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ミコの影帽子 夢心背話(ゆめうらせばなし)  作者: 心環一乃(ここのわ むの)
第5話 帽子を正し、いざ決戦!
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第5話_大捕物、開始

 ガデニアゾーン7、フィルエル自然公園。その面積の16%を占める湖、トニーサ湖。

 その湖畔に佇む、七つの人影。

 自然学派の一人、イヴァン=山野辺。

 同じく自然学派、ミヒャエル=河野。

 花一族の人基、シクラメン。

 その同僚、アキレギア。

 その友、スオウバナ。

 そして気象一族の封印型端末、クエイクとウェイブ。

 昨晩栄華会館に侵入し、リバムークの種を盗んだ七人が特別な感情も目的もなく、ただただ漠然と湖を見つめ、待っていた。なんの動機もない、ただの暇つぶしとして。

 シクラメンが携帯電話でスイートピー、ストック、レインと会話を終えてから、この七人は一切会話をしていない。当然だ。話すことなどなにもない。この七人――もとい三つの勢力に仲間意識などない。たまたま目的・欲しいものが一致したから手を組んだ――そういうビジネスライクな関係である。相互理解など必要ない。

 求めるものは明確。レインの持つ神様の設計図。それによる救済――それこそが気象一族の封印型端末、ヒストリークラスの災厄をその身に閉じ込めたクエイクとウェイブの願いである。交渉は成立した。早くレインに来てほしい。自分達が負けてしまう前に……。

 そうクエイクとウェイブが願っていた矢先、願いは現実のものとなった。目の前の湖面が突如水しぶきを上げた。その向こう側に姿形は覚束ないが確かな人影が現れたのだ。それで充分だった。これは見間違えようもない、レインの十八番、水門連絡!

「来たぞ!」

 クエイクの叫びを聞いて七人全員立ち上がる。そして目の前に現れた人影を迎える準備をする。

 が。

 クエイク達は異変に気付く。感じる気配がひとつではない。1、2、3……9つ。

 多すぎる。レインは取引を飲んだはずなのに……。

 混乱に頭を悩ます中、水しぶきの中から3つの影が進み出た。レイン……?

 違った。突如聞こえる謎の曲。やたらと格好つけときながら、どこか理解し難いセンスの曲に合わせ、現れたのは――。

 

 改造人間を思わせるモンスターじみた風貌の大柄な男。

 我罪人と言わんばかりに矢やら剣やら身体に刺した男。

 もはや生気の欠片も感じさせない、死体そのものの女。

 

 どれもこれも悪趣味極まる、コスプレで身を纏った三人が、曲に合わせてポーズを取り、面倒臭い名乗りを上げる。

 

「ビンカ!」「サザンカ!」「ホウセンカ!」

「花の」「散る頃」「舞い踊る」

「デルタフラワーズ、ここに見参!」

 

 風が……冷たかった。心臓がくしゃみしそうになる。

 と、そこにそいつらの後ろから、「バカ!」という聞き慣れた声による叱責と一緒に黒い足が三つ飛び出してそいつらを前に蹴り倒し、水につける。水しぶきの収まりと、前を占拠していた邪魔な三人の退場に伴い、確認できたのは、紛れもなく影帽子。

 本物のレインが、そこにいた……。

 


 ミコの水門連絡なる瞬間移動術によって、水面上に出現したサクラはすぐさま下級極意の張り根足でもって水面での起立を確保する。ミコが萌枝を持ち上げていたのはこれが理由だったのかと、改めて納得する。武道の心得があるとはいえ、萌枝は一般人。水面に立つことはできないからだ。

 それにしても……デルタフラワーズの出しゃばり過ぎにはつくづく呆れる。ここでの隊長はミコだとストックからも言われていたのに、おいしいところを平然と持って行くその神経がサクラには理解できなかった。携帯電話で曲まで流す演出のとこなんか特にである。ミコにバカと叱られ水面に叩き付けられたのも因果応報自業自得であろう。しばらく水に浸かって頭冷やせと心の中で思った(ついでにメイク落とせとも)。

 ともあれミコが引率者、代表者としての威厳を見せつけたのでとりあえず安堵したサクラはミコと同じ方を向く。その先にいるのは――。

 身構えている同僚――シクラメン、アキレギア、スオウバナの三人。

 そして険しい表情の男二名と、この状況を憂いているかのような、困っているといった感じの顔をしている男女のペア。ミコは影帽子の鍔をつまんで改めて被り直すと、その男女に向けて話しかけた。

「久しぶりね。クエイク、ウェイブ。追い詰められたからってバカなことして……。他人様に迷惑かけないで頂戴」

 なるほど、あの男女が気象一族のクエイクとウェイブか――残る自然学派の連中の認知も済ませたサクラの耳に、聞こえるか聞こえないかという小声でミコの声が届く。

「さあ、決戦よ」と。

 サクラは鼓動が高鳴るのをハッキリ感じた。今まさに、決戦の火蓋が切って落とされようとしているのだと。

 鼓動が高鳴るとき、狂乱物は大捕物へと変わる。

この度は愚者ぐしゃなわたくしの作品を読んでいただき、心より感謝申し上げます。

さて、本日も無事第5話を章ごとに分割してサブタイトル付けて無事投稿完了しました。

昨日の第4話投稿が時間帯を跨いでしまったので今日は「1時間以内に終わらせる」ことを目標に頑張りました。まあ、昨日より章の数も分量も少なかったのであっという間に終わりました(笑・自虐)。

今回も章ごとに文量のムラが激しくなっております。読者のみなさまも「えっ? これだけ?」、「えっ? こんなに?」って思われたんじゃないでしょうか? わたしは書いてて思いますやっぱり(笑・自虐)。

でも終わりの方はわりかし簡単に読めると思います。その方がいいと思ってます(開き直りでーすw)。

今回の見所は「危機管理は魅せどころ」で大人と上司相手にサクラちゃんが道理と啖呵を切ったシーンでしょうか。自分でも書いてて爽快でしたからね。


相当愚者ぐしゃな作品ですが、みなさんの才能・感性・能力でなにか感じてもらえるものがありましたらこれ以上嬉しいことはありません。


一日1話のペースでチャプター・章ごとに分割してUPしていきたいと思っています。そうでないと長過ぎる話とかもあるので(ネタバレしますが次の6話が超長い!)。


Twitterやってます。「心環一乃(ここのわむの)自称"地球人"(@kokonowa_life)」です。書き手さんも読み専さんもフォロー歓迎します。逆にこちらも無言フォローすることありえますのでそれは御了承ください。


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2017年ミコちゃんシリーズエイプリルフール企画(!?)でもある「シリーズなろう投稿運動」。この4月の間、お付き合いいただきそして楽しんでいただければ幸いです。

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