#4 慈悲なしのメインゲーム
予選投票でモーテンさんが処刑された。凄く良い人だったのに。でも、悲しみに暮れる暇はない。
「えー…今からメインゲームを開始します。」
「ワラベ、どんなルールなんだ?」
「全5回、先程みたいな投票が行われます。それぞれの回でテーマが言われるので、一番テーマに合っていると思う相手に投票して下さい。投票の前にアピールタイムを一日設けるので、その日の夜までに自分をアピールして下さい。今は夜ですし、睡眠時間も含めて一日となります。」
と、投票…?でも…モーテンさんみたいに、死んじゃうんだろ?
「ま、まさかまた死んじゃうんですか?」
「言いましたよ?これは“デスゲーム”だって。ですから勿論犠牲は出ます。5回ですから、少なくとも5人は犠牲が出ますね。投票の直前に話し合いの時間が20分間あるので、票を固めるのをお薦めします。ちなみにですが…今後は自分に投票出来ないようになっています。今回のテーマは“自己犠牲の精神”です。あ、道徳は守ってくださいね。それでは、メインゲームの開幕です。」
始まるのか、メインゲーム…。
翌朝、遂に始まってしまった。しかも何だよ、自己犠牲の精神って。相手にもよるけど…自ら死のうなんて思わないな、あんまり。
「…ほら、くよくよしないで。私達がついてる。」
「…はい、ありがとうございます。…あ、桃太さん」
スーザンと神久夜さんだ。ちょっと意外な組み合わせだけど…神久夜さんって引きこもりだけど、実は結構頼りになる。いや、「実は」って失礼だよな。
「貴方は何とかもっているのね。そういえば、“能力”があるって言っていたけど、何かわかった?」
能力。まだわからないなぁ…。
「いや、まだです。」
「そう…私もわからないの。スーザン、どう思う?」
「…もしかして、気付きやすいものとそうでないものがあるんじゃないでしょうか。…最初にワラベさんが“童話に関するゲーム”と言っていたのも気になります…。」
成程…ちょっと調べてこようかな。
俺はひとまず図書室へ向かった。まずは童話について調べてみよう。
「あら、奇偶ですわね。私達は童話について調べるつもりですけど…。」
偶然、グレーデルに会った。“私達”って言っているし、ヘンゼルはもう調べてるのかな。
「お兄ちゃん、分かりましたの?桃太さんも同じ事調べるつもりみたいだし、情報共有としましょう。」
「うん、勿論いいよ。」
メモを見ると、丁寧にまとめられている。頭、いいんだろうな。
「僕達はそれぞれ能力と童話が割り振られている、そこまでは分かっているよね?」
「あぁ。この二つを提示したって事は…」
「そう、僕はこの二つが関連しているんじゃないかと思うんだ。まぁ、流石に処刑法もバラバラだろうけど。皆の能力、知ってるのある?」
俺は、一茶とスーザンの能力について話した。
「へぇ、どちらも分かりやすい例だね。一茶くんの担当は『一寸法師』、能力は大きさを変える能力、というわけか。」
「そのまま、ですわね。」
「スーザンちゃんの方は『マッチ売りの少女』、摩擦力で発火させる能力だよ。マッチも摩擦力で発火する仕組みになっているからね。」
あ、じゃあ分かりにくいものとかっていうのはそういう事か…。
「あ、桃太くんは能力分かった?正直、予想が難しいんだけど。僕達は分かったんだけど…」
「え、どんな能力なんだ?」
「僕は予知能力だったよ。どう繋がるのかは分からないけど。グレーデルはコピー能力らしい。」
へぇ、二人とも便利そうな能力だなぁ。
「あ、桃太さんはどうですの?」
「俺のはまだ分からないな。神久夜さんもまだ分からないって。」
「ふむ…桃太くんは『桃太郎』、神久夜さんは『かぐや姫』担当だよね。日本の童話だし、僕より君の方が分かるかもしれないな。君の方は…童謡も思い出してみて。」
そうだ、『桃太郎』は童謡もあるんだった。
「ヒントありがとう。他の人の所も行ってくるよ。」
それにしても、童謡からもかぁ…。「ももたろさん、ももたろさん。お腰に付けた黍団子、一つ私にくださいな」ってあるしな。あとは…お供を頼んで一緒に鬼退治に行くんだよな…。駄目だ、全く分からない!
「ちょっと、五月蝿いんだけど。」
「一茶兄ちゃん、落ち着いて下さい。…でも漏れてましたよ、心の声。」
あっ、ごめん…。そうだ、ここは酒場だ。…あれ、ソフトドリンクがあるといえ、小学生二人だけで酒場なんか来るか?お金とかは?
「あら桃太くん、知らないの?タダ飲み出来るのよ。お金がいるのはコンビニだけ。それと、この二人と一緒に来てるの。」
うわっ!…誰かと思ったら、おとぎさんだ。
「能力について調べてるのね。能力といえば、このサラダは能力をフル活用して作ったものよ。」
そう言って、おとぎさんはビーンズサラダを指差した。能力をフル活用って、どういうこと?
「まず、使われている食材はぼくの能力で作ったんです!食材はあったんですけど、安全か分からないじゃないですか。だから、一応作りました。ちょっと味見して下さい!」
勧められて食べてみる。うん、美味しい。そっか、ジャックのは『植物を育む能力』なんだな。
「調理器具はここにあったけど、容器は使えそうになかったの。だから、容器は私の能力でね。」
「おとぎの能力は『創造』だからね。」
へぇ。…確かに、しっかりとした作りだ。材料とかは聞かないでおこう。
「その…俺、まだ自分の能力が何か分かってなくて。ヘンゼルは、能力は割り振られた童話に関連しているんじゃないかって言ってたんだ。僕の場合は、童謡も思い出してみろって言われたんだけど…。」
「えっと…。ヘンゼル兄ちゃんが丸投げしたのって、外国の童話だから専門外って事じゃないですか…?」
だよなー。でも、一茶やおとぎさんは日本人だし、何とかなる筈!おとぎさん大学生だしな。
「正直、わちきはそこまで考えなかったわ…。ヘンゼル君って、IQ高いんじゃない?」
確かに、頭がキレるよなぁ…ってそうじゃなくて!
「そっか、皆のも分かってきてるんだね。それで、さっき歌ってたんだ。」
やめろ、その話恥ずかしい…。でも能力が重なってるとかはないだろうな。
「何かを生む…とかではなさそうだし…。」
「精神に関わるものじゃないかな?」
成程なー。でも何をだろう?…いや、それが知りたいんだけど。
「今考えられるのはこのくらいね。あとは…ゆっくりでいいのかもしれないわ。」
「ありがとう。じゃ、俺は他も廻ってくる。」
さて、次は何処を廻るか…。




