表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ドライヤーで風魔法が使える俺は最強です! ~現代家電が魔法道具になりました~』  作者: 新米オッさん兵士


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/12

第10話 最深部と、影剣士の狂宴

大規模戦から二日後。

大阪は完全に戦場と化していた。

自衛隊と特能課が表立って動き、WARO日本支部も本格的に人員を投入し始めていた。

俺のアパートのテーブルには、WARO日本支部長・神崎蒼馬からの正式協力要請書が置かれていた。

内容はシンプルだ。

【君の能力は国際的に希少価値が高い。

 正式登録を検討してほしい。報酬、装備、情報共有、全てを保証する】

俺はため息をつきながら、リュックに新しい触媒を詰め込んだ。

今日は遺跡第4層に挑むつもりだった。

玄蔵の声が、昨夜も夢の中で繰り返し響いていた。

「最深封印区……そこに全ての答えがある」

午後、中之島の隠し入口から再び地下へ。

第3層の記録庫を抜け、封印が弱まった階段を降りていくと、空気が重く淀み、江戸と現代が激しく混ざり合う幻影が激しく揺れた。

第4層:最深封印区

そこは巨大な円形の祭壇だった。

中央に、黒く脈打つ巨大なヴォイド裂け目。

周囲には古代の生活道具が魔力回路として輝き、影ノ宮の主の残留思念が濃密に漂っている。

「ここが……終着点か」

俺が一歩踏み出した瞬間——

「ようやく本気で来たな、家電魔法使い」

影の中から黒崎剣が現れた。

今までの余裕は消え、目が完全に狂気じみている。

影の剣が異常に巨大化し、体全体が黒いオーラに包まれていた。

「シャドウの核を喰らいすぎた……お前、暴走してるんじゃないのか?」

黒崎は哄笑した。

「暴走? これが俺の真の力だ!

 影を支配し、強さを極める!

 お前のような玩具が、俺の前に立ちはだかるなど許さん!」

黒崎の影が爆発的に広がり、第4層全体を覆い尽くした。

無数の影の刃が四方八方から襲いかかってくる。

「来い! 全力で相手してやる!」

俺は即座に総力戦態勢に入った。

「全触媒展開! 生活魔力全開!!」

掃除機で広範囲吸引、ロボット掃除機で自動地雷展開、

扇風機+ドライヤーで巨大光の旋風(手鏡+アルミホイル強化)、

高圧洗浄機で水の槍連射、電子レンジを投げて指向性爆破、

傘で多重バリア、スピーカー+イヤホンで音波攪乱、

ヨーヨーで遠隔回転斬撃、ラップで緊急拘束、電動ドライバーで回転土ドリル——

ありとあらゆる家電と雑貨が同時に輝き、俺を中心に巨大な魔力サークルが展開された。

ゴオオオオオオオオオオオッ!!!

黒崎の影剣と俺の複合魔法が正面から激突。

第4層全体が震動し、古代の石畳が砕け散る。

「面白い……! だが、まだだ!」

黒崎がシャドウの核をさらに取り込み、影の巨体と化した。

影の触手が何十本も伸び、俺を捉えようとする。

その瞬間、ヴォイド裂け目から玄蔵の幻影が大きく浮かび上がった。

「高橋悠真……汝の力は正しい。

 生活魔力を、日常を守るために使え!」

風ノ弟子・蒼一の声。

「風は止まぬ!」

光ノ弟子・凛華の声。

「鏡は真実を映す!」

蘭方 鉄之助の声。

「道具に意志を宿せ!」

俺は全ての道具を限界まで魔力注入した。

心の中で叫ぶ。

「俺の日常は、誰にも渡さない!」

「家電よ……生活魔力よ……爆発しろ!!」

全ての触媒が同時に最高出力に達し、究極の生活魔力複合魔法が炸裂した。

光の旋風、水と風の融合竜巻、土の回転ドリル、音波と熱波の波状攻撃——

それらが一点に収束し、黒崎の影巨体に直撃した。

ドゴオオオオオオオオオオン!!!!

凄まじい爆光が第4層を埋め尽くした。

黒崎の影が砕け散り、彼は地面に膝をついた。

影の剣が消え、元の人間の姿に戻る。

「……負けたか。

 玩具のくせに……よくやったよ、高橋悠真」

黒崎は薄く笑い、影の中に溶けていった。

「次は……本気で殺しに来る。

 楽しみにしていろ」

戦闘終了後、ヴォイド裂け目が一瞬だけ安定し、玄蔵の本体に近い幻影がはっきり現れた。

「ようやく……会えたな、我が後継者。

 影ノ宮の過ちは、汝が正す。

 生活魔力は、人の営みを豊かにするためのもの。

 決して、支配のための力ではない」

玄蔵は優しく微笑んだ。

「これからも、日常を愛せ。

 それが汝の最強の魔法だ」

幻影が消えると、裂け目から微かな光の粒子が俺の体に吸い込まれた。

能力がさらに強化された感覚があった。

地上に戻ると、神崎蒼馬と佐藤零が待っていた。

「高橋……お前、本当に一人で第4層まで……?」

俺は汗を拭きながら答えた。

「WAROの協力……受けます。

 ただし、俺の自由は認めてもらう。

 家電を集めて、実験して、大阪を守る。

 それが俺のやり方だ」

神崎が深く頷いた。

「了解した。君のような能力者は、他にいない。

 これからよろしく頼む、家電魔法使い」

その夜、アパートで俺は新しい触媒リストを作っていた。

次はスマートフォンの応用魔法か、冷蔵庫の絶対零度領域か……。

黒崎はまだ生きている。

シャドウはまだ尽きない。

WAROも、政府も、影ノ宮の遺志も、すべてが動き続けている。

でも、俺は思う。

俺の日常は、俺が守る。

ドライヤーのスイッチを入れ、

軽い風を部屋に流しながら、

俺は静かに笑った。

この戦いは、まだ始まったばかりだ。

第10話 終わり

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ