回転攻撃を加える。

手鏡で光の熱波を叩き込み、古代火鉢で追撃。

あっという間に片付けた。

「探索しながらレベル上げ……最高じゃん」

さらに奥へ進むと、第2層への階段が見えた。

そこに、銀髪の男の幻影がぼんやりと浮かんでいた。

「高橋悠真……よくここまで来た」

夜ノ宮 玄蔵だ。

俺は息を呑んだ。

「夢じゃなかった……本物かよ」

玄蔵は静かに微笑んだ。

「人の暮らしそのものが、最も強大な魔力である」

「汝は我が後継者。生活魔力を正しく扱い、影を払え」

周囲に弟子たちの思念が浮かぶ。

風ノ弟子の蒼一が笑いながら言った。

「風は止まぬ。君の息が続く限り、吹き続けよ!」

光ノ弟子の凛華が優しく囁く。

「鏡は真実を映す。己の心に嘘をつくな」

俺は拳を握りしめた。

「わかった……俺なりに、やってみるよ」

幻影が消えると、階段の先に光が差した。

第2層、魔力炉中枢だ。

巨大な円形広間。壁一面に生活道具が魔力回路として埋め込まれ、中央に黒い裂け目が残っている。

ここで大型シャドウが三体、同時に出現した。

「来い!」

俺は全道具を展開した。

掃除機で吸引、扇風機で竜巻、傘でバリア、手鏡で光の熱波、スピーカーで音波、ラップで拘束、電動ドライバーで回転ドリル、ロボット掃除機で自動支援。

ゴオオオオオオッ!! キィィィン!! ズドオオオン!!

コンボの嵐。

大型一体を水+風の複合魔法で凍結・粉砕、二体目を光+熱で蒸発させ、三体目を土+回転で貫いた。

戦闘終了後、魔力炉の中央で古代の魔導日誌の欠片を見つけた。

玄蔵の直筆だ。

「我が過ちを正してくれ……生活魔力を、日常を守る力に」

俺は日誌をリュックにしまい、息を吐いた。

「まだ第2層……もっと深いところがあるんだろうな」

地上に戻ると、夕陽が沈みかけていた。

スマホに佐藤零からメッセージ。

【遺跡の反応が強まってる。お前も何か感じてるか?】

俺は少し迷ってから返信した。

【少しだけ、調べてる。

 協力する気はある。でも、俺のペースで】

その夜、アパートでロボット掃除機を回しながら、俺は考えていた。

シャドウの起源、影ノ宮の遺志、政府とWAROの動き、黒崎剣の影。

俺の日常は、もう完全に変わった。

でも、

ドライヤーが熱くなり、

扇風機が回り、

手鏡が光を反射する限り、

俺はこの力を楽しむ。

「次は第3層だな……」

そう呟きながら、俺は新しい100均のリストを作り始めた。

日常が、俺の最強の武器だ。

そして、この力はまだまだ伸びしろだらけだった。

第7話 終わり

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