#6 自尊心のない者
「集まりましたね。早速ですが、今から話し合いの時間です。全員票数が同じだと全員が処刑されますので、票を固めて下さい。では、スタート!」
始まった。この中からまた一人処刑される。
「それじゃあ、テーマに合う…というより、自己犠牲の精神を持つと思う人を一人、思いつく人は言ってねー」
暫くは皆黙り込んでいた。まぁ、さっき一緒に仕掛けを解いた奴らは何か言いたそうだったけれど。グレーテルのあれはどう判断すりゃいいんだ?…俺もだけど、もじもじして誰も話さないのはもどかしいな。
「…判断に迷うなら、相手の名を挙げればいいだろ。迷ってる奴は話せよ。」
あ、若干感情的になったかもな。でも、これを受けての発言があった。
「グレーテル・マルテよ。」
意外にも、発言したのはアンだ。
「え、グレーテル?何で?」
そうだ、俺やアン、チャーリーさんやマルテ兄妹以外はあの事知らないんだ。
「…そうだね、俺もそう思う。」
「僕も…ちょっと複雑な気持ちだよ。」
やっぱり、あの場にいた面子は気になっていたんだ。でもヘンゼルからすると複雑だよな…。妹が褒められたのは嬉しいだろうけど、この場合は命の危機にあるんだしな。
「私達、さっきまでゲーム部屋とかで仕掛けを解いていたの。あそこのダーツは磁石で付く仕組みなんだけど、上手く投げても外れるようになっていたのよ。的とスイッチが繋がっていたから、電磁誘導を利用しているんじゃないかって結論に至ったのよ。」
「電磁誘導って何ですか?」
「磁石は違う極同士は引きつけ合うけど、同じ極同士は遠ざかるよね?それを電気を流す事で利用することをいうんだ。」
ここには小学生もいる。ジャックや一茶、スーザンは習っていないんだ。
「ただ、そのスイッチから漏電していてね…チャーリーがスイッチを押した直後、グレーテルがオレを庇ったんだ。二人とも感電はしなかったけど、グレーテルはちょっと怪我してしまってね。」
「そんな、大したものじゃないですわよ。それに、私の他にもいるかもしれないでしょう?」
「あぁ…桃太君よね?」
え、俺⁉グレーテルの怪我の件は?…なんか、皆の目線が俺に向いてるんだけど…。
「確かに、桃太はずっと動いていたよね。」
「まて、なんで俺なんだ?俺だけが動いていた訳じゃねぇよな?」
「自分で試行錯誤するのはいいけど、自分に何かあった時の事も考えなきゃだよ。」
チャーリーさん、ブーメラン…。
「というか、脱線してないか?“自己犠牲”ってテーマに俺が合ってるって証拠はあるのか?」
「脱線はしてないわ。それとね桃太君、わちきとジャック君が能力を使って作ったビーンズサラダを躊躇なく食べたでしょう?」
あ、そういえば。
「同じ状況とはいえ、出会ったばかりの相手に食えって言われた料理、少しは警戒するものよ?わちきが皿に毒を盛った可能性もあるし、ジャック君が作った食材が有毒のものかもしれないのよ?」
あ…あの時俺は何の警戒もせずに食べたんだった…。でも、体に異常は…あれ、急に腹痛になった。それに体が熱い。気にしすぎ、だろうか?
「大丈夫、桃太?」
「あぁ、大丈夫。…何だ、これ…。」
「本当に警戒しなかったのね。実は皿に少し毒を盛ったのよ。」
何だと⁉…吐気もしてきた。毒性の強さとか量にもよるけど…
「お、おとぎ姉ちゃん、それ本当?」
「えぇ、でも大丈夫。致死量じゃないし、毒性も弱いわ。」
くそっ、何で俺は警戒していなかったんだ…?
「これはテーマとはずれていますわ。」
グレーテル!今そっちも死にそうだろ?
「誰かを守る為に食べた、とかじゃありませんわよね?なら、桃太さんは自尊心がないのではなくて、警戒心が薄かっただけですわ。」
「…そうね、悪かったわ。」
「冗談じゃないよな…?」
「すみません、ちょっと入りますね。勝手にプレイヤーを減らされては困ります。罰として、今回おとぎさんは投票権なしです。」
「はーい…。」
おとぎさん、ヤバい人なのかもな。…あれ、解毒薬くれないのかよ⁉
「それじゃあ話をグレーテルの方に戻して…その、庇った時の怪我、見せてもらえないかしら?」
「…良いですわ。ほら、これですわ。」
グレーテルは、綺麗な腕にある擦り傷を見せた。
「あら、痛そう…」
「平気ですわ。これが、その証拠。弁解はしませんことよ。」
「ほ、本当にいいんですか?」
「えぇ。」
グレーテルはもう覚悟を決めているようだ。
「はい、そろそろ時間です。話し合いを切り上げて下さい。」
あとは俺達の意志で決まるのか…。
甘蜜です。話し合いですね。人数という恐怖ー…
なんか…人数が多い方が有利なのってなんかアレですよね、少数派の意見無視されがちみたいな。
筆者の語彙力が不足した為、ここらで締めます。




