#5 磁石のからくり盤
迷った結果、ゲーム部屋に行くことにした。そういえばこの的…何か仕掛けがある気がする。でもどう調べれば…。
「桃太ー、どうしたの?的をガン見なんかして」
「まぁまぁ。あ、気が付いてるかな?」
気付いてるよ!話しかけてきたのはアンとチャーリーさんだ。…確かに、今はアピールタイムだけれども。というか、なんでチャーリーさんは浮いているんだ?
「ヘヘ、これオレの能力なんだよねー」
『浮遊』かぁ…そういえば、さっきまで能力について調べてたんだよな。
「能力かぁ。俺まだ見つかってなくて…。」
「私は…此処に来てから、この赤頭巾からお母さんの温もりを感じるの。お母さん、私が小さい頃に死んじゃったんだけどね…。」
そうなのか…それは能力と関係するかもしれないとも思う。…辛い事だろうし、そう思うのもちょっと罪悪感感じるなぁ。
「能力の話題もいいけど、今回のテーマ“自己犠牲”でしょ?アピールしなくていいの?」
あ、そうだった。というか、自己犠牲についてのアピールってどうしろと?
「モーテンがテーマに合った感じだったし、自分を大切にって事だろうね。誰かの為に死ぬ様な真似をしなきゃ大丈夫、だろうけど…。」
「え、確かにボランティアとかはするけど…リスクは避けるようにしたいな。」
俺はそもそもボランティアとかあまりやらないな。ボランティアやるって、勇気がいると思う。
「はは、誰だってそうだよな。この後どうする?」
「うーん、あのダーツがどうしても気になるんだ。」
「え、あの時やったやつ?惜しいところで外したじゃない。」
まぁ、見た目はそうなんだけど…何かおかしかったんだよな。
「えぇと…俺らには多分分かんねぇな。マルテ兄妹は二人とも賢いし、彼奴ら頼ってみたらどうだ?」
「あぁ、分かった。参考にするよ。」
俺は急ぎ足で図書室に向かった。二人とも読書してくつろいでいるように見える。
「ヘンゼル、グレーテル!良かった、まだいた。」
「どうしましたの?今は読書でリラックス中ですの。」
「ちょっと頼みがあって…」
「あ、結局能力について分からなかったからかな?」
今は能力のことはどうでもいい。それよりも、ダーツの件だ。
「いや、ゲーム部屋のダーツが気になって…アンとやってみたら、何かが働いて避けたんだ。だから、おかしいなーって。」
「成程…僕は興味あるよ。グレーテルも行くかい?」
「えぇ、行きますわ。」
ゲーム部屋に戻ると、マルテ兄妹は少し嬉しそうだった。この部屋は初めてらしい。
「あら、本当に話に乗ったのね」
「ちょっと興味が湧いたんだ。例のダーツってこれかな、アンさん。」
「えぇ。でもどうかしたの?」
「君が投げた時、どう見ても真ん中に刺さりそうだったのに、何かが働いて外れた様に見えたらしいんだ。念の為、調べるべきかなと。グレーテル、ダーツやってみて。」
へぇ、いきなり実験かぁ。でも、ダーツって的に当てるの難しいんじゃ…。
「仕掛けがあるかの確認だよ。大丈夫、グレーテルが上手いのって料理だけじゃないんだ。基本的に何でもって感じで、ダーツも命中率結構高いんだ。10発中9発当たるよ。」
凄え、人間技か…?やっぱり、グレーテルのも正確だ。でも、見事に力が働いて避けた。ん、この避け方は…。
「磁石だね、これ。でも、これが仕掛けなんだろうね。」
「…ヘンゼル、この的と繋がってるスイッチがあるんだけど。」
「チャーリー、触るな!むやみに触ると危な…」
バチッ
「あれ、電気が…感電してな…ってグレーテル、大丈夫⁉」
「平気、ですわ…。」
感電しそうになったチャーリーを庇ったのは、グレーテルだった。グレーテルも感電してはいないみたいだ。電磁誘導を利用していたのか…。というか、漏電って危ない。
「でも、これで的に当たるようになりましたわ。アンさん、投げてみて下さいまし。」
「えぇ。」
アンは真っ直ぐ投げた。こんどは磁気が遮ることもなく、的の中心に命中した。すると、隠し扉が出現した。
「隠し部屋か…?」
「鍵は掛かってないわね。大丈夫なの、この部屋。」
確かに、防犯面はどうなんだろう…ってそうじゃなくて。
中に入ると、壁も床も真っ黒だった。灯りは点くけれど。
「何これ、真っ黒ね。何かを隠そうとしているのかも…。」
「ここの床だけ違和感がありますわ。…あら、紙を貼っ付けただけですわ。」
「剥がしてみるか。」
黒い紙を床から外すと…『EILO』という文字が確認できた。
「何だ、これ…暗号?」
「とりあえずメモした方がいいよ。」
メモって言われても…あ、あった!鞄にメモ帳や筆記用具を入れたまま来ていた。俺は暗号をメモした。
「…にしても、これ何処で使うんだ?」
「…あれ、壁にもあるぞ、紙の所。」
あ、本当だ!しかも範囲が広い。これ、剥がすの大変そうだなー…。
『皆さーん、24時間経過しました。広間に集まって下さい。』
「…もうそんな時間か。」
「仕方ない、明日続きをしようか。」
俺達は広間に向かった。
甘蜜です。台風怖いですね。まぁ、このデスゲーム会場は異空間の室内ですが。
さて、今回までは探索パートです。予定では一つの章で七話を予定しております。あと二話投稿したら二章です。予定では五章までです。
ちなみにですが、二章からキャラちょっと増えます。




